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第十七章 みんなで温泉と開拓地

第三百五十三話 襲撃

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「ララにリリ、怪我人は多い?」
「沢山いるよ!」
「百人は超えているの」
「なんと、それは大事だ」

 公爵がかなり驚いているけど、俺もびっくりしている。
 小さな港町で、百人を超える怪我人は一大事だ。

「公爵様、この領も警戒した方も良いですね」
「勿論だ。この辺りの警戒もしなければならない。直ぐに兵に伝えよう」
 
 直ぐ近くの港町で襲撃があったのだ。
 公爵は、直ぐに執事に指示を出していた。
 
「儂も行く。これは、他人事ではないぞ」
「分かりました。念の為に、警備も厳重にして下さい」

 何が起きているかわからないので、公爵と共に護衛も三人連れてスラタロウと共にワープした。

「これは、何という事だ」
「まるで焼き討ちにあった様ですね」
「酷い」

 村は、襲撃でも受けたと言われてもおかしくない程に酷い有様だった。
 何軒かの家は燃え落ちているし、広場には沢山の人が集まっている。
 そんな中、村長と思われる老人がこちらにやってきた。
 公爵の事を知っているらしい。

「公爵様、わざわざ来て頂き感謝します」
「村長、何があったのだ?」
「襲撃を受けた者の話を聞く限り、昨日人神教の残党から襲撃を受けたと聞いております。食料も強奪されまして、かなり危ない所でした」
「何という事だ。これは国家の一大事だぞ」
「公爵、こちらは仲間を集めて治療と炊き出しに警備を行います」
「うむ、スラタロウを借りるぞ。儂も王城へ向かう」
「すみません、宜しくお願いします」
「ここは分担して対応しよう。住民の対応は任せた」

 ここからは手分けして対応する。
 俺は屋敷に帰って、できるだけの人材を集める。
 スラタロウと共に、公爵も王城へ向かった。

「これは酷い。街がボロボロだよ」
「襲撃を受けたというレベルを超えてますね」
「早く救助しないといけませんわ」

 屋敷から来た面々も、余りの惨状にびっくりしている。
 直ぐに、手分けして治療と炊き出しが始まった。
 エステルとオリガを中心とした、護衛と不審者の捜索部隊も活動を開始している。
 未開の地なので、バハムートにポチがくっついてオリヴィエも空からの捜索部隊として参加していた。
 そんな中、ララとリリがこちらに来た。

「お兄ちゃん、重傷者だよ」
「ララとリリでは直せなかったの」
「それは大変だ、直ぐに向かおう」

 ララとリリで治療ができないとなると、かなりの重傷だ。
 二人に連れられて来たところには、何故かビックベアの番とオーガが横たわっていた。
 ビックベアの所には、子グマが泣いている。
 あ、ちゃんと従魔の契約がしてあった。
 よく見ると、刃物で切られたのか、かなり深い傷を負っていた。
 俺は、直ぐに聖魔法で治療を行った。
 ついでにマリリさん特製のポーションも飲ませる。
 息遣いも良くなったので、これで大丈夫だろう。

「体力回復が必要ですが、これで大丈夫です」
「おお、大将と女将にギーガを助けてくれてありがとう。私達を襲撃者からかばってくれたのだよ」
「それで、こんな大怪我を負ったのか」

 俺が治療を終えた所で、公爵が王城から戻ってきた様だ。
 ビアンカ殿下と軍務卿も、一緒にやってきた。
 俺の治療を見てので、回復したビックベアにオーガを沈痛な面持ちで見ていた。

「このビックベアにオーガがおらねば、街は更に大きな被害を受けていた可能性があるのう」
「普通に武功を上げている。後程、陛下にも報告しよう」
「しかし、ビックベアとオーガにこれ程の傷を負わせるとは。相手も一筋縄ではいかないぞ」

 余程の実力がなければ、これ程の傷は負わないだろう。
 そんな事をビアンカ殿下と軍務卿と公爵と話していたら、レイアが走ってきた。
 何やら、とっても焦っているぞ。

「パパ、大変。子どもが人質に取られていて、更に食料を持ってこいって。さっき村長の所に手紙がきたよ」
「なんじゃと!」

 おおい、とんでもない事になっているぞ。
 ビアンカ殿下もびっくりしているけど、本当に非常事態だ。
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