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第一章 新人冒険者
第十六話 特別講習の終わりと自業自得な冒険者たち
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私は、固まったままのブライアンさんに話しかけました。
「ブライアンさん、次お願いします」
「あっ、ああ。そうだな。それでは、これからもう一度座学の内容を話す。その場で座っていいので話を聞くように」
ブライアンさんが新人冒険者に話しかけているけど、新人冒険者は誰一人座らなかった。
うーん、ちょっとやりすぎちゃったかな。
まあ、ふざけた態度を取らないだけ良いと思いましょう。
「それでは、もう一度座学の話をする。というか、冒険者登録時に配られた冊子をしっかりと読めば終わる話だ。冒険者に限らず、どんな仕事も信用と信頼が必要だ。守るべき事を守る、その場に合わせた服装や装備を整える、依頼手続きや完了手続きはしっかりとやる。どれも、人として当たり前の事だ」
うん、あの暴言を吐いていた新人冒険者が、真面目な表情でブライアンさんの話を聞いています。
とても良い傾向だけど、話は当たり前の事なんだよなあ。
「依頼はギルド内に掲示してあるものであれば、誰でも受ける事ができる。上位の依頼は全て指名依頼となるので、指名依頼が受けられる様に自分の特性を磨くことだ。冒険者は稼げると言われているが、それは指名依頼をこなせるレベルになってからだ」
こうして、数分間のブライアンさんの話が終わった。
私としては二回目の話だし、昨晩寝る前に冊子をもう一回読んだので目新しい事はなかった。
しかし、目の前にいる冒険者はふむふむとブライアンさんの話を聞いて頷いていた。
「新人冒険者向け講習の場合は座学の後に実技を行っているが、お前たちは一度実技を受けているので再度は行わない。その代わりに、剣技の使い方を俺が教える。講習前に、少し休憩をする」
「「「はあ……」」」
休憩になって、冒険者はようやく一息つけたみたいです。
よたよたと座ってしまった人もいた。
ブライアンさんも、結構厳し目な言葉をかけていたもんなあ。
ブライアンさんも私も、少し休憩を取ります。
「ブライアンさん、すみませんでした。あまりの暴言に、怒りが抑えられませんでした」
「いや、あれはしょうがない。俺も、恐らく奴らを一喝していた。それに、上手く魔法を使って奴らを黙らせたと思えば良いだろう」
ブライアンさんもグミちゃんも、私の暴走は仕方ないって納得してくれました。
私も、何とか怒りを堪えつつ魔法の制御を行ったしね。
ここで、面白そうな表情をしたギルドマスターが訓練場にやってきた。
しかもギルドマスターは、私の方をニヤニヤと見ているぞ。
「いやあ、執務室からふと外を見たら面白いものが見れたぞ。まさか、洗浄魔法を使って荒くれ者を黙らせるとはな。まあ、奴らの暴言も酷かった。他人の身体的特徴をけなす前に、自分の事を見ろって話だ」
ギルドマスターは、私と暴言を吐いた冒険者を交互に見ていました。
そんなギルドマスターの発言に、ブライアンさんとグミちゃんもうんうんと頷いています。
そんなギルドマスターから、衝撃的な発言が冒険者に向かって発せられました。
「おい、お前ら。マイに言っていた事を、副ギルドマスターがバッチリ聞いていたぞ。この後、特別にブライアンと共に実技を教えるそうだ」
「「「えっ!?」」」
「凄い殺る気になっていたからな。覚悟しとけよ」
ギルドマスター、殺る気じゃなくてやる気でしょうが。
でも、私への暴言を副ギルドマスターも聞いていたのか。
そういえば、相当大きな声で叫んでいたもんなあ。
と、ここで副ギルドマスターが訓練場に向かってきた。
うん、昨日とは違って全身を金属の鎧で身に纏っていて、表情からもかなりの怒気が見て取れるぞ。
「「「ひいいい!」」」
そんな副ギルドマスターの姿を見た冒険者は、一斉に悲鳴を上げていた。
中には、思わず尻もちをついている人もいます。
でも、この場からは逃げられないだろう。
「あなた達ですか、自分の事を顧みずにマイちゃんに暴言を吐いた冒険者は。ちょっと書類整理も終わりましたし、私も少しばかり体を動かしたいですわ」
「「「ひっ、ひえっ……」」」
あーあ、ある意味女性蔑視の発言だから、副ギルドマスターもめちゃくちゃ怒っているんだ。
そんな副ギルドマスターは、ギルドマスターに向けてニッコリとしていました。
「あなたは、早く執務室に戻って書類整理の続きをして下さいね」
「はいはい、戻りますよ。やりすぎない程度に抑えてな」
「ふふ、分かりましたわ。まあ、あなた達の発言は冒険者ギルド内にも響いていましたから、多くの女性冒険者や窓口職員にロックオンされていますけどね」
「「「はわわわ……」」」
こうして、副ギルドマスターによる武器講習がスタートしてしまいました。
モヒカン頭四人組のみブライアンさんの武器講習を許され、残りの六人は強制的に副ギルドマスターの講習に参加となりました。
結果的に言うと全員冒険者登録合格になったのですが、副ギルドマスターの講習に強制参加となった六人はボロボロとなっていました。
しかし、副ギルドマスターは六人を一切怪我させていなかったので、私の治療の出番はありませんでした。
「ブライアンさん、次お願いします」
「あっ、ああ。そうだな。それでは、これからもう一度座学の内容を話す。その場で座っていいので話を聞くように」
ブライアンさんが新人冒険者に話しかけているけど、新人冒険者は誰一人座らなかった。
うーん、ちょっとやりすぎちゃったかな。
まあ、ふざけた態度を取らないだけ良いと思いましょう。
「それでは、もう一度座学の話をする。というか、冒険者登録時に配られた冊子をしっかりと読めば終わる話だ。冒険者に限らず、どんな仕事も信用と信頼が必要だ。守るべき事を守る、その場に合わせた服装や装備を整える、依頼手続きや完了手続きはしっかりとやる。どれも、人として当たり前の事だ」
うん、あの暴言を吐いていた新人冒険者が、真面目な表情でブライアンさんの話を聞いています。
とても良い傾向だけど、話は当たり前の事なんだよなあ。
「依頼はギルド内に掲示してあるものであれば、誰でも受ける事ができる。上位の依頼は全て指名依頼となるので、指名依頼が受けられる様に自分の特性を磨くことだ。冒険者は稼げると言われているが、それは指名依頼をこなせるレベルになってからだ」
こうして、数分間のブライアンさんの話が終わった。
私としては二回目の話だし、昨晩寝る前に冊子をもう一回読んだので目新しい事はなかった。
しかし、目の前にいる冒険者はふむふむとブライアンさんの話を聞いて頷いていた。
「新人冒険者向け講習の場合は座学の後に実技を行っているが、お前たちは一度実技を受けているので再度は行わない。その代わりに、剣技の使い方を俺が教える。講習前に、少し休憩をする」
「「「はあ……」」」
休憩になって、冒険者はようやく一息つけたみたいです。
よたよたと座ってしまった人もいた。
ブライアンさんも、結構厳し目な言葉をかけていたもんなあ。
ブライアンさんも私も、少し休憩を取ります。
「ブライアンさん、すみませんでした。あまりの暴言に、怒りが抑えられませんでした」
「いや、あれはしょうがない。俺も、恐らく奴らを一喝していた。それに、上手く魔法を使って奴らを黙らせたと思えば良いだろう」
ブライアンさんもグミちゃんも、私の暴走は仕方ないって納得してくれました。
私も、何とか怒りを堪えつつ魔法の制御を行ったしね。
ここで、面白そうな表情をしたギルドマスターが訓練場にやってきた。
しかもギルドマスターは、私の方をニヤニヤと見ているぞ。
「いやあ、執務室からふと外を見たら面白いものが見れたぞ。まさか、洗浄魔法を使って荒くれ者を黙らせるとはな。まあ、奴らの暴言も酷かった。他人の身体的特徴をけなす前に、自分の事を見ろって話だ」
ギルドマスターは、私と暴言を吐いた冒険者を交互に見ていました。
そんなギルドマスターの発言に、ブライアンさんとグミちゃんもうんうんと頷いています。
そんなギルドマスターから、衝撃的な発言が冒険者に向かって発せられました。
「おい、お前ら。マイに言っていた事を、副ギルドマスターがバッチリ聞いていたぞ。この後、特別にブライアンと共に実技を教えるそうだ」
「「「えっ!?」」」
「凄い殺る気になっていたからな。覚悟しとけよ」
ギルドマスター、殺る気じゃなくてやる気でしょうが。
でも、私への暴言を副ギルドマスターも聞いていたのか。
そういえば、相当大きな声で叫んでいたもんなあ。
と、ここで副ギルドマスターが訓練場に向かってきた。
うん、昨日とは違って全身を金属の鎧で身に纏っていて、表情からもかなりの怒気が見て取れるぞ。
「「「ひいいい!」」」
そんな副ギルドマスターの姿を見た冒険者は、一斉に悲鳴を上げていた。
中には、思わず尻もちをついている人もいます。
でも、この場からは逃げられないだろう。
「あなた達ですか、自分の事を顧みずにマイちゃんに暴言を吐いた冒険者は。ちょっと書類整理も終わりましたし、私も少しばかり体を動かしたいですわ」
「「「ひっ、ひえっ……」」」
あーあ、ある意味女性蔑視の発言だから、副ギルドマスターもめちゃくちゃ怒っているんだ。
そんな副ギルドマスターは、ギルドマスターに向けてニッコリとしていました。
「あなたは、早く執務室に戻って書類整理の続きをして下さいね」
「はいはい、戻りますよ。やりすぎない程度に抑えてな」
「ふふ、分かりましたわ。まあ、あなた達の発言は冒険者ギルド内にも響いていましたから、多くの女性冒険者や窓口職員にロックオンされていますけどね」
「「「はわわわ……」」」
こうして、副ギルドマスターによる武器講習がスタートしてしまいました。
モヒカン頭四人組のみブライアンさんの武器講習を許され、残りの六人は強制的に副ギルドマスターの講習に参加となりました。
結果的に言うと全員冒険者登録合格になったのですが、副ギルドマスターの講習に強制参加となった六人はボロボロとなっていました。
しかし、副ギルドマスターは六人を一切怪我させていなかったので、私の治療の出番はありませんでした。
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