小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
53 / 585
第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百四十八話 貴族の別荘に泊まります

しおりを挟む
 バーサス子爵が連行された後、チャーリーさんはアマード子爵家の先代様やウィリアムさんが使っていたのと同じ魔導具を、ポチポチと操作し始めました。

「うむ、王都のバーサス子爵邸も軍が捜索に入ったそうだ。まあ、前から犯罪組織と繋がっていると噂されていて、軍にマークされていたがな」

 犯罪組織って、アマード子爵領でもあったゴルゴン男爵家と似た組織なんだろうね。
 というか、バーサス子爵とゴルゴン男爵は似た貴族みたいだね。

「明日、バーサス子爵を引き取る為に軍が王都を出発するそうだ。フランソワーズ公爵家の者も、軍と一緒に来るみたいだね」
「うーん、もしかして師団長さんも来たりして」
「貴族による公爵家令嬢の殺害未遂だからな、来る可能性はあるだろう。王都からだと、十日もあればコバルトブルーレイク直轄領に着くだろう」

 個人的には、フランソワーズ公爵家から誰が来るかにも興味があります。
 因みに、別荘は守備隊による捜索が続くので、僕達は一度代官邸に戻る事になりました。

「しかし、この目でレオ君の魔法を見ましたが、流石はゴブリンキングを倒すだけの実力と思いました」

 シェファードさんが僕が別荘で襲ってきた人への対応を褒めてくれたけど、的が大きい分オオカミよりも人の方が簡単に魔法を当てられるんだよね。

「レオ君は、どの位までコバルトブルーレイク直轄領にいるつもりかな?」
「少なくても、秋くらいまでは居ようかと思っております」
「それは助かる。薬屋があんな状態になったから、当面の間の治療の手が必要になるよのだよ」

 確かに薬屋さんがあんな事になっちゃったから、ポーションの生産をどうするかが課題だよね。

「あの、僕はポーションと毒消しポーションが作れます。新しい人が来るまで、薬屋さんの代わりをしますか? その、お店番や帳簿とかは駄目ですが……」
「いや、申し訳ないが今はその手しかなさそうだ。ポーションを作れる人材は引く手あまただから、常に不足しているのだよ」

 確かに、アマード子爵領の薬屋さんも簡単にはお手伝いさんも見つからなかったよね。
 でも、ただポーションを作るだけじゃ駄目だもんね。

「それなら、出来上がったポーションは冒険者ギルドに納品すれば良いわ。後はシェファードさんと販売先を調整して、街の人にポーションが届く様にすれば完璧ね」
「そうだな。信頼できる商会があるから、そことギルドで契約を結べば良いだろう。そうすれば、街の人も別荘に来ている貴族の関係者も気軽にポーションを購入できるという訳だ」

 おお、これなら僕の負担はポーションを作るだけで済むね。
 流石に僕は商売の事は全く分からないし、そこは専門家にお任せだね。
 ポーション不足問題も解決しそうで、良かったです。

「明日レオ君と一緒にいた冒険者がマリアージュ侯爵家の別荘に伺いますので、どうか宜しくお願いします」
「いや、こちらこそ本当に助かった。また、宜しく頼むぞ」

 話し合いはこれで終わりなので、僕とチャーリーさんは馬車に乗って別荘に戻りました。

 カラカラカラ。

 シュッシュ。

「うん? シロちゃんもポーション作りを手伝ってくれるの?」

 シュッシュ!

「うわあ、ありがとう!」

 馬車の中で、僕の手の平に乗っていたシロちゃんが、触手をふりふりしながらポーション作りを手伝ってくれるとアピールしてくれました。
 シロちゃんも魔法が使える様になったし、薬草の抽出タイミングも分かるかもね。

「ふふ、やっぱりレオ君は可愛らしいな」

 シロちゃんとお話をしている僕の事を、チャーリーさんがニコニコとしながら見つめていました。
 因みに同行していた侍従さんは、顔を赤くしながらぷるぷるとしていました。

「お帰りなさいませ」
「ああ、クリスの様子はどうだ?」
「先程少し起きられまして、軽く食事を食べられましたら、またお眠りになっております」
「そうか、体力を消費したからな。ゆっくりと休ませないとな」

 チャーリーさんの別荘で出迎えてくれた執事さんが、女の子の病状を教えてくれたよ。
 少しでもご飯を食べられる位に回復して、僕もちょっと一安心です。
 もう夕食の時間になっちゃったので、チャーリーさんと食堂に行きました。
 夕食はお肉で、とっても良い匂いがしているよ。

「さあ、今日はレオ君も疲れただろう。早速食べてくれ」
「はい、わあ、とってもお肉が柔らかくて美味しいです!」
「そうか、それは良かった」

 チャーリーさんも僕の食べる姿を見て、ホッとしたみたいだよ。
 それから、少しお喋りをしながら食事を済ませました。

「今日は、レオ君には本当にお世話になった。もう少し落ち着いたら、改めて礼をしよう」

 チャーリーさんが、改めて僕にお礼を言ってきました。
 アマード子爵家での対応を思い出す限り、変に断るのは失礼だもんね。
 僕は、チャーリーさんからお礼を貰う事にしました。
 でも、ゴブリンキングとかを倒したお金も手に入るし、正直これ以上のお金はいらないんだよね。
 そして、僕は今日宿泊する部屋に案内されました。

 カチャ。

「こちらが、今夜お泊まりになるお部屋になります」
「わあー、素敵なお部屋です!」

 侍従さんに案内された部屋は、こざっぱりしていてとても品の良さそうな部屋です。
 正直言うと、バーサス子爵の別荘のキンキラキンの部屋とは大違いですね。

「何かありましたら、私どもに申し付けて下さいませ」

 侍従さんはそう言うと、部屋から出ていきました。
 僕は、自分とシロちゃんに生活魔法をかけてからベッドに入りました。

「ふわあ。シロちゃん、今日は色々あって疲れたね」

 枕元でシロちゃんも僕の呟きに同意する様に、ふるふると震えていました。
 でも、やっぱり色々あって疲れちゃったので、僕は直ぐに気持ち良いベッドで寝てしまいました。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。