小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百三十三話 ゴブリンジェネラルとの戦い

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 ガサゴソガサゴソ。

 僕達は、茂みの中から現れる何かを待ち受けます。
 その間に、僕は魔力を溜め始めました。

「グオー!」
「「「キシャー!」」」

 茂みの中から現れたのは、沢山のゴブリンと他のゴブリンよりも全然大きいゴブリンでした。

「ちっ、ゴブリンジェネラルが率いる群れかよ」
「厄介な奴が現れたな」

 とても大きいゴブリンは、名前からしてとっても強そうなゴブリンですね。
 ここは、手加減無しで攻撃しても良いですね。
 魔力も十分に溜まりました。
 僕は地面に手をついて、一気に魔法を発動させます。

「先制します、いけー!」

 シュイン、ザクザク。

「「「グギャー!」」」
「な、何なの? 地面から無数のトゲが出てきたよ?」
「レオ君の魔法って、こんなにも凄いのね……」

 僕は地面からいくつものトゲを出現させて、一気にゴブリンを倒します。
 魔法の本には、アースニードルって書いてありました。
 あっという間にゴブリンが倒れたので、ユリアさんとイリアさんはかなりビックリした声を出していました。

「グオーーー!」

 普通のゴブリンは殆ど倒せたけど、あのゴブリンジェネラルってのはダメージを受けたけどまだ動けます。
 というか、かなり怒っちゃったみたいですね。

「えーっと、ならこの魔法はどうだ!」

 キュイーン、ドーン!

「グ、グォ……」

 どしーん。

「「「す、すげー」」」

 僕は風と雷の合体魔法を、ゴブリンジェネラル目掛けて放ちました。
 ゴブリンジェネラルは何とか魔法を防ごうと腕をクロスして防御したけど、その腕ごと吹き飛ばされて魔法の直撃を受けました。
 お腹からプスプスと煙を上げながら、ゴブリンジェネラルは大きな音を立てて倒れました。
 ふう、意外としつこかったなあ。

「うーん、まだ僕の魔法では一発では倒せないですね」
「いやいや、ゴブリンジェネラルが率いる四十匹のゴブリンの群れなんて、冒険者が十人いても足りないんだぞ」
「それを、たった二発の魔法で全滅させるなんて」
「やっぱり、レオは規格外だな」

 ええ!
 そうなんですか?!
 僕がとってもビックリしていると、冒険者が呆れた表情を見せていました。
 と、とりあえずもう一回探索魔法をしてみたよ。

「え、えっと、周囲に反応はもうありません」
「くくく、誤魔化してやがるな。おい、シロよ、ゴブリンジェネラルは素材として使えるから、とりあえず血だけ抜いておけ」

 冒険者たちは笑いながら、ゴブリンの後始末をシロちゃんと一緒に始めました。
 うう、何か派手にやっちゃったかもしれないなあ。

「す、凄い。黒髪の天使様は、最低でも冒険者十人以上の力があるのか」
「しかも、あれだけの魔法を使っても全く余裕って感じですわ」
「おにーちゃん、かっこいー!」

 うう、同乗している家族にも何か勘違いされちゃった。
 しかも目の前で起きた事実だから、僕も否定しにくいなあ。

 パカッパカッパカッ。

 おや?
 僕達の所に、慌てた感じの騎馬隊が五騎やってきたよ。
 一体何があったんだ?

「はあはあ、我々はコバルトブルーレイク直轄領の守備隊だ。この周辺で、ゴブリンが大量に現れたという知らせを聞いた」
「君達は大丈夫……、うお、何だこのゴブリンの死骸の数は!」
「しかもゴブリンジェネラルまでいるぞ」

 どうもこの先でもゴブリンの集団が現れたから、急いでやって来たみたいですね。
 うーん、どうやって話をしようかな……

「殆どそこにいるレオが倒したぞ。あんたらも、小さな魔法使いや黒髪の魔導師って二つ名は知っているよな」
「さっきもゴブリンが沢山現れたんだが、レオの補助魔法であっという間に終わったぞ」
「ゴブリンジェネラルに率いられた四十匹の大群なんか、魔法二発で終わったぞ」
「「「はっ?」」」

 うんうん、そうなるよね。
 冒険者はだいぶ丁寧に話をしていたけど、守備隊の人は理解が追いついていないみたいです。
 どうやって説明しよう……

「あっ、また別の反応があります。今度は十です」
「ふう、またなのね」
「レオ君、やっちゃいましょう」

 探索魔法の端から、こっちに向かってくるのがいるよ。
 動きが早いから、オオカミかな?

「「「グルルル!」」」

 バリバリバリ。

「「「ギャウン!」」」
「普通ならオオカミ十頭でも十分脅威なのに、レオ君といると常識が崩れるわね」
「本当よね、私達はトドメをさすだけで済むもんね」

 やっぱり茂みの中から現れたのは、オオカミ十頭でした。
 エリアスタンでオオカミを痺れさせて、後はユリアさんとイリアさんと冒険者がトドメをさします。

「えっと、こんな感じです」
「うん、分かった。君が、小さな魔法使いで黒髪の魔導師って言われる所以が分かったよ」
「すげー、こんな凄い魔法を初めて見たよ」
「この実力なら、ゴブリンジェネラルを軽く倒せるのも頷けるな」

 実例を見せたら、守備隊の人も納得してくれました。
 そして、後始末が終わったら僕達に話をしてくれました。

「どうもこの森に、ゴブリンの巣がある可能性が高いと踏んでいる。というか、ゴブリンジェネラルが現れたのならほぼ間違いないだろう。だから、オオカミも生息地を追われて街道に来ているんだろうな」
「この後の対策を決める為に、近くの村で会議を開く事になっている」
「申し訳ないが、君達にも会議に参加して欲しい」

 うーん、これはかなりヤバイ事になっているみたいだね。
 ゴブリンが数多くいるなんて、旅が順調に行えないよね。
 どっちにしても今日はその村に泊まる予定なので、先ずは移動する事になりました。
 騎馬隊はこの先の馬車便にも声をかけると言って、走っていきました。
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