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第十四章 公国

第二百九十二話 首謀者の拘束

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「市街地での魔物の反応が無くなりました」
「外も大丈夫」

 防壁の外、そして市街地に空中戦にもなったけど魔物は退治できた様だ。
 そこにバハムートに乗ったホワイトが、窓の外までやってきた。

「チュー」
「魔物を発生させていた人物も、全て兵に引き渡したって」
「そっか、それなら市街地戦は終了だな」

 レイアが、ホワイトの言葉を通訳してくれた。
 俺の言葉に、安堵を漏らす陛下と閣僚達。
 その瞬間だった。

「「「「えっ?」」」」
「きゃあ!」
「見つけた」

 レイアが、魔法弓の矢を閣僚の側にいる人物に向かって放った。
 矢は、とある人物の右腕を貫いている。

「ようやく尻尾を現したか。フランソワ」
「はい、マスター」
「ぎゃー!」

 ビアンカ殿下も直ぐにフランソワに命じて、電撃の糸で攻撃しつつ拘束した。
 拘束したのは、内務卿が最近連れていた部下だった。
 真っ青になって駆け寄る内務卿を制して、俺がとある魔法をかける。

「「「なっ!」」」
「くっ」

 俺がかけたのは、聖魔法の状態異常回復を工夫したオリジナル魔法。
 効果はドリーが使うブレイクと同じで、魔法の効果を強制解除する。
 内務卿の部下だと思われていたのは、全く別人の女性だった。

「恐らく、内務卿の部下に化けていたのでしょう」
「本物の内務卿の部下は、近くにいるはずじゃ。直ぐに捜索を」
「「はっ!」」

 直ぐに兵が動いて、王城内の捜索が行われた。

「サトーよ、よく分かったな。どうして分かったのだ?」

 陛下が、俺が気付いていた事を訪ねてきた。

「疑惑を持っていたんです。防壁での攻防で、うちが優勢だと分かった瞬間に街に魔物が現れた。そして俺があの魔力砲を防いだら、ガーゴイルが現れた。あまりにもタイミングが良すぎたんです」
「となると、この中に誰かが紛れ込んでおる。そう考えるのが普通じゃ」
「パパが魔力砲を防いだ時に、中で魔力反応があった。だから、パパとビアンカとレイアでずっと探っていた」
「成程な、今回もほぼ完全制圧が分かったタイミングだったというわけか」

 不自然な程にタイミングが良すぎたので、逆に不自然に感じた。
 これがタイミングずれていたら、分からなかったかも。

「陛下、内務卿。怪我をした女性を発見しました」
「頭部に外傷を負っています」
「なに!」

 捜索して直ぐに、使われていない部屋から内務卿の部下が発見された。
 頭を殴られているのか、出血があり意識もない。
 内務卿が急いで、部下に駆けつけた。
 俺も直ぐに治療を開始する。
 頭部のダメージが大きいので、どこまで治療できるだろうか。

「できるだけの治療を行いました。ただ、頭部のダメージが大きいので、後は本人の体力次第ですね」
「そ、そんな。マリッサ、しっかり!」
「内務卿の関係者ですか?」
「娘だよ、年の離れた」

 内務卿の部下は、内務卿の娘だったんだ。
 そりゃ気が動転するはずだよ。
 マリッサさんは、担架に乗せられて医務室に急行した。

「さてと、こんな大騒動を起こした愚か者の尋問を始めないと」
「ビアンカちゃんが麻痺させてくれたから、ちょうど良かったわ」
「人様の娘様を殴りつけるなんて、余程のお馬鹿さんみたいですね」

 状況が落ち着いた所で、王妃様達が動き始めた。
 俺も見たことが無いくらいに激怒しているぞ。
 と、ここで内務卿が立ち上がった。

「王妃様、私も参加させてください」
「勿論、歓迎よ。ただ、暴力は駄目よ、暴力はね」
「心得ております」
「ふむ、では妾も行くとするか」
「レイアもいく」

 娘が重体になるほどの怪我を負わされたのだ。
 いつもはニコニコしている内務卿も、血管がブチ切れそうな程に怒っている。
 ビアンカ殿下は、万が一のストッパーで行った様だ。
 レイアは完全に好奇心でいったな。
 怒れる猛者達は、小会議室に拘束された人を連れて行った。
 暫くの間、小会議室から何やら物音が聞こえたが、陛下も含めて全員無視していた。

「陛下。襲撃者の供述次第ですけど、人神教国に対する態度を決めないといけませんね」
「ここまで大事にしたんだ。罪は償って貰わないとな」
「もはや、外交ルートでどうこうできるレベルを超えています」
「正直な話、サトーがサクッと解決してくれるのがいいかなと」
「いや、この後公国の対応もあるのですけど」

 とはいえ、もう話が通じる相手では無くなった。
 停戦中なのに、一方的に破ってきたのだから。
 先ずは、さっさと公国の件を解消しないと。
 と、ここで怒れる猛者達が小会議室から出てきた。
 真っ白に燃え尽きた襲撃者は、そのまま兵によって連行された。

「やはり、第一の目的は国内を混乱させて、公国に手を出させない様にするためらしいね」
「何回も邪魔をされている王国を潰す狙いもあったといっていたわ。特に、聖女様の名前を連呼していたわね」
「内務卿の娘が狙われたのは、たまたまだったらしいね。大会議室に出入りする女性であれば、誰でも良かったらしいわ」
「それで、儂のかわいいマリッサに大怪我をさせるなんて、もってのほかだ」
「ちなみに、大会議室で直接行動をしようとも思ったらしいが、妾達が常に監視していたから断念したらしいのう」
「結論、人神教国は悪」

 俺に色々妨害されたからって、ここまでやらないで下さい。
 しかし、はっきりとこの国潰すと言ってきたぞ。

「よし、先ずは外交ルートで抗議する。この対応は仕方ない。抗議に対する反応を待って、正式に宣戦布告する」
「それまでに、サトーには公国にいる人神教国を倒してもらう必要があるな」
「帝国と公国を味方につける必要もある。共同文書の締結を急ごう」

 つまりは、先ずは公国をどうにかしないとという路線は変わりないですね。
 はあ、明日には公国に向かわないと行けないぞ。
 今夜にも、ルシアの母親と話をしよう。
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