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第一章 新人冒険者
第五話 初めての魔法は大失敗
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てくてくてく。
私は、グミちゃんと共にひたすら街道を歩いています。
一時間ほど歩くと、街もかなり大きく見えてきました。
道中も、グミちゃんと他愛のない事を話していました。
やはり、一人じゃないのはとても心が安心します。
あと一時間も歩けば街に着きそうだけど、ここは無理をせずに一回休憩をします。
街道の端に移動して、手ごろな木に座って寄りかかります。
グミちゃんも、地面に座った私の足の上にぴょんとジャンプしてきました。
「グミちゃん、もうそろそろ街に着くね。街に近づくと、異世界に来たって実感がするね」
グミちゃんもふるふるしながら、私の言葉に答えています。
そよそよと心地よい風が吹いていて、とにかく気持ちよいです。
周囲の景色を眺めていて、私はふとある事を思い出しました。
「グミちゃん、魔法の事って何か知っている?」
女性は私に聖魔法のグミちゃんに風魔法の適性があるって言っていたけど、そもそも魔法をどう使うのか全く分からない。
すると、グミちゃんは魔法の使い方が分かるとふにふにしながら魔法の使い方が分かると答えた。
これは助かったと思いながら、私は休憩時間を利用してグミちゃんから魔法を教わる事にしました。
まずは魔力循環からという事で、グミちゃんが私が差し出した両手の手のひらの中にぴょんと飛び込んできました。
シュイーン。
「わわっ、体の中に温かい物が流れ込んできた。これが魔力なんだ」
グミちゃんは、私の手のひらを通じて魔力を流し始めました。
温かい物が体の中を循環する感覚に、私はビックリしながらも感動を覚えていました。
グミちゃんが魔力循環を止めたので、今度は私が魔力循環を始めます。
体の中にある温かい物を、血液が流れる感覚で行なおう。
私は目をつぶりながら、魔力循環を始めました。
シュイーン。
「こ、これが魔力循環か。武道と同じ様に、今は腹に意識を集中すると上手くいくね」
何とか私も魔力循環に成功したけど、上手に魔力を扱える為には武道と同じく毎日の訓練が必要だ。
でも私は、新しい感覚に何とも言えない感動を覚えていました。
「次は魔力放出だけど、聖魔法は治療するイメージが強いよなあ」
居酒屋のバイト仲間から借りた異世界物の本やゲームだと聖魔法は怪我を治したり悪い物を浄化するイメージだったけど、グミちゃん曰く聖魔法も攻撃魔法が使えるという。
ここも魔法使いの先輩のグミちゃんに、魔法を教えて貰います。
私は立ち上がって、寄りかかっていた木から反対の道の端にある平原に向かいます。
周囲に何もないし、ここなら何かあっても大丈夫。
早速グミちゃんが、風属性の魔力を溜め始めました。
シューン、バシーン。
「おお、グミちゃん凄い! 魔力を手先とかに溜めて、対象物に放つんだね」
グミちゃんは、魔力を上手く溜めて平原に向けて魔法を放ち、平原の十メートル先にあった石を上手く弾き飛ばしました。
あんなにも小さな石を壊さずに弾くなんて、グミちゃんの魔力制御は本当に凄いね。
よし、次は私の番だ。
うーん、対象物に手のひらを向けるよりも、拳を向けたほうが魔力を集める事ができそうだ。
シュイン、シュイン。
「よーし。では、初めての放出魔法だよ。どんな結果になるかな?」
私は、突き出した拳に魔力を溜めました。
グミちゃんも、私の足元で触手をふりふりして応援してくれています。
狙いはグミちゃんが風魔法で弾いた、十メートル先の小石です。
「いっくよー」
シューイン、ズドドドドーーーン!
「はわ、はわわわ……」
私が魔法を小石手掛けて放つと、派手な爆発音と共に土ぼこりと爆風が吹き上がりました。
私は、目の前で起きた光景に、拳を突き出し驚きの表情のまま固まっちゃいました。
ころころころ。
「わあー! グミちゃんごめーん」
グミちゃんが爆風でコロコロと転がっちゃったので、私は慌ててグミちゃんを抱き上げました。
グミちゃんも若干驚きの表情をしているけど、それだけ大きな爆発だった。
私は、恐る恐る魔法を放った方に向き直った。
「わぁ……やっちゃった……」
そこには驚愕の光景が広がっていて、私は直視したくなかった。
土ぼこりが止んだ草原には、ポッカリと直径五メートルはあろうかという大きな穴があいていた。
もちろん魔法を放つ目的にしていた小さな石は消し飛んでいて、魔法の威力の大きさを物語っていた。
「グミちゃん、これどうしようか。見なかった事にする?」
私は抱いているグミちゃんに困惑の表情を向けたが、グミちゃんも困った表情のままだった。
うーん、逃げちゃおうかなって一瞬思ったけど、そうは問屋が卸さなかった。
パカッ、パカッ、パカッ。
少しして街の方から馬の足音が聞こえて振り返ると、鎧に身をつつんだ三騎の騎馬隊が私達の方にやってきた。
うん、騎馬に乗っている人がとっても焦ってる表情をしているけど、絶対に理由はあれだね。
パカッ、パカッ、パカッ。
「君たち、この周辺で大きな爆発音と土煙を見なかったか? って、何だあの大穴は!」
「人が掘ったにしては、あまりにも綺麗すぎます」
「一体、何が起きたらこうなるんだ?」
騎馬から降りた騎士っぽい人が私とグミちゃんに話しかけようとしたが、一様に平原にあいた大穴に衝撃を受けていた。
本来なら何故異世界の人と会話が通じるかと気にする所だが、今の私にはそんな余裕は全くなかった。
「すみません、私が魔法の練習をして大穴をあけちゃいました。初めて魔法を使ったので、上手く魔力制御ができませんでした。本当にごめんなさい」
私とグミちゃんは、騎士っぽい人に向かって土下座をしました。
うん、ここは正直に話をするべきだ。
すると、騎士は納得した声をあげていた。
「そっか、そういう事か。君は、見た目からすると冒険者志望の女の子だな。確か一年前にも同じ事があったな」
「しかし、これだけの穴があく魔法を放てるとは、将来有望な魔法使いになれるぞ」
「では、街に報告しに戻らないとな。君も頑張って訓練するんだよ」
「……はい、ありがとうございます」
騎士っぽい人は、顔を上げた私とグミちゃんにニコリとしながら温かい言葉をかけてくれました。
そして、直ぐに馬に乗って街の方に戻っていきました。
パカッ、パカッ、パカッ。
「グミちゃん、私もっと魔力制御を訓練するね。でないと、また爆発を起こしちゃうよね」
まだ膝をついている私は、遠ざかる騎馬隊を見送りながらグミちゃんに決意表明をしました。
グミちゃんも頑張って教えると、ふるふると震えていました。
こうして、私の初魔法は大失敗した上に、異世界に来て初めてあった人に土下座をしてしまいました。
みっともない異世界デビューだったけど、ある意味私らしいと思って立ち上がって服に付いた土を払い落としました。
私は、グミちゃんと共にひたすら街道を歩いています。
一時間ほど歩くと、街もかなり大きく見えてきました。
道中も、グミちゃんと他愛のない事を話していました。
やはり、一人じゃないのはとても心が安心します。
あと一時間も歩けば街に着きそうだけど、ここは無理をせずに一回休憩をします。
街道の端に移動して、手ごろな木に座って寄りかかります。
グミちゃんも、地面に座った私の足の上にぴょんとジャンプしてきました。
「グミちゃん、もうそろそろ街に着くね。街に近づくと、異世界に来たって実感がするね」
グミちゃんもふるふるしながら、私の言葉に答えています。
そよそよと心地よい風が吹いていて、とにかく気持ちよいです。
周囲の景色を眺めていて、私はふとある事を思い出しました。
「グミちゃん、魔法の事って何か知っている?」
女性は私に聖魔法のグミちゃんに風魔法の適性があるって言っていたけど、そもそも魔法をどう使うのか全く分からない。
すると、グミちゃんは魔法の使い方が分かるとふにふにしながら魔法の使い方が分かると答えた。
これは助かったと思いながら、私は休憩時間を利用してグミちゃんから魔法を教わる事にしました。
まずは魔力循環からという事で、グミちゃんが私が差し出した両手の手のひらの中にぴょんと飛び込んできました。
シュイーン。
「わわっ、体の中に温かい物が流れ込んできた。これが魔力なんだ」
グミちゃんは、私の手のひらを通じて魔力を流し始めました。
温かい物が体の中を循環する感覚に、私はビックリしながらも感動を覚えていました。
グミちゃんが魔力循環を止めたので、今度は私が魔力循環を始めます。
体の中にある温かい物を、血液が流れる感覚で行なおう。
私は目をつぶりながら、魔力循環を始めました。
シュイーン。
「こ、これが魔力循環か。武道と同じ様に、今は腹に意識を集中すると上手くいくね」
何とか私も魔力循環に成功したけど、上手に魔力を扱える為には武道と同じく毎日の訓練が必要だ。
でも私は、新しい感覚に何とも言えない感動を覚えていました。
「次は魔力放出だけど、聖魔法は治療するイメージが強いよなあ」
居酒屋のバイト仲間から借りた異世界物の本やゲームだと聖魔法は怪我を治したり悪い物を浄化するイメージだったけど、グミちゃん曰く聖魔法も攻撃魔法が使えるという。
ここも魔法使いの先輩のグミちゃんに、魔法を教えて貰います。
私は立ち上がって、寄りかかっていた木から反対の道の端にある平原に向かいます。
周囲に何もないし、ここなら何かあっても大丈夫。
早速グミちゃんが、風属性の魔力を溜め始めました。
シューン、バシーン。
「おお、グミちゃん凄い! 魔力を手先とかに溜めて、対象物に放つんだね」
グミちゃんは、魔力を上手く溜めて平原に向けて魔法を放ち、平原の十メートル先にあった石を上手く弾き飛ばしました。
あんなにも小さな石を壊さずに弾くなんて、グミちゃんの魔力制御は本当に凄いね。
よし、次は私の番だ。
うーん、対象物に手のひらを向けるよりも、拳を向けたほうが魔力を集める事ができそうだ。
シュイン、シュイン。
「よーし。では、初めての放出魔法だよ。どんな結果になるかな?」
私は、突き出した拳に魔力を溜めました。
グミちゃんも、私の足元で触手をふりふりして応援してくれています。
狙いはグミちゃんが風魔法で弾いた、十メートル先の小石です。
「いっくよー」
シューイン、ズドドドドーーーン!
「はわ、はわわわ……」
私が魔法を小石手掛けて放つと、派手な爆発音と共に土ぼこりと爆風が吹き上がりました。
私は、目の前で起きた光景に、拳を突き出し驚きの表情のまま固まっちゃいました。
ころころころ。
「わあー! グミちゃんごめーん」
グミちゃんが爆風でコロコロと転がっちゃったので、私は慌ててグミちゃんを抱き上げました。
グミちゃんも若干驚きの表情をしているけど、それだけ大きな爆発だった。
私は、恐る恐る魔法を放った方に向き直った。
「わぁ……やっちゃった……」
そこには驚愕の光景が広がっていて、私は直視したくなかった。
土ぼこりが止んだ草原には、ポッカリと直径五メートルはあろうかという大きな穴があいていた。
もちろん魔法を放つ目的にしていた小さな石は消し飛んでいて、魔法の威力の大きさを物語っていた。
「グミちゃん、これどうしようか。見なかった事にする?」
私は抱いているグミちゃんに困惑の表情を向けたが、グミちゃんも困った表情のままだった。
うーん、逃げちゃおうかなって一瞬思ったけど、そうは問屋が卸さなかった。
パカッ、パカッ、パカッ。
少しして街の方から馬の足音が聞こえて振り返ると、鎧に身をつつんだ三騎の騎馬隊が私達の方にやってきた。
うん、騎馬に乗っている人がとっても焦ってる表情をしているけど、絶対に理由はあれだね。
パカッ、パカッ、パカッ。
「君たち、この周辺で大きな爆発音と土煙を見なかったか? って、何だあの大穴は!」
「人が掘ったにしては、あまりにも綺麗すぎます」
「一体、何が起きたらこうなるんだ?」
騎馬から降りた騎士っぽい人が私とグミちゃんに話しかけようとしたが、一様に平原にあいた大穴に衝撃を受けていた。
本来なら何故異世界の人と会話が通じるかと気にする所だが、今の私にはそんな余裕は全くなかった。
「すみません、私が魔法の練習をして大穴をあけちゃいました。初めて魔法を使ったので、上手く魔力制御ができませんでした。本当にごめんなさい」
私とグミちゃんは、騎士っぽい人に向かって土下座をしました。
うん、ここは正直に話をするべきだ。
すると、騎士は納得した声をあげていた。
「そっか、そういう事か。君は、見た目からすると冒険者志望の女の子だな。確か一年前にも同じ事があったな」
「しかし、これだけの穴があく魔法を放てるとは、将来有望な魔法使いになれるぞ」
「では、街に報告しに戻らないとな。君も頑張って訓練するんだよ」
「……はい、ありがとうございます」
騎士っぽい人は、顔を上げた私とグミちゃんにニコリとしながら温かい言葉をかけてくれました。
そして、直ぐに馬に乗って街の方に戻っていきました。
パカッ、パカッ、パカッ。
「グミちゃん、私もっと魔力制御を訓練するね。でないと、また爆発を起こしちゃうよね」
まだ膝をついている私は、遠ざかる騎馬隊を見送りながらグミちゃんに決意表明をしました。
グミちゃんも頑張って教えると、ふるふると震えていました。
こうして、私の初魔法は大失敗した上に、異世界に来て初めてあった人に土下座をしてしまいました。
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