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第十章 火山噴火

第二百六話 想定外の出来事

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 今日は、防壁工事の現場での仕事。
 防壁工事自体はもうそろそろ完了するので、これからは城壁と防壁の間の造成工事が主体になる。
 各地から研修にきている人と実習生との間で意見交換もできているので、実習生に取っても非常に良い体験ができている。
 中には直ぐにでも領地で働いて欲しいと勧誘している貴族もいるが、まだ学園五年生なので駄目ですよ。

「ここの所、王都は活気に溢れていますね」
「ああ、実習生も研修にきている貴族もいいタイミングだ」
「まだスラムの解体や新しい軍事拠点の造成と、色々作業が目白押しですし、経済の好循環は続きそうですね」
「各地でも既に試行錯誤しながら事業を行っているところもある。国全体に良い影響が波及すれば良いな」

 今日は内務卿と財務卿も、実習生を引き連れて現場視察を行っていた。
 国の発展はまさに内務の課題だし、財務としても税収入が増えればそれだけ色々な所にお金を回せる。
 未来の官僚候補として、いい刺激になっているという。
 
「これからは造成が主となるが、引き続き街道の整備も行うとする」
「国境の防壁工事も完了し、部隊の再編も進んでいます」
「魔道具ギルドと協力して、新兵器を開発中。ふふ、凄いのができる」
「各地との流通も活発化し、馬車便も増やして対応しています」
「完全に人神教国は沈黙してますね。国力を増大させるチャンスです」
「税収入も増えますので、長期計画にいくつか新事業を加える事も出来ます。先ずは予備費の拡張をしております」

 午後は王城に戻って閣僚会議。
 俺とレイアも最近は普通に参加しているけど、宰相付きなので問題無いらしい。
 流石に実習生は閣僚会議に参加できないので、執務室で午前の出来事をレポートに纏めている。

「人神教国に対しては引き続き監視の継続と国内の闇ギルドの一掃を進めるとして、貴族主義の連中の動きはどうだ?」
「王都在中の法衣貴族に目立った動きはありません。サトーの部隊により、犯罪組織が壊滅状態であるのが大きいかと」
「ただ領地に引っ込んでいるものが、休止鉱山の採掘を再開したりと怪しい動きがあります」
「ドワーフ自治領から武器の購入ができなくなったので、何とか自作しようと考えている可能性があります」
「ふむ、領地の事だから下手に手は出せぬが、監視を継続するように。不審な動きがあったら、些細な事でも報告を」
「はっ」

 敵は内にあり、というセリフがあるけど、まさに国内に最大の敵がいる。
 怪しい動きをしているらしいが、大人しくしてくれと願いたい。

「うちの隣が貴族主義の領地なんですけど、いっつも威張っていて嫌な感じなんですよ。領地経営が上手くいってないので、逃げてくる人とかも多いですよ」
「母の実家も隣が貴族主義の領地ですけど、全く同じ事を聞かされました」

 実習生に実家の隣に貴族主義の領地の子がいたので様子を聞いたら、鼻息荒く語ってきた。
 落ち着いて、美人顔が台無しだぞ。
 
「統治の才能がないのにも関わらず、常に威張っているのが領民の感情だな。既得権益の甘い汁を吸う者が有力者だから、これでも一定層の支持者はいる」
「その既得権益を壊されるのが嫌だから、こちらに噛み付いてくるのでしょうね」

 古い人間はお金が入るから、今の体制を壊したくないと。
 だから今の領主を担ぎ上げる訳か。
 周りからしたら、迷惑でしかないな。
 と、ここで予想外の出来事が起こった。

 グラッ、グラグラ。

「え、地震?」
「少し大きいな」

 初期微動が長かったから、震源地は王都よりも遠いのだろう。
 揺れは小さい割に長く続いた。
 レイアは、俺にギュッとしがみついていた。
 いきなり揺れたから、ビックリしたのだろう。

「ふう、収まりましたね。レイア、もう大丈夫だよ」
「グラグラ嫌い」
  
 レイアは揺れが怖かったのか、まだ俺に抱きついている。
 頭を撫でてやりながら、さっきの地震について考える。
 震源地はどこだろう?
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