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第十九章 結婚式騒動

第三百九十二話 ドタバタ披露宴

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「お、サトーか、早いな」
「皆さん揃って、何かあったのですか?」
「えーっと、全部終わりました」
「「はっ?」」

 俺達が披露宴会場に姿を現した所で、アルス様とルキアさんが声をかけてきたのだが、全部終わったと言ったらびっくりされた。

「いやー、これは想像以上に早かったですね」
「折角だから、皆でどれくらいで終わるか賭けをしようとしていたんですよ」
「ははは、賭けにもなりませんでしたな」

 あの、バルガス様にノースランド公爵にサザンレイク侯爵、この一大事で賭けをしないで下さいよ。

「結局、奴らは何を目論んでいたのだ?」
「貴族主義の貴族主義による貴族主義の為の国を作ると言っていました」
「馬鹿だ、自身をよく見ていない」
「それで全兵力に人神教国と手を組んでも、その体たらくか」
「貴族に相応しくないのは、エラール伯爵の方だったか」

 バルガス様にノースランド公爵にサザンレイク侯爵も溜息をつく内容だ。
 特にサザンレイク侯爵が言った、貴族主義なのに貴族として相応しくないのがエラール伯爵だったのだろう。
 ナイフを持ち込もうとした小物貴族もいたが。

「えー、それでは結婚披露宴に戦勝祝いも兼ねたパーティを開催します」
「「「おー!」」」

 下手に貴族主義の連中が反乱を起こしたから、戦勝祝いも追加されてしまった。
 来賓はもう大騒ぎだ。

「先ずは忘れない内に、ブーケプルズを行います」
「「「よーし!」」」

 おお、女性陣から気合の入った声が聞こえてきた。
 元々ブーケトスではなくブーケプルズを行うのは周知済みで、披露宴会場の天上の高さを考えるとブーケプルズが無難だ。
 更に今回はブーケが五個もあるので、当たる可能性も高くなる。
 もう手慣れた様にブーケから繋がった紐を摑んでいくブーケハンター達。
 因みに今回はうちの面々は自粛しています。

「それではどうぞ!」
「ああ、残念」
「駄目だったか」
「わあ、当たった!」

 様々な反応が見られた中、俺達の知り合いで一人当たった人がいる。
 
「サリーお姉ちゃん凄いね!」
「えへへ、ちょっと嬉しいな」

 バルガス様の娘であるサリー様が、見事ブーケをゲットした。
 その瞬間を見て目が光る貴族の方々。
 ミケ達は単純にブーケが当たったことを喜んでいるが、他の貴族はサリー様の事を息子の婚約者候補として見ているのだ。
 バルガス公爵家に双子が誕生し、その片割れが男の子であるのは貴族の中では周知の事実。
 となればと、公爵家との縁組を狙っている人もいるのだ。
 まあ、そんな奴らはバルガス様が絶対に結婚の許可をしないはずだ。

「次に、巨大なウェディングケーキの入刀です。このケーキは、かの有名な聖女様の従魔が丹精込めて作ったので、味も甲抜群です」
「「「イェーイ」」」

 次に出てきたのは大きなウェディングケーキ。
 スラタロウ渾身の一作で、味は勿論バッチリだ。
 そんなウェディングケーキを見た主にブーケをゲット出来なかった女性陣から、またもや歓声が上がった。
 きっとヤケ食いするつもりなんだろう。

「それでは、ケーキ入刀です」

 俺とエステル達がケーキの前に並ぶが、ケーキ入刀は二人ずつ行ったので俺は五回やることになった。

「それでは、皆様ご歓談下さい」

 ここでようやく食事タイムとなるのだが、俺達は食事なんかできない。
 挨拶にくる人にひたすら応対しなければならないのだから。

「うーん、お肉美味しいよ!」
「お魚も美味しい」
「このスープも美味しいな」
「うまうま」

 くそ、ミケ達がスラタロウ渾身の一作を食べまくっている。
 美味しいのは分かるんだ。
 とても良い匂いがするのだから。
 しかし、応対が終わるまでは食べることはできない。
 我慢だ我慢。
 ちらりと陛下達の席を見ると、皆お酒をガバガバ飲んでいる。
 エステルは特に恨めしそうに父親と母親の事を見ていた。

 そして、二時間後。

「「「「「「疲れた……」」」」」」

 ようやく応対が終わったのだが、疲れてしまって食欲が失せてしまった。
 でも、冷めても良い匂いがするので、取り敢えず皆で食べる。
 うん、冷めても美味しい。
 でも無理だ、お腹に入らない。
 結局、残した料理はミケ達が美味しく頂く事になった。
 こうして、色々とあった結婚式に披露宴も何とか終わったのだった。
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