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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百四十話 シロちゃんが魔法を覚えたよ

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 翌朝は、疲れていたのもあってかちょっと遅めの起床です。
 僕はベッドから起き上がって、目を擦りながら周りを見渡します。

「「すー、すー」」

 皆、夜遅くまで食堂で騒いでいたもんね。
 ユリアさんとイリアさんも、まだ熟睡中です。
 僕は着替えて、起きてきたシロちゃんと一緒に訓練をしてから食堂に向かいました。

「あっ、おはようございます」
「おう、おはよう。昨晩は楽しめたか?」
「はい、とっても楽しかったです!」
「そうか、そりゃ良かったな」

 食堂には昨日のゴブリン襲撃の時にも一緒だった、ちょっと厳ついお顔の冒険者グループが朝食を食べていました。
 あっ、そういえば重傷の人にはポーションを上げただけだもんね。
 僕は、足を引きずっている冒険者の所に近づきました。

 ピカー。

「これで足は大丈夫ですか? 昨日は、魔力が尽きちゃって治療できなくてごめんなさい」
「おお、すげーな。完全に足が治ったぞ。それに、あのポーションも普通のポーションよりも圧倒的に効果があったから気にするな」

 僕は、足引きずっていた人からの話を聞いてビックリしました。
 僕は普通にポーションを作っただけだし、セルカーク直轄領とアマード子爵領の薬屋さんの作り方と全く変わらないよ。

「うーん、もしかしたらコバルトブルーレイク直轄領の薬屋の腕が悪いのかもしれないな。確かにあそこの薬屋のポーションは、俺も効きが悪いと思ったぞ」

 別の冒険者が話したけど、ポーションの作り方って難しくないよね。
 コバルトブルーレイク直轄領に行ったら、薬屋さんの確認もしてみようっと。

「しかし、レオの連れている従魔も凄いな。昨日の酸弾攻撃もそうだけど、今も回復魔法を使っているぞ」
「えっ、本当ですか? あっ、本当だ!」

 冒険者が指さした所では、怪我をした冒険者を治療するシロちゃんの姿があったよ。
 しかも黄色い魔法の光だから、使っているのは聖魔法だ!

「シロちゃん、いつの間に魔法が使える様になったの?」

 僕はシロちゃんの所に行って、話を聞いてみました。
 僕は、シロちゃんの言う事が何となく分かるんだよね。

「えっと、ゴブリンをいっぱい吸収して一晩寝たら魔法が使える様になった、と。本当に?」

 シロちゃんは嘘じゃないと、僕に抗議をしてきます。

「ははは、そうか、そういう事か。つまりは、レオもそのスライムもいっぱい食べていっぱい寝て成長しろって事だよ」
「そうだな。レオは、凄いっていってもまだ子どもだ。大きくなるのか先だな」

 シロちゃんは、冒険者にその通りだって触手をフリフリしていたよ。
 確かに、昨日シロちゃんは倒したゴブリンのほぼ全てを吸収したらしいからね。
 シロちゃんはこんなにも小さいのに、あんな沢山のゴブリンを吸収できるんだ。

「あっ、レオ君ここに居た」
「探しちゃったよ」

 と、食堂にユリアさんとイリアさんがやってきました。
 そっか、部屋を出た時に二人はまだ寝ていたもんね。
 他の冒険者も飲みすぎてちょっと辛い表情だけど、食堂に集まってきました。

「あっ、そういえば今日はどうするんですか?」
「この後、守備隊から手紙を預かってくれって言われているから、それを待つよ」
「それが終わったら、いよいよコバルトブルーレイク直轄領に向けて出発ね。実は、三時間もあれば現地に着くんだよ」

 おお、いよいよコバルトブルーレイク直轄領に向けて出発なんですね。
 僕もシロちゃんも、ちょっとウキウキしています。

「おはようございます。あっ、ちょうど良い所にいましたね」

 タイミング良く、守備隊の人が宿にやってきました。
 手には、二つの手紙を持っています。

「こちらを宜しくお願いします。一枚は守備隊向けで、防壁の守備隊の隊員に渡して下さい。もう一枚は冒険者ギルド向けで、ゴブリンキングの件になっています」
「確かにお預かりしました」
「確実に渡します」

 手紙は、ユリアさんとイリアさんが受け取ってくれました。
 というか、冒険者の人達は飲み過ぎで顔色が悪いので、シロちゃんが治療をしていました。
 さて、これでオッケーなので、僕達は宿をチェックアウトして馬車乗り場に向かいます。

「じゃあ、宜しくお願いします。色々とありがとうございました」
「今度は俺達と一緒に組もうな!」

 馬車乗り場まで、守備隊の人と冒険者が見送りに来てくれました。
 僕とシロちゃんは、見送りに来てくれた人達に手を振りました。

 カラカラカラ。

 馬車も動き出して、いよいよ出発です。
 ゴブリンの襲撃には驚いたけど、とても良い経験になったね。
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