異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
257 / 394
第十二章 ルキアさんの結婚式

第二百五十七話 嫉妬からくる嘘

しおりを挟む
 色々とあった式典の翌日、今日はアルス王子とルキアさんの結婚式当日。
 式自体はお昼におこなわれて、そこから街中をパレードする予定。
 昨日の事までといかないが何かあったら困るので、早めに来て巡回をするつもりだった。

「う、うぅ、ルキア様申し訳ありません」
「大丈夫ですよ、貴方は何も悪い事をしていませんから」
「「「「「おねーちゃんを虐めるな!」」」」」

 朝早く皆でお屋敷について応接室に向かった所、よく分からない状況になっていた。
 床にうずくまり、ルキアさんに抱えられるようにしながら謝るメイドさん。
 その周りを囲むように、お屋敷で保護されている子ども達が両手を広げて俺達を通せんぼしている。
 何が何だか分からないぞ。
 そう思っていたら、王妃様が一枚の手紙を持ってきた。

「彼女は脅迫されていたの。手紙の中にとんでもない事が書かれていたわ。新婦のウエディングドレスを切り刻め、さもなくば両親に危害を与えるって内容だったわ」
「手紙がついたのは、昨日の夕方ね。あのドタバタで、手紙の中身を確認するのが遅れたみたい」
「それでさっき手紙を確認したら、とんでもない内容が書いてあったわけ。彼女、相当慌てていたわ」

 それで気が動転して泣いているのか。気持ちは分からなくもないな。
 子ども達は、お世話してくれているおねーちゃんが泣かされていると思っているわけか。

「ちなみに、昨日の件とは全く関係ない貴族よ。嫉妬なのは同じだけどね」
「昔から、アルスに色々とちょっかいを出している学園の先輩がいたのよ」
「アルスが結婚するのが気に食わなくて、こんな手紙を寄越したのね。でも昨日の件があるから、この子は大事になると思ったのでしょうね」

 そりゃ、昨日は嫉妬が爆発して魔獣化もして街中大暴れしたからな。
 こんな手紙を出されて裏に人神教国が絡んでいるとしたら、何が起きるか気が気じゃないだろうな。

「屋敷に泊まっていたスラタロウに頼んで王都の軍に取り次いでもらって、既に捜査をしてもらっているわ」
「ついでにこの子の実家も見てもらったけど、何も異常はなかったというわ」
「恐らく危害を与えるってのも嘘の可能性が高いわ。だけど、その嘘の内容とタイミングが最悪ね」

 と、このタイミングでショコラと共に陛下とビアンカ殿下がやってきた。
 同時にため息をついたと言うことは、今回の件だろうな。
 
「はあ、朝早くから働いたわい。結論から言うと、全くの嘘だった」
「単に結婚式を挙げるのが許せないから、だと。いわゆる後先考えぬ嫉妬じゃ」
「だが、書かれている内容が内容なだけに、キッチリ捜査を指示してきた。昨日の事があっただけに、念には念を入れな」
「あやつはまさかここまで大事になるなんて思ってもなかった様じゃな。真っ青な顔をして連行されておった」

 少々眠たそうな陛下とビアンカ殿下だったが、家族の結婚式当日にこんな手紙を見たら動くしかないよな。
 念の為にもう一回お屋敷に来ている手紙を確認したけど、脅迫の類はなかった。
 朝の一騒動は収まったので、各自それぞれ動き始めた。
 ターゲットにされたメイドさんもようやく落ち着き、子ども達の着付けの準備を始めた。
 
「エステル、リン、フローレンス。女の嫉妬って怖いね」
「いや、ここまで酷いのは私も初めてだよ」
「時価総額数十億ゴールドのドレスを切り裂けと脅迫したので、結構な罪になるのでは?」
「何れにせよ、あり得ないですわね」

 女性陣もドン引きした、嫉妬騒動だった。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた! 〜仲間と一緒に難題を解決します!〜

藤なごみ
ファンタジー
簡易説明 異世界転生した主人公が、仲間と共に難題に巻き込まれていき、頑張って解決していきます 詳細説明 ブラック企業に勤めているサトーは、仕事帰りにお酒を飲んで帰宅中に道端の段ボールに入っていた白い子犬と三毛の子猫を撫でていたところ、近くで事故を起こした車に突っ込まれてしまった 白い子犬と三毛の子猫は神の使いで、サトーは天界に行きそこから異世界に転生する事になった。 魂の輪廻転生から外れてしまった為の措置となる。 そして異世界に転生したその日の内に、サトーは悪徳貴族と闇組織の争いに巻き込まれる事に 果たしてサトーは、のんびりとした異世界ライフをする事が出来るのか 王道ファンタジーを目指して書いていきます 本作品は、作者が以前に投稿しました「【完結済】異世界転生したので、のんびり冒険したい!」のリメイク作品となります 登場人物やストーリーに変更が発生しております 20230205、「異世界に転生したので、ゆっくりのんびりしたい」から「異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた!」に題名を変更しました 小説家になろう様にも投稿しています

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚

ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。 原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。 気が付けば異世界。10歳の少年に! 女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。 お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。 寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる! 勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう! 六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる! カクヨムでも公開しました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...