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第一章 新人冒険者
第十四話 まさかの指名依頼
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私達が手合わせを終えて、ギルドマスターの所にやってきた時でした。
何故か、ギルドマスターがニヤニヤしながら私に話しかけてきました。
「いやあ、マイは強かったし回復魔法も使える。そんなマイに指名依頼があるぞ」
「し、指名依頼、ですか? 今日、冒険者登録したばっかりなのに」
「ははは。実力があれば、新人だって関係ないさ」
高笑いするギルドマスターを見て物凄く不安になったけど、細かい事はこの二人が教えてくれました。
まずは、ブライアンさんです。
「一つは、明日午前に行われる特別講座で俺の補佐をする事だ。荒くれ者が相手だから、毎回怪我人が出るんだよな」
「それって、あのモヒカン頭も受けるって講座ですよね? もしかして、見た目は厳ついけど、中身は大した事ないのが殆どですか?」
「殆どというか、全員だな。マイどころか、そのスライムにも勝てないだろう。まあ、初心者冒険者講習で叩きのめされているから、話は聞くだろうな」
うわあ、いきなり面倒くさい指名依頼がきたぞ。
私もグミちゃんも、あのモヒカン頭達の相手は嫌なんですけど。
指名依頼って事は逃げられないだろうし、私は思わずガクリとしてしまった。
次に話してきたのは、副ギルドマスターです。
「二つ目は、明日の午後に教会で行う治療の手伝いね。マイちゃんは、回復魔法で怪我人や病人の治療をするのよ」
「それなら、私にでもできそうです。力仕事も任せて下さい」
「うんうん、とても頼もしいわ。普段はお金をとって治療をするけど、明日は奉仕の一環で無料で行うわ。でも、キチンと報酬は出るから安心してね」
治療対応は魔法の勉強にもなるし、積極的に受けたい依頼だ。
グミちゃんもオッケーを出しているし、まずは指名依頼をキチンとこなしてからだね。
「今日の治療分は、明日の特別講座の時に合算して払うぞ。いやあ、今日の初心者冒険者講習はかなり良かったなあ」
「ええ、本当ですわね。掘り出し物の冒険者を見つけましたわ」
「若いし、まだ鍛え甲斐がある。俺も楽しみだ」
そして、私はツワモノ兼偉い人にロックオンされてしまったみたいだ。
冒険者生活一日目にして、波乱なスタートとなってしまったみたいです。
私はトホホって思いながら、みんなでぞろぞろと冒険者ギルドの中に入っていき、受付に冒険者カードを提出して完了手続きをしました。
はあ、疲れたから夕食を食べたら早く寝ようっと。
私は食堂兼宿に戻って、がっつり食べるメニューを頼みました。
「お待たせしました。ステーキセットです」
おお、いい感じに焼かれたステーキにサラダとパンがついてきている。
お皿を一つ貰ってグミちゃん分も取り分けて、夕食の準備完了です。
お肉が熱々のうちに食べちゃいましょう。
「頂きます。おお、お肉の旨味が強くてとても美味しいね」
この世界の料理は、私的には結構当たりな気がする。
単純にまずい料理を食べていないだけかもしれないけど、食生活に困る事はなさそうだ。
もちろん、グミちゃんも出された料理に大満足です。
「美味しそうに食べるな」
「ええ、そうね。ニコニコしているわね」
と、ここでジェフさんとアクアさんさんが私の座っていた席にやってきました。
更には、ブライアンさんも席に座りました。
周りを見ると、食事をする人も増えてきたみたいだ。
「いやあ、今日は楽しかったな。俺もまだまだ実力不足だと感じたぞ」
「私だったら、きっとマイちゃんに負けていたわ」
「いえいえ、私も良い勉強になりました」
ジェフさんとアクアさんと今日の手合わせの感想を言っていたら、ブライアンさんが少し不思議そうな表情で私の事を見ました。
「マイよ、格闘は誰に習った? モヒカン頭の連中の治療の時に基礎訓練の事も言っていたが、ありゃ格闘をかじったってレベルじゃ分からないぞ」
「あっ、死んだ祖父に小さい頃から習ったというか、教えられたというか、叩き込まれたというか。それこそ、基礎から打撃に投技と色々とやりました」
「だろうな。マイの年齢で、そこまでできるのは専門的な教育が必要だ。剣技にしても同じだ」
普段は優しい祖父だったのに、空手や柔道になると厳しかったもんなあ。
今、その厳しい訓練が役に立とうとしているけど、人生って何があるか分からないんだよね。
「その代わりに、魔法に関しては全くの素人です。お昼も大爆発しちゃって、守備隊の人に迷惑をかけちゃいました。回復魔法もちょっとしか分からないし、身体能力強化もまだまだなんです。グミちゃん先生に、色々と教わっている最中です」
「魔法なんて、冒険者登録とかで判明するのが多いから仕方ないさ。来週にはこの街のもう一人の魔法使いが出先から帰ってくるから、マイの事を紹介してやる。それまでは、スライムに教えを請うんだな」
この街には、魔法が使える冒険者がいるんだ。
この世界は魔法が少ないって聞いているし、一体どんな人なのか興味がある。
話はここまでなので、冷めないうちにお肉を食べちゃおうっと。
「マイは、暫くは治療の指名依頼を多く受けるだろう。せっかくの回復魔法使いが現れたのだから、この際に一気に治療しちゃおうって話だ」
「教会付属の治療院での依頼もありそうだし、一週間なんてあっという間に過ぎちゃうわ」
ジェフさんとアクアさんさんの話を聞くに、この世界は医療はそこまで発展していなさそうだ。
となると、どんな治療法があるか教会に行った時に聞いてみよう。
こうしてジェフさん、アクアさん、ブライアンさんとの楽しい夕食は終わりました。
「じゃあな。近々一緒に依頼をしよう」
「おやすみね。早く寝るのよ」
「明日は宜しくな」
三人は別の宿に泊まっているそうなので、ここでお別れです。
私とグミちゃんは、三人に挨拶をしてから宿の部屋に移動しました。
ぼすっ。
私は部屋に入ると、ベッドにダイブします。
はあ、本当に沢山の事があったなあ。
今日は、バイトが終わってから突然どっかにいって。
女神様の話になって、九歳も若くなって。
異世界に行ってグミちゃんと冒険者登録して、冒険者に出会って、っと。
目まぐるしく状況が動いて、何が何だか分からなかったなあ。
「この先、どうなっちゃうのかな……」
仰向けになって、胸にグミちゃんを抱きながらポツリと呟きます。
幸いにしてとても良い人に出会えたけど、もちろん悪人だっているだろう。
元いた世界と文明も文化も違うし、まだまだ分からない事だらけだ。
今日は冒険者登録と講習に集中していたから、こうして一人になると不安も出てくる。
「取り敢えず、お風呂に入ってゆっくりしよう。色々考えても、堂々巡りにしかならないよ」
私は、ベッドから上半身を起こします。
装備を外して魔法袋に入れて、グミちゃんを抱きながらベッドから降ります。
休む時はキチンと休まないと。
そう気持ちを切り替えて、私はお風呂に向かいました。
何故か、ギルドマスターがニヤニヤしながら私に話しかけてきました。
「いやあ、マイは強かったし回復魔法も使える。そんなマイに指名依頼があるぞ」
「し、指名依頼、ですか? 今日、冒険者登録したばっかりなのに」
「ははは。実力があれば、新人だって関係ないさ」
高笑いするギルドマスターを見て物凄く不安になったけど、細かい事はこの二人が教えてくれました。
まずは、ブライアンさんです。
「一つは、明日午前に行われる特別講座で俺の補佐をする事だ。荒くれ者が相手だから、毎回怪我人が出るんだよな」
「それって、あのモヒカン頭も受けるって講座ですよね? もしかして、見た目は厳ついけど、中身は大した事ないのが殆どですか?」
「殆どというか、全員だな。マイどころか、そのスライムにも勝てないだろう。まあ、初心者冒険者講習で叩きのめされているから、話は聞くだろうな」
うわあ、いきなり面倒くさい指名依頼がきたぞ。
私もグミちゃんも、あのモヒカン頭達の相手は嫌なんですけど。
指名依頼って事は逃げられないだろうし、私は思わずガクリとしてしまった。
次に話してきたのは、副ギルドマスターです。
「二つ目は、明日の午後に教会で行う治療の手伝いね。マイちゃんは、回復魔法で怪我人や病人の治療をするのよ」
「それなら、私にでもできそうです。力仕事も任せて下さい」
「うんうん、とても頼もしいわ。普段はお金をとって治療をするけど、明日は奉仕の一環で無料で行うわ。でも、キチンと報酬は出るから安心してね」
治療対応は魔法の勉強にもなるし、積極的に受けたい依頼だ。
グミちゃんもオッケーを出しているし、まずは指名依頼をキチンとこなしてからだね。
「今日の治療分は、明日の特別講座の時に合算して払うぞ。いやあ、今日の初心者冒険者講習はかなり良かったなあ」
「ええ、本当ですわね。掘り出し物の冒険者を見つけましたわ」
「若いし、まだ鍛え甲斐がある。俺も楽しみだ」
そして、私はツワモノ兼偉い人にロックオンされてしまったみたいだ。
冒険者生活一日目にして、波乱なスタートとなってしまったみたいです。
私はトホホって思いながら、みんなでぞろぞろと冒険者ギルドの中に入っていき、受付に冒険者カードを提出して完了手続きをしました。
はあ、疲れたから夕食を食べたら早く寝ようっと。
私は食堂兼宿に戻って、がっつり食べるメニューを頼みました。
「お待たせしました。ステーキセットです」
おお、いい感じに焼かれたステーキにサラダとパンがついてきている。
お皿を一つ貰ってグミちゃん分も取り分けて、夕食の準備完了です。
お肉が熱々のうちに食べちゃいましょう。
「頂きます。おお、お肉の旨味が強くてとても美味しいね」
この世界の料理は、私的には結構当たりな気がする。
単純にまずい料理を食べていないだけかもしれないけど、食生活に困る事はなさそうだ。
もちろん、グミちゃんも出された料理に大満足です。
「美味しそうに食べるな」
「ええ、そうね。ニコニコしているわね」
と、ここでジェフさんとアクアさんさんが私の座っていた席にやってきました。
更には、ブライアンさんも席に座りました。
周りを見ると、食事をする人も増えてきたみたいだ。
「いやあ、今日は楽しかったな。俺もまだまだ実力不足だと感じたぞ」
「私だったら、きっとマイちゃんに負けていたわ」
「いえいえ、私も良い勉強になりました」
ジェフさんとアクアさんと今日の手合わせの感想を言っていたら、ブライアンさんが少し不思議そうな表情で私の事を見ました。
「マイよ、格闘は誰に習った? モヒカン頭の連中の治療の時に基礎訓練の事も言っていたが、ありゃ格闘をかじったってレベルじゃ分からないぞ」
「あっ、死んだ祖父に小さい頃から習ったというか、教えられたというか、叩き込まれたというか。それこそ、基礎から打撃に投技と色々とやりました」
「だろうな。マイの年齢で、そこまでできるのは専門的な教育が必要だ。剣技にしても同じだ」
普段は優しい祖父だったのに、空手や柔道になると厳しかったもんなあ。
今、その厳しい訓練が役に立とうとしているけど、人生って何があるか分からないんだよね。
「その代わりに、魔法に関しては全くの素人です。お昼も大爆発しちゃって、守備隊の人に迷惑をかけちゃいました。回復魔法もちょっとしか分からないし、身体能力強化もまだまだなんです。グミちゃん先生に、色々と教わっている最中です」
「魔法なんて、冒険者登録とかで判明するのが多いから仕方ないさ。来週にはこの街のもう一人の魔法使いが出先から帰ってくるから、マイの事を紹介してやる。それまでは、スライムに教えを請うんだな」
この街には、魔法が使える冒険者がいるんだ。
この世界は魔法が少ないって聞いているし、一体どんな人なのか興味がある。
話はここまでなので、冷めないうちにお肉を食べちゃおうっと。
「マイは、暫くは治療の指名依頼を多く受けるだろう。せっかくの回復魔法使いが現れたのだから、この際に一気に治療しちゃおうって話だ」
「教会付属の治療院での依頼もありそうだし、一週間なんてあっという間に過ぎちゃうわ」
ジェフさんとアクアさんさんの話を聞くに、この世界は医療はそこまで発展していなさそうだ。
となると、どんな治療法があるか教会に行った時に聞いてみよう。
こうしてジェフさん、アクアさん、ブライアンさんとの楽しい夕食は終わりました。
「じゃあな。近々一緒に依頼をしよう」
「おやすみね。早く寝るのよ」
「明日は宜しくな」
三人は別の宿に泊まっているそうなので、ここでお別れです。
私とグミちゃんは、三人に挨拶をしてから宿の部屋に移動しました。
ぼすっ。
私は部屋に入ると、ベッドにダイブします。
はあ、本当に沢山の事があったなあ。
今日は、バイトが終わってから突然どっかにいって。
女神様の話になって、九歳も若くなって。
異世界に行ってグミちゃんと冒険者登録して、冒険者に出会って、っと。
目まぐるしく状況が動いて、何が何だか分からなかったなあ。
「この先、どうなっちゃうのかな……」
仰向けになって、胸にグミちゃんを抱きながらポツリと呟きます。
幸いにしてとても良い人に出会えたけど、もちろん悪人だっているだろう。
元いた世界と文明も文化も違うし、まだまだ分からない事だらけだ。
今日は冒険者登録と講習に集中していたから、こうして一人になると不安も出てくる。
「取り敢えず、お風呂に入ってゆっくりしよう。色々考えても、堂々巡りにしかならないよ」
私は、ベッドから上半身を起こします。
装備を外して魔法袋に入れて、グミちゃんを抱きながらベッドから降ります。
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