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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百六十九話 急いで侍従の人を治療します

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 お茶のおかわりを貰おうかなと、侍従の人に声をかけようとしました。
 あれ?
 侍従の人の顔が真っ青だよ。
 汗も沢山かいていて、物凄く体調が悪そうだ。

「お姉さん、大丈夫ですか? 僕、治療します!」
「す、すみません。頭痛が酷くて、フラフラしていまして……」
「そ、それは大変です!」

 僕は侍従の人をソファーに座らせて、軽く魔力を流して体の様子を確認します。
 うーん、頭もそうだけど胸にももやもやがあったよ。
 もやもやが濃いから、急いで治療しないと。

 ぴかー。

 僕は侍従の人が治るようにと、頑張って治療しました。
 ちょっと症状が重いから、思ったよりも魔力を使っちゃった。
 でも、侍従の人が元気になって欲しいから、僕も頑張ります。

「ふう、これで良いはずです。でも、無理をしていたから体力をだいぶ使っていますよ」
「あっ、ありがとう、ございます……」

 侍従の人の顔色はだいぶ良くなったけど、まだフラフラですね。
 きっと体調が悪いのがバレないように、かなり無理をしていたんだ。
 僕は廊下に出て、辺りをキョロキョロと見回しました。
 あっ、いた。

「すみません」
「あら、レオ君、どうかしましたか?」

 体調が悪い人と同じメイド服を着た人がいたので、話をしないと。

「応接室にいた侍従の人がかなり体調悪いみたいです。治療したんですけど、フラフラで動けないみたいです」
「まあ、治療して頂きありがとうございます。直ぐに向かいますわ」

 少し年配の侍従の人と一緒に、僕は応接室に戻りました。

「まあ、まあ、これは。あなた、大丈夫?」
「お、奥様。も、申し訳ありません……」
「良いのよ、無理をしなくて。レオ君、治療をしてくれて本当にありがとうね」

 直ぐに少し年配の侍従の人が他の侍従の人を手配してくれて、体調が悪い侍従の人を運び出してくれました。

「治療は上手くいったので、後は体力が戻れば大丈夫ですよ。でも、だいぶ具合が良くなくて、このまま放置していたら危ない所でした」
「まあ、そんなに悪かったのね。あの子の体調の悪さを見抜けなくて、私もとても悪い事をしたわ」

 年配の侍従の人が少し悔しそうな表情をしているけど、あの侍従の人もシェファードさんとチャーリーさんにバレないようにしていたんだもんね。
 きっと、ふと気が抜けたタイミングで一気に悪くなっちゃったんだ。

 コンコン。

「失礼します。授与式の準備が整いました」
「ありがとう。レオ君は私が連れて行くわ」
「畏まりました」

 ドタバタしていたら、ちょうど授与式の時間になったみたいですね。
 僕はそのまま年配の侍従の人と一緒に、授与式会場に向かいます。

「本日は、舞踏会なども開かれる大ホールで授与式を行います。その後、会場のレイアウトを変更して立食パーティーを行いますわ。レオ君とクリスティーヌ様用に、座れる席も用意しております」

 授与式は直ぐに終わりそうだけど、お昼までは間違いなく時間がかかりそうだね。
 そして、僕は授与式会場となる大ホールに到着しました。

 ガチャ。

 重厚な扉が開くと、多くの人が待っていました。
 その中を、侍従の人と僕が進んで行きます。

「レオ君をお連れいたしました」

 侍従の人がシェファードさんに話しかけたら、シェファードさんはとてもびっくりした表情になったよ。
 何かあったのかな?

「何故、ヘレーネがレオ君を連れてきたのか?」
「応接室にて待機していた侍従が体調を崩して、レオ君が急いで治療してくれたの。それで、私達に助けを求めたのよ」
「「「おおっ」」」

 侍従の人がシェファードさんに話をすると、集まった人から感嘆の声が上がったよ。
 僕としては、目の前で苦しんでいる人を助けただけなんだけどね。

「しかも、応接室に待機していた侍従はかなり体調が悪くて、レオ君が治療してくれなければ少し危ない所でしたわ」
「それは私の管理不足だ。レオ君、妻ともどもお礼を言うよ」
「僕は出来ることをしただけ……えっ、もしかしてシェファードさんの奥さんなんですか?」
「そうだよ、私の妻のヘレーネだ。侍従の格好をしているがね」

 えー!
 とてもテキパキしていたから、本物の侍従の人だと思っちゃったよ。
 シェファードさんはとても偉い人なのに、こういう人が奥さんなんだね。

「詳しい紹介は後にしよう。さあ、勲章の授与式を始めようか」

 おっと、いよいよ授与式が始まるんだね。
 ヘレーネさんも、シェファードさんの側に控えて準備万端です。
 チャーリーさんも師団長さんも引き締まった顔に変わったし、僕も緊張してきちゃった。
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