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第十三章 王都生活編その2

第二百七十三話 ブレンド領本格調査開始

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 四領地の対応もあるが、元から計画していたブレンド領の対応もある。
 今日は元々ブレンド領へ調査団が向かう日。
 だけど、カロリーナさんを除いて、俺らは各領地の対応でブレンド子爵へ向かうことができない。
 ということで、助っ人が来ることになった。

「クラスメイトなのだから、手伝うのは当たり前よ」

 と言ってきたのはエスメさん。
 良い実地訓練になると、学園側が一週間学生を派遣してくれるという。
 うちに実習に来たメンバー以外も、今回の調査団に参加する事に。

「それで本音は?」
「「「「「二人の愛の巣を皆で見に行く!」」」」」

 女性陣の声が揃っていた。
 これが本音だろう。
 とは言え、調査団にトール君のお兄さんも含まれているので、内務卿としても色々と考える事があるのだろう。

 ルートの確認もあるので、先ずはバルガス公爵領へワープ。
 バルガス様に簡単に挨拶することに。

「バルガス様、お忙しい中すみません」
「いやいや、近くの領地の事ですから、我々にとっても他人事ではないのでな」

 快く話を聞いてくれたバルガス様は、やはり良い人だ。
 学園生も時間を見つけて質問をしているが、丁寧に答えてくれる。
 併せて、バルガスの街で当面の物資を購入する。
 準備が整った所で出発だ。
 今回はうちの馬車を二台用意して皆を運ぶことに。
 
「やはりこの馬はとても早いですね」
「最近魔法の使い方が上手くなったのか、更に早くなっているよ」
「個人的には、この馬の子どもが欲しいです」
「ハハハ、その気持ちはわかるよ。来年生まれる子どもは、既に引取先が決まっているけどね」

 エスメさんと馬の事を話をしているが、初めてこの馬に乗る人は馬のスピードにビックリしている。
 ちなみに来年生まれるこの馬の子どもは、王家に献上することが決まっている。
 その事を馬に話したら、子どもの教育をキチンとやるとやる気を出していた。
 あのビンドン伯爵よりも、確実にうちの馬の方が頭いいだろう。

 道中の様子も確認しつつ、今日は半日かからずに村に到着。
 調査団は村長と挨拶しつつ、ベースキャンプの設営を始めた。
 一部の女性陣は、温泉を覗いている。
 普通は現地調査でお風呂に入れることは少ないのに、今回は温泉付きなので女性陣のやる気も良かった。
 物資を置いて挨拶してから、俺はゲレーノ男爵領へワープした。

「街中は、だいぶ綺麗になってきたね」
「街道の方はこれからだけどね。それでも綺麗な光景は良いものだよ」

 エステルと合流して、ゲレーノ男爵領の街の様子を見渡すと、結構綺麗になっている。
 街道では、早速水魔法と風魔法と土魔法を使って馬車が通れるように作業を始めている。
 更に土魔法を使って、火山灰をブロック状に固めて回収しやすくしている。
 これなら、いちいち麻袋に入れなくても済む。
 ゲレーノ男爵領用の火山灰処理用の穴も掘られていて、どんどんと火山灰が捨てられていく。
 俺もアイテムボックスを使って、一気に火山灰を回収して処理用の穴に捨てていく。
 思ったよりも早く、火山灰の処理は進みそうだ。

「ドリー、上手くやれているか?」
「大丈夫、治療も火山灰の処理もバッチリ!」

 休憩の時に、ドリーの様子を確認していく。
 何せ、今回が初めての出動になるのだから。
 治療も上手くいっていて、火山灰の処理も順調の様だ。
 流石は全属性持ちというべきか、一人で何でもできるというのは素晴らしい。
 ちなみにマンチェス子爵領では、同じく全属性持ちのスラタロウが無双している。
 スラタロウは上級魔法も使えるから、そりゃ無双するだろう。
 タコヤキもいるから、結構なスピードで火山灰の処理が進んでいるという。
 ショコラもアイテムボックスを使えるので、火山灰の処理も纏めてできる。
 ヤバい、こっちは俺が頑張らないと処理が進まないぞ。
 ということで、俺も頑張って火山灰の回収をしていく。
 力仕事はしなくてもいいけど、常に移動するのが大変。
 ワープを使いまくって何とかやっているけど、魔力の消耗も激しいな。

 夕方になったので、今日の作業は終了。
 ブレンド領の村の様子を見に行きたいので、マンチェス子爵領で作業している面々を迎えに行きつつ、村にワープする。

「調査の方はどうですか?」
「特に問題なく順調です。周囲の森で若干魔物が多いくらいです」

 カロリーナさんが色々と教えてくれたけど、特に問題なく進んでいるという。
 先行調査の時も特に問題はないと思ったし、この分ならお任せできるな。

「いいお湯だったね」
「男女別だから、覗きの心配もないしね」

 ここで、カロリーナさんの同級生二人が温泉から出てきた。
 一斉にその二人に群がるうちのメンバー。
 
「サトー、温泉に行くわよ」
「これも現地調査よ」

 どうやら事情聴取は終わった様だ。
 そんな事を言いながら、俺も温泉に連れて行かれた。
 
 温泉は男女別に脱衣所も別れていて、湯船も男女別。
 周囲から覗かれる事もないので、余計な気を使わなくてもいい。

「「「「おお!」」」」
「ちゃんと体洗ってからだよ」

 岩で周りを囲まれた湯船で、中々風情がある。
 カロリーナさんの同級生や調査関係の人も、湯船の中でくつろいでいる。
 俺は子ども達の体を洗いながら、自分の体を洗っていく。

「はあ、お風呂気持ちいい!」
「ちょうど良い湯加減だね」
「岩のお風呂が面白い!」
「これは売りになる」

 子ども達も思い思いに温泉を楽しんでいる。
 ちなみに調査団としてきている男性は子ども持ちが多く、うちで実習できたメンバーは子どもと一緒にお風呂に入っている。
 なので、ミケ達が温泉に入っても特に何も思わなかったが、今回初めての学園生は少し慌てていた。

「おい、女の子が入ってきたぞ」
「それがどうした? まさか子どもに欲情する気が?」
「いや、それはないぞ」
「なら気にするな。手を出したら犯罪だぞ」

 どうも兄弟に女の子がいない所らしく、対応に困っているらしい。
 そこは気にしないでおこう。
 
「いやあ、いい温泉だったよ」
「肌がツルツルしていますよ」
「美肌の湯ですね」

 お風呂を出ると、ちょうど女湯に入っていたエステルとかも出てきた。
 どうも美肌効果のあるお湯らしく、満足だった様だ。
 水虫にも効果があるなら、男性にも評判になりそうだ。
 
 そして俺達の後ろでは、女湯のメンバーも集まってさっきの男の子をからかっていた。

「ガインの奴、男湯にミケちゃん達が入ってきてドキドキだったんだぞ」
「ちょっと、何言ってるんだよ!」
「ミケちゃんって六歳で、ララちゃん達が五歳だよね?」
「ガイン、あんたって奴は」
「だから誤解だよ。兄弟に女がいなくて、慣れてなかっただけだよ」
「むっつり」
「スケベ」
「ロリコン」
「だから違うって!」

 哀れ、男の子はむっつりスケベロリコンという、大変有難くない二つ名を貰ってしまった。
 今後も女性陣は仕事終わりに温泉に入る気満々みたいなので、幼女の裸には慣れて貰わないと。
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