323 / 394
第十五章 人神教国
第三百二十三話 移送された人神教国の人々
しおりを挟む
今日は、旧人神教国からの難民というか魔獣から戻った人を移送する日。
流石に俺一人では移送は無理なので、スラタロウやホワイトにショコラも手伝ってくれる。
「よーし、では順に運んでくれ」
「名簿作成班も大丈夫です」
今日は学園生も実習兼ねて手伝ってくれる。
とっても有り難い。
万が一に備えて、ララとリリにドリーの治療班もバッチリ。
今日は、フェアとオリヴィエも治療のお手伝い。
ミケとエステルとリンに加えて、ドラコ達も人員整理班でつけている。
今までの経験則で、俺はこれで大丈夫だと思っていた。
「この子は要治療です。治療班にまわして下さい」
「ポーションが足りません。追加を」
「炊き出しも増やしましょう」
ハッハッハ、何この忙しさ?
程度の差はあるが、連れてくる人が全員栄養失調。
栄養失調の為に体の抵抗力が落ちて、病気になっている人も多数いる。
人神教国の一般の人は食糧難だと聞いたけど、ここまで悪いものだったとは。
名簿作成に、急遽病気とかの欄が増やされていく。
ある程度移送したら、ホワイトは治療班に、スラタロウは炊き出しを始めていた。
俺もショコラと頑張って移送を終わらして、治療班に加わる。
名簿作るときに前職や特技などを聞く予定だったけど、とてもじゃないけど無理だ。
暫くは、治療と炊き出しをしないとならないぞ。
「疲れました……」
「お疲れ様。想像以上だったらしいな」
「あれは酷すぎる」
午前中の内に何とか移送と治療を終えたので、俺とレイアは王城の執務スペースにいた。
炊き出しとかはまだ必要なので、スラタロウを中心としたメンバーが残っている。
レイアも急遽治療班に加わっていたから、現場の酷さはよく分かっていた。
「せめて、数日は様子見ないといけません。今日聞けなかった名簿の事は、その後に聞くしかないですね」
「今は無理」
「暫くはサトー達にも手伝って貰わないとならんな。幸いにして、食料は十分にある。人神教国の様に、飢える事はないだろう」
うちのメンバーは炊き出しを何回もやっているから慣れている。
勿論配給もするけど、温かい食事とかも食べたいよな。
タコヤキもいるし、うちに帰ったら皆に聞いてみよう。
「このくらいなら大丈夫だよ」
「初期の治療も終わってますし、後は炊き出しのときに行えは問題ないですよ」
「重症者も把握してますし、その人は個別に対応します」
流石は炊き出し経験者の皆様。
とっても頼もしい発言をしてくれている。
炊き出しも暫くの間はタコヤキが専任でやってくれる。
しかも、スライム軍団に料理の仕方を教えるという。
後で、スラタロウとタコヤキの料理教室をやるそうだ。
そんな話をしながらも、数日したらようやく状態が改善し始めてきた。
少しずつ栄養状態が改善し、動ける人が増えてきた。
そして名簿を再度整理し始めたら、とある職業と特記事項がある人が目についた。
「ライリー、確か孤児院にいたんだよね?」
「はい、そうです」
今日帰ってきてからチナさんの部屋にいって、名簿の事でライリーにとあることを質問中。
勿論、質問する事は宰相の許可を貰っていますよ。
最近は、異世界も個人情報って煩いのです。
「今日人神教国から王国に来た人の名簿を作っていたら、孤児院で働いていた若い女性と三人の孤児院で暮らしていた子どもが出てきたんでね。念の為に確認っておもったの」
「もしかしたら、私がいた孤児院の人かもしれません。孤児院のお姉さんと、男の子二人に女の子一人です」
「ふむ、だったら間違いないかもな」
名簿を見ているときに引っ掛かったんだよな。
他の人に孤児院っていうキーワードはなかったし、恐らくそうかと思った。
「今はまだ王都にきたばっかりで治療でもあるから、あと一週間したら行ってみよう」
「はい、有難う御座います」
やっぱり、今まで生活していた人に会うのは嬉しいだろうな。
ライリーが、今までになく興奮している。
ライリーはチナさんが保護して食事とかも気を使っているから、体の回復が思ったより早い。
しかし、その孤児院の人は他の人と同じく対応しているので流石に特別扱いはできない。
他にも孤児になった子がいるから、その子の事と纏めて対応だろう。
チナさんの部屋を後にして、今度は収容所で保護した女性の所へ。
「段々と良くなってきたぞ」
この女性は、毎日二回の俺のフルパワーでの治療に加えて、合間を見てマリリさん特製のポーションを飲んで貰っている。
少しずつだけど良くなってきて、重湯が食べられる様になった。
奇跡的に栄養失調による脳へのダメージが少なくて、俺の治療でどうにかなったのが大きい。
「うーん、ちょっと疲れた」
「お疲れ様、サトー」
治療を終えて食堂で夕食を食べる前に伸びをしていると、エステルに声をかけられた。
エステルと共に、リンとフローレンスも椅子に座ってきた。
「人神教国との戦いも終わったし、後始末も一ヶ月位あれば片付く。そうしたら、収穫祭を見ながらゆっくりしたいな」
「確かにずっと働き詰めだったからね。私もちょっと疲れたよ」
「ゆっくりしたい気持ちはわかります。体だけではなくて、心もリフレッシュしたいですね」
「温泉とかにゆっくりと入りたい気分です」
紅茶を飲みながら、皆で話している。
俺だけでなく皆もずっと動いていたから、少し休みたいという。
前世の時よりも働いているのではという、錯覚に陥る時もある。
最近はブレンド領にある温泉にも行ってないし、確かに温泉は良い案かもしれない。
ドワーフ自治領の温泉でも良いし、少しゆっくりしたい。
「「「キャー!」」」
「ほら、待ちなさい」
「「「またないもーん」」」
そんな事を思っていたら、廊下から元気な声が聞こえてきた。
またマシュー君達が、お風呂上がりで素っ裸で走っているのだろう。
アメリアの声が、ここまで響いている。
「子どもは元気だよな」
「そうだね」
「といいつつ、先日はエステルもマシュー君達を追いかけていたけど」
「しょうがないのよ。いつも走り回るのだから」
「あの子達は本当に元気ですよね」
「ちょっと羨ましいかも」
と、エステル達が言っているが、まだあなた達も十五歳になっていないのですよと、ツッコミたくなったサトーだった。
流石に俺一人では移送は無理なので、スラタロウやホワイトにショコラも手伝ってくれる。
「よーし、では順に運んでくれ」
「名簿作成班も大丈夫です」
今日は学園生も実習兼ねて手伝ってくれる。
とっても有り難い。
万が一に備えて、ララとリリにドリーの治療班もバッチリ。
今日は、フェアとオリヴィエも治療のお手伝い。
ミケとエステルとリンに加えて、ドラコ達も人員整理班でつけている。
今までの経験則で、俺はこれで大丈夫だと思っていた。
「この子は要治療です。治療班にまわして下さい」
「ポーションが足りません。追加を」
「炊き出しも増やしましょう」
ハッハッハ、何この忙しさ?
程度の差はあるが、連れてくる人が全員栄養失調。
栄養失調の為に体の抵抗力が落ちて、病気になっている人も多数いる。
人神教国の一般の人は食糧難だと聞いたけど、ここまで悪いものだったとは。
名簿作成に、急遽病気とかの欄が増やされていく。
ある程度移送したら、ホワイトは治療班に、スラタロウは炊き出しを始めていた。
俺もショコラと頑張って移送を終わらして、治療班に加わる。
名簿作るときに前職や特技などを聞く予定だったけど、とてもじゃないけど無理だ。
暫くは、治療と炊き出しをしないとならないぞ。
「疲れました……」
「お疲れ様。想像以上だったらしいな」
「あれは酷すぎる」
午前中の内に何とか移送と治療を終えたので、俺とレイアは王城の執務スペースにいた。
炊き出しとかはまだ必要なので、スラタロウを中心としたメンバーが残っている。
レイアも急遽治療班に加わっていたから、現場の酷さはよく分かっていた。
「せめて、数日は様子見ないといけません。今日聞けなかった名簿の事は、その後に聞くしかないですね」
「今は無理」
「暫くはサトー達にも手伝って貰わないとならんな。幸いにして、食料は十分にある。人神教国の様に、飢える事はないだろう」
うちのメンバーは炊き出しを何回もやっているから慣れている。
勿論配給もするけど、温かい食事とかも食べたいよな。
タコヤキもいるし、うちに帰ったら皆に聞いてみよう。
「このくらいなら大丈夫だよ」
「初期の治療も終わってますし、後は炊き出しのときに行えは問題ないですよ」
「重症者も把握してますし、その人は個別に対応します」
流石は炊き出し経験者の皆様。
とっても頼もしい発言をしてくれている。
炊き出しも暫くの間はタコヤキが専任でやってくれる。
しかも、スライム軍団に料理の仕方を教えるという。
後で、スラタロウとタコヤキの料理教室をやるそうだ。
そんな話をしながらも、数日したらようやく状態が改善し始めてきた。
少しずつ栄養状態が改善し、動ける人が増えてきた。
そして名簿を再度整理し始めたら、とある職業と特記事項がある人が目についた。
「ライリー、確か孤児院にいたんだよね?」
「はい、そうです」
今日帰ってきてからチナさんの部屋にいって、名簿の事でライリーにとあることを質問中。
勿論、質問する事は宰相の許可を貰っていますよ。
最近は、異世界も個人情報って煩いのです。
「今日人神教国から王国に来た人の名簿を作っていたら、孤児院で働いていた若い女性と三人の孤児院で暮らしていた子どもが出てきたんでね。念の為に確認っておもったの」
「もしかしたら、私がいた孤児院の人かもしれません。孤児院のお姉さんと、男の子二人に女の子一人です」
「ふむ、だったら間違いないかもな」
名簿を見ているときに引っ掛かったんだよな。
他の人に孤児院っていうキーワードはなかったし、恐らくそうかと思った。
「今はまだ王都にきたばっかりで治療でもあるから、あと一週間したら行ってみよう」
「はい、有難う御座います」
やっぱり、今まで生活していた人に会うのは嬉しいだろうな。
ライリーが、今までになく興奮している。
ライリーはチナさんが保護して食事とかも気を使っているから、体の回復が思ったより早い。
しかし、その孤児院の人は他の人と同じく対応しているので流石に特別扱いはできない。
他にも孤児になった子がいるから、その子の事と纏めて対応だろう。
チナさんの部屋を後にして、今度は収容所で保護した女性の所へ。
「段々と良くなってきたぞ」
この女性は、毎日二回の俺のフルパワーでの治療に加えて、合間を見てマリリさん特製のポーションを飲んで貰っている。
少しずつだけど良くなってきて、重湯が食べられる様になった。
奇跡的に栄養失調による脳へのダメージが少なくて、俺の治療でどうにかなったのが大きい。
「うーん、ちょっと疲れた」
「お疲れ様、サトー」
治療を終えて食堂で夕食を食べる前に伸びをしていると、エステルに声をかけられた。
エステルと共に、リンとフローレンスも椅子に座ってきた。
「人神教国との戦いも終わったし、後始末も一ヶ月位あれば片付く。そうしたら、収穫祭を見ながらゆっくりしたいな」
「確かにずっと働き詰めだったからね。私もちょっと疲れたよ」
「ゆっくりしたい気持ちはわかります。体だけではなくて、心もリフレッシュしたいですね」
「温泉とかにゆっくりと入りたい気分です」
紅茶を飲みながら、皆で話している。
俺だけでなく皆もずっと動いていたから、少し休みたいという。
前世の時よりも働いているのではという、錯覚に陥る時もある。
最近はブレンド領にある温泉にも行ってないし、確かに温泉は良い案かもしれない。
ドワーフ自治領の温泉でも良いし、少しゆっくりしたい。
「「「キャー!」」」
「ほら、待ちなさい」
「「「またないもーん」」」
そんな事を思っていたら、廊下から元気な声が聞こえてきた。
またマシュー君達が、お風呂上がりで素っ裸で走っているのだろう。
アメリアの声が、ここまで響いている。
「子どもは元気だよな」
「そうだね」
「といいつつ、先日はエステルもマシュー君達を追いかけていたけど」
「しょうがないのよ。いつも走り回るのだから」
「あの子達は本当に元気ですよね」
「ちょっと羨ましいかも」
と、エステル達が言っているが、まだあなた達も十五歳になっていないのですよと、ツッコミたくなったサトーだった。
53
お気に入りに追加
3,218
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!


【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる