小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百四十二話 ゴブリンキングを納品します

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「痛た。ギルマス、力入れ過ぎですよー」
「ふふ、そこまでしないとマヤちゃんを止められないって思ったのよ」

 えー!
 このお姉さんが、ギルドマスターなの!
 今までのギルドマスターは如何にもって感じの冒険者だったから、とってもビックリしちゃったよ。

「ふふ、君がレオ君だね。私はルナフレア、このコバルトブルーレイク直轄領のギルドマスターよ。宜しくね」
「えっ、僕の名前を知っているんですか?」
「ギルドマスター同士のネットワークってのもあるのよ。それに、村でのゴブリン襲撃事件の事もね」

 うん、ギルドマスターはポヤポヤしているかと思ったけど、頭が切れるんだね。
 僕の事も、直ぐに分かったよ。

「ギルドマスター、守備隊からの手紙です」
「イリアちゃん、ありがとうね。ふむふむ、ゴブリンキングの件ね。話は聞いているから大丈夫よ。大きいから、直接倉庫に行きましょうね」

 ギルドマスターが先陣を切って歩き出したので、僕達も後をついていきます。

「おや? ギルドマスター、どうしましたか?」
「今朝話をしたゴブリンキングが届いたのよ。一緒に、倉庫に来てくれないかしら?」
「へい、ついていきます。おい、他にも何人かついてこい」

 買取のカウンターに着くと、ギルドマスターが職員に声をかけていました。
 既に、ゴブリンキングの解体の手筈を整えているんだね。
 そのまま、皆で買取のカウンターの奥に進みます。

「じゃあ、レオ君、ここにゴブリンキングを出してくれないかな?」

 買取カウンターの奥は広いスペースがあって、獲物が腐らないようにか魔導具で冷たい風が吹いていました。
 獲物を冷凍する為の魔導具もあるそうです。
 その一角をギルドマスターが示したので、僕は魔法袋からゴブリンキングを取り出しました。

 どーん。

「「「おおー!」」」
「うんうん、紛れもなくゴブリンキングね」

 ゴブリンキングの大きさに買取の職員はとても驚いていたけど、ギルドマスターは全く表情を変えずにうんうんと頷いていました。

「私も昔ゴブリンキングを倒した事があるけど、とっても苦戦したわ。このゴブリンキングはほぼ無傷だし、レオ君がどれだけ強いか直ぐに分かるわあ」

 うん、やっぱりギルドマスターだけの事はあるね。
 ゴブリンキングの状態を見ただけで、僕の強さまで分かっちゃったみたいですね。

「血抜きも完璧ですな。これなら、急ぎの物も無いので一時間もあれば粗方解体は終わりますよ」
「良かったわ。じゃあ、お願いね」

 シロちゃんの血抜きは、いつも完璧だもんね。
 職員も太鼓判の出来なので、そのまま解体に進むそうです。
 ここは職員に任せて、僕達はギルドの受付に戻りました。

「あっ、ギルドマスターお帰りなさい」
「ただいま。うふふ、やっぱりレオ君は凄かったわよ」
「う、羨ましい……」

 ユリアさんとイリアさんの友達の所に戻ったけど、受付のお姉さんはちょっと悔しそうにしていたよ。
 僕は、ゴブリンキングを出しただけなんだけどね。

「ゴブリンキングの状態がとても良いから、査定額もアップできるわ。報奨金と併せて纏めて支払うから、もう少しだけ待っていてね」
「僕は急ぎでお金を必要としていないので、いつでも大丈夫です」
「うんうん、レオ君は良い子ね」
「「「羨ましい……」」」

 うーん、ギルドマスターに頭を撫でられているけど、何だかちょっと恥ずかしいなあ。
 そして、受付のお姉さんだけでなくユリアさんとイリアさんも、頭を撫でられている僕の事を羨ましい目で見ていました。
 そんなちょっとほのぼのしたタイミングで、冒険者ギルドに駆け込んでくる人が現れました。

「あの、教会から冒険者ギルドに黒髪の天使様がいるとお聞きしたのですが……」

 メイド服を着た侍従さんが、とっても焦った表情をしながら受付にやってきたよ。
 一体何があったのかな?

「落ち着いて下さいね。ちょうどあなたの目の前に、その黒髪の天使様がいますわよ」
「ああ、何という幸運なのでしょうか。神に感謝いたします」

 ギルドマスターが焦っている侍従に優しく声をかけると、侍従もようやく落ち着きました。

「教会に行ったら、守備隊から黒髪の天使様が到着したと連絡があったと言われました。病気の事なら、黒髪の天使様に相談したらどうかと言われまして」

 うん? 病気?
 侍従さんの話からすると、誰か病気の人がいるみたいですね。
 僕だけでなく、ギルドマスターの表情も変わりました。
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