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第一章 新人冒険者
第十九話 既に有名人?
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こんな感じで、私はシルクさんと共に治療を続けていきます。
日中帯は街の人が主に治療に訪れていたけど、夕方頃になると依頼を終えた冒険者も増えてきました。
「おっ、シスターシルクじゃなくて、ねーちゃんが治療するのか」
「そうだよ。この子、中々の腕だよ」
「ほー、シスターシルクのお墨付きか。そりゃ期待できるな」
治療を受けに来た冒険者とシルクさんは気兼ねなく話をしているけど、街の人とも仲良く話をしていたしシルクさんはとても顔が広いんだ。
間違いなく、ギルドマスターの母親ってのもありそうです。
そんな中、私の耳を疑う発言が冒険者から聞こえてきました。
「そーいや、ねーちゃんが馬鹿をやった新人冒険者をぶっ飛ばしたって話を聞いたな」
「ぶっ飛ばしていないです! ちょっとお説教しただけですよ。というか、誰がそんな事を言ったんですか?」
「冒険者ギルドどころか、街の人も知っていたぞ。女の子が大声で厳つい男達に魔法を放って、更に怒鳴りつけていたってな」
あああー!
私は思い当たる節が沢山あったので、思わず頭を抱えてしまった。
冒険者ギルド内にいた副ギルドマスターも降りてきたほど、あの馬鹿な冒険者と私の声は大きかったんだ。
完全にやってしまったと、私は顔が真っ赤になってしまいました。
「馬鹿な冒険者にも、ねーちゃんは堂々ともの申す事ができるって事だ。悪いことじゃないぞ」
「そうね。この街は初心者の冒険者が多いけど、中には勘違いしているのもいるのよ。ガツンって言っていいのよ」
冒険者もシルクさんも全く問題ないと言っているけど、私としてはあまり派手にしたくなかった。
でも、馬鹿な冒険者に説教をしたのは他ならぬ私だ。
なんだか、一気に気持ちがどんよりとしてしまった。
その後も、何人かの冒険者に馬鹿な冒険者を説教したのを聞いたと言われていた。
治療が終わる頃には、街の人からも言われていた。
「はぁぁぁ、まさかこんな事になっているとは……」
「しょうがないさ。この街は娯楽に飢えているからね。じゃあ、来週も頼むよ」
治療としてはオッケーだったので週一回の依頼を受ける事になったけど、明日からなんて言われるかがとっても怖いです。
私はシルクさんに依頼完了のサインを貰って、教会を後にしました。
「はい、これで手続き完了です。お疲れ様です」
冒険者ギルドに行って完了手続きと報酬を貰ったけど、何事もなく対応してくれた受付のお姉さんの対応に救われました。
というのも、今も大量の視線が私に注がれています。
グミちゃんも、少し怯えた様子で私の肩に乗ってぴったりとくっついていました。
流石に居心地が悪いので、早々に冒険者ギルドを後にして宿兼食堂に向かいました。
「うーん、疲れた体にお肉が染み渡るよ」
今日は、思い切ってがっつりメニューにしました。
こういう時は、美味しいものを食べるに限るね。
ステーキを頬張る私のことを、グミちゃんも止めません。
というか、グミちゃんもステーキを堪能していました。
治療の時に、シルクさんだけでなくグミちゃんも色々と教えてくれたのだ。
精神的な疲れもあっただろうし、グミちゃんにはお腹いっぱい食べて欲しい。
こうして美味しいものを食べて宿のお風呂にゆっくりと浸かると、張り詰めていた気持ちもだいぶ緩んできた。
「でも、明日の午前中は副ギルドマスターと一緒に初心者冒険者向けの講座に出るんだよね。明日は、あまり出しゃばらないで副ギルドマスターにお任せしよう」
ベッドに潜り込んで、グミちゃんと寝る前のお喋りをしていました。
まずはちゃんとした講師にお任せして、私は補助に徹しようと心に決めました。
そして、精神的に疲れていたのもあり、私はいつの間にかすやすやと寝てしまいました。
日中帯は街の人が主に治療に訪れていたけど、夕方頃になると依頼を終えた冒険者も増えてきました。
「おっ、シスターシルクじゃなくて、ねーちゃんが治療するのか」
「そうだよ。この子、中々の腕だよ」
「ほー、シスターシルクのお墨付きか。そりゃ期待できるな」
治療を受けに来た冒険者とシルクさんは気兼ねなく話をしているけど、街の人とも仲良く話をしていたしシルクさんはとても顔が広いんだ。
間違いなく、ギルドマスターの母親ってのもありそうです。
そんな中、私の耳を疑う発言が冒険者から聞こえてきました。
「そーいや、ねーちゃんが馬鹿をやった新人冒険者をぶっ飛ばしたって話を聞いたな」
「ぶっ飛ばしていないです! ちょっとお説教しただけですよ。というか、誰がそんな事を言ったんですか?」
「冒険者ギルドどころか、街の人も知っていたぞ。女の子が大声で厳つい男達に魔法を放って、更に怒鳴りつけていたってな」
あああー!
私は思い当たる節が沢山あったので、思わず頭を抱えてしまった。
冒険者ギルド内にいた副ギルドマスターも降りてきたほど、あの馬鹿な冒険者と私の声は大きかったんだ。
完全にやってしまったと、私は顔が真っ赤になってしまいました。
「馬鹿な冒険者にも、ねーちゃんは堂々ともの申す事ができるって事だ。悪いことじゃないぞ」
「そうね。この街は初心者の冒険者が多いけど、中には勘違いしているのもいるのよ。ガツンって言っていいのよ」
冒険者もシルクさんも全く問題ないと言っているけど、私としてはあまり派手にしたくなかった。
でも、馬鹿な冒険者に説教をしたのは他ならぬ私だ。
なんだか、一気に気持ちがどんよりとしてしまった。
その後も、何人かの冒険者に馬鹿な冒険者を説教したのを聞いたと言われていた。
治療が終わる頃には、街の人からも言われていた。
「はぁぁぁ、まさかこんな事になっているとは……」
「しょうがないさ。この街は娯楽に飢えているからね。じゃあ、来週も頼むよ」
治療としてはオッケーだったので週一回の依頼を受ける事になったけど、明日からなんて言われるかがとっても怖いです。
私はシルクさんに依頼完了のサインを貰って、教会を後にしました。
「はい、これで手続き完了です。お疲れ様です」
冒険者ギルドに行って完了手続きと報酬を貰ったけど、何事もなく対応してくれた受付のお姉さんの対応に救われました。
というのも、今も大量の視線が私に注がれています。
グミちゃんも、少し怯えた様子で私の肩に乗ってぴったりとくっついていました。
流石に居心地が悪いので、早々に冒険者ギルドを後にして宿兼食堂に向かいました。
「うーん、疲れた体にお肉が染み渡るよ」
今日は、思い切ってがっつりメニューにしました。
こういう時は、美味しいものを食べるに限るね。
ステーキを頬張る私のことを、グミちゃんも止めません。
というか、グミちゃんもステーキを堪能していました。
治療の時に、シルクさんだけでなくグミちゃんも色々と教えてくれたのだ。
精神的な疲れもあっただろうし、グミちゃんにはお腹いっぱい食べて欲しい。
こうして美味しいものを食べて宿のお風呂にゆっくりと浸かると、張り詰めていた気持ちもだいぶ緩んできた。
「でも、明日の午前中は副ギルドマスターと一緒に初心者冒険者向けの講座に出るんだよね。明日は、あまり出しゃばらないで副ギルドマスターにお任せしよう」
ベッドに潜り込んで、グミちゃんと寝る前のお喋りをしていました。
まずはちゃんとした講師にお任せして、私は補助に徹しようと心に決めました。
そして、精神的に疲れていたのもあり、私はいつの間にかすやすやと寝てしまいました。
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