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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百三十七話 ゴブリンキングを撃破!

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 ゴブリンとの戦闘開始から、三十分が経ちました。
 陽も完全に上った防壁の前には、沢山のゴブリンの死骸が並んでいました。
 僕達とゴブリンの戦闘の激しさを物語っています。

「段々とゴブリンの数が減ってきたわね」
「そうなると、一番大きいのがそろそろ来るって訳ね」

 ユリアさんとイリアさんもだいぶ疲れているけど、ここからが本番です。

「「「グオー!」」」

 やっぱり現れました、ゴブリンジェネラルです。
 でも三匹のゴブリンジェネラルよりも、もっと大きいゴブリンがいるよ。

「グオオオオ!」
「ゴブリンキングか。こんな時に、面倒くさいのが来やがったな」

 ゴブリンジェネラルの倍くらいある大きなゴブリンが、あの有名なゴブリンキングなんだ。
 確かに迫力もあって、とっても強そうです。

「一回、広範囲魔法を使ってみます」
「レオ、やったれ!」

 僕は試しにという事で、昨日ゴブリンジェネラルを倒した風魔法と雷魔法の合体魔法を使ってみます。

「いけー!」

 ビューン、バリバリバリ!

「「「グギャーーー!」」」

 どしーん。

「何という魔法なんだ。まだまだ強力な魔法が使えるなんて」
「ゴブリンジェネラルまで倒してしまったぞ」

 守備隊の人の言う通り、何とか残ったゴブリンとゴブリンジェネラルまでは纏めて倒す事ができました。

「グオオオオーーー!」

 しかし、ゴブリンキングは皮膚が焦げて出血しているけど、まだまだ元気みたいです。
 そして、大きな体から想像もできないスピードで動き出しました。

「グギャー!」
「がはっ」
「グホッ……」

 そして、暴れるゴブリンキングが、次々と守備隊の人と冒険者を殴ったり蹴り飛ばしたりします。
 マズイ、このままでは怪我人が沢山出ちゃうよ。
 その時、ユリアさんとイリアさんが僕に声をかけてきました。
 正確には、僕とシロちゃんです。

「あっ、シロちゃんの酸弾をゴブリンキングの顔面にぶつけて、視界を奪う事ができるんじゃないかな?」
「後は、レオ君の魔力を圧縮したら、ゴブリンキングをつらぬけるかもしれないね」
「ありがとう、ユリアさん、イリアさん。僕、やってみますね」

 ユリアさんとイリアさんから、とっても良いヒントを貰ったよ。
 僕とシロちゃんは、ちょっと元気になりました。

 ピュッ、ピュッ、ピュッ。
 ジュー!

「グギャー!」
「おお、流石はシロちゃん! よーし、僕も負けてられないよ」

 早速シロちゃんは、触手を振り回してゴブリンキングの顔面目掛けて沢山の酸弾を放ちました。
 酸弾は上手いことゴブリンキングの目に当たって、ゴブリンキングは顔を手で押さえて苦しがっています。
 僕は、残り少ない魔力を手に溜めます。
 出来るだけ魔力を圧縮して、簡単に破られない様にっと。
 よし、出来た!

「いけー!」

 ザシュ。
 ブシャー、どしーん。

 僕は可能な限り圧縮したエアカッターを、ゴブリンキングを目掛けて放ちました。
 エアカッターはゴブリンキングの顔を覆っている手や腕ごと首を切り裂き、首から大量の血を吹き出しながら大きな音を立てて倒れました。
 僕は探索魔法を使って、周囲を探索します。

「ふう、周りには敵っぽい反応はないです」

 どさっ。

 僕は周りにそう告げると、思わず座り込んでしまいました。

「レオ君!」
「大丈夫?」
「な、何とか。魔力を殆ど使って疲れちゃいました」

 ユリアさんとイリアさんがシロちゃんと共に慌てて駆けつけてきたけど、僕はたははと笑いながら返事をしました。
 そして、守備隊の人と冒険者が顔を見合わせて頷きました。

「勝どきを上げろ! ゴブリンを討ち破ったぞ!」
「「「おーーー!」」」

 皆が武器を高々と掲げて、大きな声を上げていました。
 僕も、とてもホッとした気分です。

「うっ、うぅ……」
「大丈夫か? しっかりしろ!」

 あっ、ゴブリンキングにやられちゃった人がいるんだ。
 それに、怪我をした人もいっぱいいるよ。
 でも、僕ももう殆ど魔力がないし、どうしよう……
 あっ、あれがあったよ。
 僕はあるものを探すために、魔法袋の中をゴソゴソとしました。

「僕が作ったポーションです。ある程度の個数はあります」
「レオ君、本当に助かる。有り難く使わせて貰う」

 守備隊の人が、僕が魔法袋から取り出したポーションを持って、重傷者の所に持っていったよ。

「おい、ポーションだ。飲め」
「うぅ、た、助かった。だいぶ楽になったよ」

 何とか重傷者分のポーションは足りたみたいで、全員が一命を取り留めたみたいですね。
 ポーションの作り方を勉強していて、本当に良かったなあ。

 ぐるぐる。

「あれ? あらら……」

 ぽす。

 僕は突然目を回してしまい、ユリアさんの胸元に寄りかかってしまいました。
 ヤバイ、だいぶ眠くなっちゃったよ。

「ごめんなさい、もう眠くなっちゃった……」
「良いのよ。ゆっくりと休みなさいね」
「あー! ユリア、羨ましいしズルいよ!」

 僕は、そのままユリアさんに寄りかかって眠ってしまいました。
 イリアさんが何か叫んでいたけど、途中までしか聞こえませんでした。
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