上 下
74 / 515
第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百六十九話 急いで侍従の人を治療します

しおりを挟む
 お茶のおかわりを貰おうかなと、侍従の人に声をかけようとしました。
 あれ?
 侍従の人の顔が真っ青だよ。
 汗も沢山かいていて、物凄く体調が悪そうだ。

「お姉さん、大丈夫ですか? 僕、治療します!」
「す、すみません。頭痛が酷くて、フラフラしていまして……」
「そ、それは大変です!」

 僕は侍従の人をソファーに座らせて、軽く魔力を流して体の様子を確認します。
 うーん、頭もそうだけど胸にももやもやがあったよ。
 もやもやが濃いから、急いで治療しないと。

 ぴかー。

 僕は侍従の人が治るようにと、頑張って治療しました。
 ちょっと症状が重いから、思ったよりも魔力を使っちゃった。
 でも、侍従の人が元気になって欲しいから、僕も頑張ります。

「ふう、これで良いはずです。でも、無理をしていたから体力をだいぶ使っていますよ」
「あっ、ありがとう、ございます……」

 侍従の人の顔色はだいぶ良くなったけど、まだフラフラですね。
 きっと体調が悪いのがバレないように、かなり無理をしていたんだ。
 僕は廊下に出て、辺りをキョロキョロと見回しました。
 あっ、いた。

「すみません」
「あら、レオ君、どうかしましたか?」

 体調が悪い人と同じメイド服を着た人がいたので、話をしないと。

「応接室にいた侍従の人がかなり体調悪いみたいです。治療したんですけど、フラフラで動けないみたいです」
「まあ、治療して頂きありがとうございます。直ぐに向かいますわ」

 少し年配の侍従の人と一緒に、僕は応接室に戻りました。

「まあ、まあ、これは。あなた、大丈夫?」
「お、奥様。も、申し訳ありません……」
「良いのよ、無理をしなくて。レオ君、治療をしてくれて本当にありがとうね」

 直ぐに少し年配の侍従の人が他の侍従の人を手配してくれて、体調が悪い侍従の人を運び出してくれました。

「治療は上手くいったので、後は体力が戻れば大丈夫ですよ。でも、だいぶ具合が良くなくて、このまま放置していたら危ない所でした」
「まあ、そんなに悪かったのね。あの子の体調の悪さを見抜けなくて、私もとても悪い事をしたわ」

 年配の侍従の人が少し悔しそうな表情をしているけど、あの侍従の人もシェファードさんとチャーリーさんにバレないようにしていたんだもんね。
 きっと、ふと気が抜けたタイミングで一気に悪くなっちゃったんだ。

 コンコン。

「失礼します。授与式の準備が整いました」
「ありがとう。レオ君は私が連れて行くわ」
「畏まりました」

 ドタバタしていたら、ちょうど授与式の時間になったみたいですね。
 僕はそのまま年配の侍従の人と一緒に、授与式会場に向かいます。

「本日は、舞踏会なども開かれる大ホールで授与式を行います。その後、会場のレイアウトを変更して立食パーティーを行いますわ。レオ君とクリスティーヌ様用に、座れる席も用意しております」

 授与式は直ぐに終わりそうだけど、お昼までは間違いなく時間がかかりそうだね。
 そして、僕は授与式会場となる大ホールに到着しました。

 ガチャ。

 重厚な扉が開くと、多くの人が待っていました。
 その中を、侍従の人と僕が進んで行きます。

「レオ君をお連れいたしました」

 侍従の人がシェファードさんに話しかけたら、シェファードさんはとてもびっくりした表情になったよ。
 何かあったのかな?

「何故、ヘレーネがレオ君を連れてきたのか?」
「応接室にて待機していた侍従が体調を崩して、レオ君が急いで治療してくれたの。それで、私達に助けを求めたのよ」
「「「おおっ」」」

 侍従の人がシェファードさんに話をすると、集まった人から感嘆の声が上がったよ。
 僕としては、目の前で苦しんでいる人を助けただけなんだけどね。

「しかも、応接室に待機していた侍従はかなり体調が悪くて、レオ君が治療してくれなければ少し危ない所でしたわ」
「それは私の管理不足だ。レオ君、妻ともどもお礼を言うよ」
「僕は出来ることをしただけ……えっ、もしかしてシェファードさんの奥さんなんですか?」
「そうだよ、私の妻のヘレーネだ。侍従の格好をしているがね」

 えー!
 とてもテキパキしていたから、本物の侍従の人だと思っちゃったよ。
 シェファードさんはとても偉い人なのに、こういう人が奥さんなんだね。

「詳しい紹介は後にしよう。さあ、勲章の授与式を始めようか」

 おっと、いよいよ授与式が始まるんだね。
 ヘレーネさんも、シェファードさんの側に控えて準備万端です。
 チャーリーさんも師団長さんも引き締まった顔に変わったし、僕も緊張してきちゃった。
しおりを挟む
感想 146

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。