小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百六十五話 王城での僕の評判?

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 クリスちゃんとクリスちゃんのお母さんはたっぷりと十分程抱き合った後、名残惜しい様子で抱擁を解きました。
 でも、二人はしっかりと手を繋いでいます。

「ごほん、そろそろ私も降りても良いかな?」
「し、師団長様、ずっと馬車にいる事になり申し訳ありません」
「いやいや、親子の無事の再会だ。私とて二人の邪魔をする様な無粋な真似はできないよ」

 涙で目が真っ赤な夫人が師団長さんに頭を下げていたけど、師団長様も分かっていると特に気にしていません。
 僕も師団長さんと同じ状況だったら、馬車の中で待っているだろうね。

「それよりも、ターニャは少し落ち着いた方が良いだろう。我々は応接室にいるから、部屋に行って二人で話をするが良い」
「チャーリー様、ご配慮頂き誠に申し訳ありません」

 チャーリーさんも二人の事を気遣っていました。
 クリスちゃんのお母さんは目が真っ赤だし、二人っきりで話したい事も沢山あるはずだよね。

「じゃあ、我々は応接室に行くとしよう」

 そして、チャーリーさんの先導で、僕と師団長さんは応接室に向かいました。

「しかし、久しぶりにレオ君の話を聞いたかと思ったら、公爵家令嬢を救ってバーサス子爵の別荘を制圧して、更にポーション不足も解決したと。王城でも軍でも、この少年は一体何者かと改めて話題になっていたよ」

 そして応接室に入って開口一番に、師団長さんがニコニコしながら僕の事を話してきました。
 な、何か僕は反応しづらい事だね。
 前にも僕の事が王都で話題になっていたみたいだけど、更に僕の事が広まっちゃったみたいです。

「レオ君に直接関わっていていない者は、想像でしか事件の推移を考えられないのだよ。我々は直接レオ君にあっているから、これくらいならやるだろうと思ったよ」
「確かにレオ君は規格外の魔法の力を持ちながら、その力に溺れず周りのために使っている。教会がレオ君の事を黒髪の天使と称していたが、実際にレオ君を見るとあながち間違いではないと気付かされるものだ」
「あの、えーっと、その……」

 今度は、師団長さんだけでなくチャーリーさんまでニコリとしながら話してきたよ。
 僕は思わず何も言えなくなっちゃったよ。

「ははは、レオ君は物凄い魔法使いでかなり賢いが、まだまだ小さな男の子だからな。レオ君は、無理をせずにこれからも頑張っていけば良いさ。幸いにして、いつも良い人が側にいてくれるみたいだしね」

 師団長さんが言う通り、僕がとっても助かっている所は良い人に恵まれている所だね。
 それこそセルカーク直轄領で守備隊の人に救われてから、僕は色々な人に助けられているね。

「軍でも、そんな大魔導師は早く確保した方が良いと意見がでている。まだ幼い子どもだから、もっと成長させてあげないととはいって止めさせているよ」
「それは助かります。僕もまだ経験が足らないので、もっと色々な事を覚えたいです」
「冒険者として、社会経験を積むことは人としてとても大事だ。軍とかの組織にいると、考えが一つに凝り固まってしまう物だ」

 僕はまだ組織とか分からないけど、きっとその組織の考え方があるんだね。
 そういう所は僕はまだ理解でき無いし、先ずは冒険者として頑張らないと。
 でも、この前のゴブリンキングの騒ぎみたいに、協力できる事はどんどんとやるよ。

 こんこん。

「失礼します。ターニャ様とクリスティーヌ様が応接室に入られます」
「おお、そうか。入ってくれ」

 執事さんがクリスちゃんとお母さんが応接室に入るって言ってくれたけど、二人とも落ち着いたんだね。
 チャーリーさんが入室を許可してフタリが入ってきたけど、さっきは目が真っ赤で涙で化粧も落ちちゃったクリスちゃんのお母さんも、今は綺麗に化粧もし直しているよ。
 でも、クリスちゃんのお母さんの目はまだちょっと赤いね。
 一方のクリスちゃんは、お母さんと再会できてニコニコとしています。
 僕は席を立って、二人が席に着くのを待ちました。

「レオ君、クリスの母のターニャです。娘の命を救って頂き、本当にありがとう。どんなに感謝しても、レオ君には感謝しきれないわ」
「いえ、僕は出来る事をしたまでですよ」
「いいえ、こうして元気なクリスを見れたのは、間違いなくレオ君のおかげよ」

 ターニャさんが僕に頭を下げてきたけど、母親だからこそクリスちゃんの事を心から心配していたんだね。
 取り敢えず皆席に座って、改めて話をする事になりました。
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