異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
356 / 394
第十七章 みんなで温泉と開拓地

第三百五十六話 ちょっとした成長

しおりを挟む
 翌朝、いつもの学園入園組の特訓を中止と言っていなかったので、俺とビアンカ殿下で屋敷に戻った。

「僕達も、何か手伝えますか?」
「少しでも良いので、力になりたいです」

 おお、事情を話したら皆手伝いたいと言ってきたぞ。
 とはいえ、流石に全員連れて行くわけにはいかない。

「今日は、この後村に行ってもよい者だけにする。後は、行ける日を決めて順番じゃな」
「ビアンカ殿下、良いんですか?」
「これも良い実地訓練じゃ。良い体験になるじゃろう」

 という事で、いつもの朝二時間は全員で行って、そこから帰る人は再び送っていく事にした。

「チナさん。また、留守番を任せて申し訳ないです」
「屋敷の事はお任せ下さい。他の屋敷にも伝えておきます。あと、ライリーも連れて行って下さい。この子にとっても良い経験になると思います」
「すみません、治療中の人もお願いします」

 学園で教師をしないとならないチナさんに、またもや全てを任せてしまった。
 治療中の人も、また話せないけど流動食も取れる様になった。
 このくらいなら、侍従にお任せでも大丈夫。
 という事で、学園入園組とライリーを連れて村にワープした。

「これは酷い……」
「でも、お片付けとかは僕らもできると思うよ」

 村の惨状を見た子ども達は、一様にショックを受けていた。
 しかし、うちでドラコ達と勉強した成果か、直ぐに気持ちを切り替えていた。

「今日は村の人と後片付けで良いでしょう。それだけでも、かなり助かると思いますよ」
「二時間で帰る子もいるし、やはりそれで良さそうだね」

 フローレンスからの提案もあり、学園入園組には壊れた家の後片付けをして貰うことになった。
 早速、家の人と後片付けを始めている。

「ライリーは、妾達と街道と駐屯地作りじゃな。これも魔法の勉強じゃ」
「うん、頑張るよビアンカお姉ちゃん」

 ライリーは、ビアンカ殿下主導の街道と駐屯地作成に取り掛かった。
 体調もだいぶ良くなり、魔法の訓練も始めている。
 ライリーにも土魔法の適性があったので、良い訓練になりそうだ。

「サトー、僕達は巡回に行ってくるよ」
「気をつけて行ってこいよ」

 ドラコ達は、当初の予定通りに周辺の巡回を始めた。
 被害が出ない程度に、魔物も狩ってくるそうだ。
 さて、俺は昨日重傷だったビックベアとオーガの様子を見に行くか。

「昨日はありがとうございました。皆、この様に元気になりました」
「まだ体力は落ちていると思うので、無理はさせないで下さいね」

 ビックベアの大将と女将にオーガのギーガも、もりもりとご飯を食べていた。
 聞けば、この村人が小さなビックベアとオーガを保護して育てたそうで、家族同然だという。
 村人にも慕われていて、力持ちなので港での作業で大活躍だそうだ。
 学園入園組も最初は驚いていたけど、直ぐに打ち解けていた。
 まあ、うちにはバハムートもいるし、魔物耐性がついているだろう。

「サトー、木材とかどうする?」
「住宅建てるのに必要だよな」
「この村には大工もいるから大丈夫らしいけど、木材が足りないよね」

 エステルから指摘あったけど、確かに焼け落ちた家の再建が必要だ。
 だいたい十棟分は必要だな。

「ゴレス領に行って、木材を買ってくるか」
「それがいいかも。野菜も買ってこよう」
「街道ができるまで、定期的に物資も補給しないとならないな」

 エステルと共にゴレス領で木材を購入し、更に色々な領地にワープして物資を購入してきた。
 村外れに木材を出して、村の大工に確認してもらう。
 物資は、村長の家を拠点にして必要な人に配布した。

 あっという間に二時間経ったので、学園入園組は帰ることに。
 今日は全員帰って、明日改めて来ることになったそうだ。

「それでも、皆一生懸命に頑張っていましたよ」
「これだけの荷物が運び出せれば上等だろう。後でちゃんと給金を払うよ」
「それが良いかと。それだけの働きはしました」

 フローレンスも太鼓判を押す働きを見せてくれたので、学園入園組にはきちんと報酬を払おう。

「こりゃ便利だな」
「あっという間に、草が刈れたぞ」

 村の人も、街道や駐屯地になる場所の作業を始めた。
 どうも草刈り機の魔道具は初めてらしく、その使い勝手に驚いていた。
 ビアンカ殿下主導でどんどんと土地の整備が進むが、周辺までは手がつけられない。
 なので、そこを村人にお願いしている。
 整備しないといけない場所は沢山あるし、当分は仕事にも困らないだろう。
 
 さて、街道作りはというと、これまた凄い規模でやっているな。
 ビアンカ殿下の指示の下、馬車三台が余裕ですれ違える幅のある街道を作っている。
 ライリーも、魔法の練習を兼ねて頑張っている様だ。

「ビアンカ殿下、随分と広い街道ですね」
「こういうのは後から拡張はできぬ。今のうちに広めに作っておくのじゃ」
「確かに、再び工事となると面倒ですね。ライリーはどうですか?」
「まだまだこれからじゃ。筋は悪くないから、工事が終わる頃にはだいぶ良くなるじゃろう」

 ライリーは、アメリア達に色々と教えられながら少しずつ作業を進めている。
 最初は誰もが初心者だから、こればっかりは仕方ない。
 その横で、マシュー君達とニー達がガンガン道路整備しているのは気にしないことにしておこう。

 その後も作業は順調に進み、今日の作業も終わりとなったタイミングで、ちょっとしたハプニングが発生。

「「「今日もテントでお泊り!」」」
「いや、マシュー君達は帰るよ」
「「「なんで!」」」 

 昨日は仕方なかったけど、今日は子ども達を屋敷で寝させようとしたら、マシュー君達がブーブー言ってきた。
 どうもミケやマチルダとかもお泊りしたいらしい。

「まあ、こうなるような気がしました」
「皆、野営好きだからね」

 結局アメリアとエステル達も折れたので、子ども達も野営する事に。
 その代わり、夕食の炊き出しも手伝って貰いました。
 ライリーも一緒に野営する事になったので、屋敷に戻ってライリーの着替えを取りに行くついでにチナさんに一言伝えておいた。

「自ら野営したいと言い出すのはいい傾向です。よろしくお願いします」

 ライリーが積極的になってきたと、チナさんも喜んでいるので良しとしよう。

「で、何でいつも俺のテントに全員集まっているんだ?」
「「「気にしなーい」」」

 何故か野営すると、いつも子ども達が女性陣のテントではなく俺のテントに入ってくる。
 まあ、エステルがいるから子ども達はいじられるのが嫌なんだろう。
 あっという間に寝てしまった子ども達を見つめながら、俺も寝るのだった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。 全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。 ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。 これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...