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第七章 ゴレス侯爵領
第百八十話 ゴミ屋敷リターンと新たな聖女伝説
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「タヌキ侯爵の屋敷の処分依頼?」
宰相から俺に指示されたのは、あの因縁のゴミ屋敷の処分する事だった。
「公衆衛生の観点からも、早めに取り壊す必要が出てきた。ゴミも多すぎて、処分が追いつかないのもある」
「こういう時、何でも破壊できる我が家が適任ということ」
宰相とレイアに言われて、やってきましたゴミ屋敷。
今回は前回のリベンジと言うことで、多くの参加者が集まりました。
というのも、このゴミ屋敷をどうにかしないと隣にある屋敷に住みたくないというので、早く引っ越せるように作業を頑張るという。
「パパとビアンカにお願いがある」
と言うことで、庭にあるゴミ袋を使って実験を行うことに。
レイアの発案は、ゴミ袋を魔法障壁でくるんでその中を超高温の炎魔法で焼き尽くすというもの。
物は試しということで、先ずは俺がゴミ袋一つに魔法障壁を張る。
「では、いくぞ」
「おー、うまくいった」
ビアンカ殿下が超高温の炎魔法を使うと、ゴミ袋はあっという間に灰になった。
よく燃える様に魔法障壁内の酸素の調整もいるが、これなら殺菌も兼ねて処分できる。
「よーし、どんどんやろう!」
エステルの掛け声で、先ずは庭にあったゴミ袋の処分が始まった。
地面に魔法で穴を掘り、ゴミ袋をある程度入れてから高温焼却。
灰が飛ばないように土をかぶせて、また高温焼却の繰り返し。
どんどんとゴミ袋が処分されていくので、ついでと言わんばかりに刈った庭の草や伸びすぎて切った木の枝なども高温焼却した。
お昼になる頃には庭はだいぶ綺麗になったので、ここでお昼ごはんにする。
今日はスラタロウも来ているので、お昼ごはんをお願いした。
直ぐに作業を再開するので、ハンバーガーで手軽にすませる。
といってもスラタロウの料理なので、当然の事ながら絶品だ。
「あ、中に誰かいる」
「本当だ、俺の探索にも引っかかった」
いよいよゴミ屋敷の焼却を始めようかと思った所で、ミケが中に誰かいると言ってきた。
慌てて俺も探索をかけると、確かに子どもっぽい反応が一つあった。
後は小さい反応が沢山あるから、これはネズミだろう。
反応があったのは、二階の一室。例のハエが大量発生していない所で良かった。
部屋の中を確認すると、クローゼットの中に隠れているようだ。
俺とエステルがハンドサインでカウントダウンをして、クローゼットを開ける。
「お願い、殺さないで……」
中にいたのは、小さい女の子だった。
「確かにタヌキ侯爵の所で、一人だけ女子が見つかっておらんかった」
「あの悪臭とゴミの山では、捜索はできないですよ」
どうも上手く逃げていたのか、日中は市街地に隠れて夜はここに戻ってきたそうだ。
これでこの前の大量の殺虫薬草の燻しに巻き込まれていたら、確実に死んでいたな。
そして捜索も中止になったので、ベットのある部屋にいたというわけか。
暫く水だけで過ごしていたのか、かなり衰弱している。
服もボロボロで、髪も体もまるでスラムの子どもかというくらい汚れていた。
年齢は四歳位で、ララよりも少し小さめ。
今は生活魔法で体を綺麗にして、服を着替えさせてやった。
水分とお粥を食べさせたら、直ぐに眠ってしまった。
念の為に念入りに探索をかけ、子ども達皆に検索をかけてもらったけど、もうゴミ屋敷の中には誰もいないと分かった。
「では、ビアンカ殿下にシルク様。派手にやりますか」
「おう、ようやくゴミ屋敷とおさらばだ」
「私も、あの臭いはもう勘弁です」
と、ここで女の子が目を覚ましたようだ。
「お家、燃やしちゃうの?」
「燃やさないと、街に悪い病気が広まっちゃうの」
「何となくわかる、臭いお家が大嫌いだったから。でも、うさぎの大きなぬいぐるみだけは欲しい」
おっと、一つだけ大事な物があるのか。
俺は急いでさっき女の子が隠れていた部屋に向かい、ぬいぐるみを見つけて戻ってきた。
ついでにこのぬいぐるみも、綺麗にしてやろう。
「ほら、このぬいぐるみかな?」
「うん、ありがとう」
「これ以外に何かあるか?」
「何もない。何もいらない」
「そっか」
うわー、こんな小さな女の子に何もいらないと言わせるなんて。
タヌキ侯爵の教育は、一体どうなっているんだ?
女の子は人相が悪い大きなうさぎのぬいぐるみを抱いたまま、片手は俺のズボンを握っていた。
「さて、さっさと終わらそう」
「そうじゃな。早く王城に連れて行かんと」
「では、早速やりましょう」
俺が屋敷全体を魔法障壁で囲い、合図と共にビアンカ殿下とシルク様が屋敷全体に高温の炎魔法を放った。
おお、建物は石造りだから高温でも燃えないか。
と思ったら、ビアンカ殿下とシルク様が魔法の出力をあげて外壁の石ごと溶かし始めた。
俺も急いで魔法障壁の出力を上げて、炎魔法に負けないようにする。
十分後、溶けた岩石は再び冷えて固まり、一つの塊になっていた。
スラタロウが地面に大きな穴を掘り、念動で元ゴミ屋敷の塊を地面に埋めてまた穴を埋め戻す。
こうして綺麗サッパリゴミ屋敷を処分できたので、ゴレス領に子ども達やアメリア達を送り届けてから王城に向かった。
「王城から見ておったぞ。まさか屋敷の外壁ごと溶かして、地面に埋めるとはな」
「俺もまさかです。外壁は破壊すると予定してましたので」
控室に着くと、陛下と宰相が苦笑していた。
実は屋敷を包む程の魔法障壁を張っていた俺も、陛下と宰相から変人扱いされていた。
「そして、この子が行方が分からなくなっていたタヌキ侯爵の末の孫か」
「名はマチルダ。この子以外は、全て成人です。嫡男の子でもありません」
「騎士の捜索の手を逃れていたあたり、この子は利発そうですね」
マチルダか。
青色のショートヘアで、少し勝ち気な瞳をしている。
でも、やはり家族が恋しいのか、今はリンにべったり抱きついている。
「マチルダ。おじいちゃんや両親は好き?」
「嫌い、大嫌い。マチの事をいつも怒鳴るし叩くし。マチ、何も悪い事していないのに。お家も臭くて大嫌い! ウワーン!」
溜め込んでいた物が爆発したのだろう。
マチルダはリンに顔をうずめてわんわん泣き始めた。
リンは、そんなマチルダの事を優しく抱きしめている。
「両親の供述だと、子どもが好奇心旺盛で何でも聞くのが許せないと。女なんだから、はいはいと言っていればいいと」
「腐っておるな」
「それにつきますね」
活発な子だから言うことを聞くお人形にできないので、タヌキ侯爵達はこの子を嫌っていたのだな。
「これは貴族主義の被害者ですね」
「儂もそう思う。タヌキ侯爵の所は一族連座で死刑になるほどの罪だが、この子は違うな」
「サトーが屋敷にを捜索した際に、虐待にあっていた子どもを保護した事にしておきましょう。実際に虐待の事実はありますし」
ということで、マチルダも我が家で保護する事になった。
俺の所が保育園になるのも近いな。
「タヌキも両親もマチルダはいらないと供述しているそうなので、言質をとってロンバード侯爵家から抜いておきましょう。そうすれば、連座の対象から外れます」
「ついでに聖女サトーが保護したとする。そうすれば、市民の非難の目はタヌキに向く」
「流石は知の令嬢。その案で行きましょう」
そして、王都に新たな聖女伝説が誕生した。
レイアの予想通りにマチルダはタヌキ侯爵とその一家に虐待された可哀想な子になり、より一層貴族主義の連中の肩身は狭くなった。
ついでに聖女サトーが保護した子どもと共に、王都の為にゴミ屋敷を綺麗サッパリ浄化したという噂も流された。
そんな噂が流れていると知らない拘留中のタヌキ一家は、取り調べで言うことを聞かない子どもはいらないと断言した。
取り調べなので公式記録が残り、そのまま各種手続きが取られた。
こうして、マチルダは無事にロンバード侯爵家から籍を外れる事ができた。
宰相から俺に指示されたのは、あの因縁のゴミ屋敷の処分する事だった。
「公衆衛生の観点からも、早めに取り壊す必要が出てきた。ゴミも多すぎて、処分が追いつかないのもある」
「こういう時、何でも破壊できる我が家が適任ということ」
宰相とレイアに言われて、やってきましたゴミ屋敷。
今回は前回のリベンジと言うことで、多くの参加者が集まりました。
というのも、このゴミ屋敷をどうにかしないと隣にある屋敷に住みたくないというので、早く引っ越せるように作業を頑張るという。
「パパとビアンカにお願いがある」
と言うことで、庭にあるゴミ袋を使って実験を行うことに。
レイアの発案は、ゴミ袋を魔法障壁でくるんでその中を超高温の炎魔法で焼き尽くすというもの。
物は試しということで、先ずは俺がゴミ袋一つに魔法障壁を張る。
「では、いくぞ」
「おー、うまくいった」
ビアンカ殿下が超高温の炎魔法を使うと、ゴミ袋はあっという間に灰になった。
よく燃える様に魔法障壁内の酸素の調整もいるが、これなら殺菌も兼ねて処分できる。
「よーし、どんどんやろう!」
エステルの掛け声で、先ずは庭にあったゴミ袋の処分が始まった。
地面に魔法で穴を掘り、ゴミ袋をある程度入れてから高温焼却。
灰が飛ばないように土をかぶせて、また高温焼却の繰り返し。
どんどんとゴミ袋が処分されていくので、ついでと言わんばかりに刈った庭の草や伸びすぎて切った木の枝なども高温焼却した。
お昼になる頃には庭はだいぶ綺麗になったので、ここでお昼ごはんにする。
今日はスラタロウも来ているので、お昼ごはんをお願いした。
直ぐに作業を再開するので、ハンバーガーで手軽にすませる。
といってもスラタロウの料理なので、当然の事ながら絶品だ。
「あ、中に誰かいる」
「本当だ、俺の探索にも引っかかった」
いよいよゴミ屋敷の焼却を始めようかと思った所で、ミケが中に誰かいると言ってきた。
慌てて俺も探索をかけると、確かに子どもっぽい反応が一つあった。
後は小さい反応が沢山あるから、これはネズミだろう。
反応があったのは、二階の一室。例のハエが大量発生していない所で良かった。
部屋の中を確認すると、クローゼットの中に隠れているようだ。
俺とエステルがハンドサインでカウントダウンをして、クローゼットを開ける。
「お願い、殺さないで……」
中にいたのは、小さい女の子だった。
「確かにタヌキ侯爵の所で、一人だけ女子が見つかっておらんかった」
「あの悪臭とゴミの山では、捜索はできないですよ」
どうも上手く逃げていたのか、日中は市街地に隠れて夜はここに戻ってきたそうだ。
これでこの前の大量の殺虫薬草の燻しに巻き込まれていたら、確実に死んでいたな。
そして捜索も中止になったので、ベットのある部屋にいたというわけか。
暫く水だけで過ごしていたのか、かなり衰弱している。
服もボロボロで、髪も体もまるでスラムの子どもかというくらい汚れていた。
年齢は四歳位で、ララよりも少し小さめ。
今は生活魔法で体を綺麗にして、服を着替えさせてやった。
水分とお粥を食べさせたら、直ぐに眠ってしまった。
念の為に念入りに探索をかけ、子ども達皆に検索をかけてもらったけど、もうゴミ屋敷の中には誰もいないと分かった。
「では、ビアンカ殿下にシルク様。派手にやりますか」
「おう、ようやくゴミ屋敷とおさらばだ」
「私も、あの臭いはもう勘弁です」
と、ここで女の子が目を覚ましたようだ。
「お家、燃やしちゃうの?」
「燃やさないと、街に悪い病気が広まっちゃうの」
「何となくわかる、臭いお家が大嫌いだったから。でも、うさぎの大きなぬいぐるみだけは欲しい」
おっと、一つだけ大事な物があるのか。
俺は急いでさっき女の子が隠れていた部屋に向かい、ぬいぐるみを見つけて戻ってきた。
ついでにこのぬいぐるみも、綺麗にしてやろう。
「ほら、このぬいぐるみかな?」
「うん、ありがとう」
「これ以外に何かあるか?」
「何もない。何もいらない」
「そっか」
うわー、こんな小さな女の子に何もいらないと言わせるなんて。
タヌキ侯爵の教育は、一体どうなっているんだ?
女の子は人相が悪い大きなうさぎのぬいぐるみを抱いたまま、片手は俺のズボンを握っていた。
「さて、さっさと終わらそう」
「そうじゃな。早く王城に連れて行かんと」
「では、早速やりましょう」
俺が屋敷全体を魔法障壁で囲い、合図と共にビアンカ殿下とシルク様が屋敷全体に高温の炎魔法を放った。
おお、建物は石造りだから高温でも燃えないか。
と思ったら、ビアンカ殿下とシルク様が魔法の出力をあげて外壁の石ごと溶かし始めた。
俺も急いで魔法障壁の出力を上げて、炎魔法に負けないようにする。
十分後、溶けた岩石は再び冷えて固まり、一つの塊になっていた。
スラタロウが地面に大きな穴を掘り、念動で元ゴミ屋敷の塊を地面に埋めてまた穴を埋め戻す。
こうして綺麗サッパリゴミ屋敷を処分できたので、ゴレス領に子ども達やアメリア達を送り届けてから王城に向かった。
「王城から見ておったぞ。まさか屋敷の外壁ごと溶かして、地面に埋めるとはな」
「俺もまさかです。外壁は破壊すると予定してましたので」
控室に着くと、陛下と宰相が苦笑していた。
実は屋敷を包む程の魔法障壁を張っていた俺も、陛下と宰相から変人扱いされていた。
「そして、この子が行方が分からなくなっていたタヌキ侯爵の末の孫か」
「名はマチルダ。この子以外は、全て成人です。嫡男の子でもありません」
「騎士の捜索の手を逃れていたあたり、この子は利発そうですね」
マチルダか。
青色のショートヘアで、少し勝ち気な瞳をしている。
でも、やはり家族が恋しいのか、今はリンにべったり抱きついている。
「マチルダ。おじいちゃんや両親は好き?」
「嫌い、大嫌い。マチの事をいつも怒鳴るし叩くし。マチ、何も悪い事していないのに。お家も臭くて大嫌い! ウワーン!」
溜め込んでいた物が爆発したのだろう。
マチルダはリンに顔をうずめてわんわん泣き始めた。
リンは、そんなマチルダの事を優しく抱きしめている。
「両親の供述だと、子どもが好奇心旺盛で何でも聞くのが許せないと。女なんだから、はいはいと言っていればいいと」
「腐っておるな」
「それにつきますね」
活発な子だから言うことを聞くお人形にできないので、タヌキ侯爵達はこの子を嫌っていたのだな。
「これは貴族主義の被害者ですね」
「儂もそう思う。タヌキ侯爵の所は一族連座で死刑になるほどの罪だが、この子は違うな」
「サトーが屋敷にを捜索した際に、虐待にあっていた子どもを保護した事にしておきましょう。実際に虐待の事実はありますし」
ということで、マチルダも我が家で保護する事になった。
俺の所が保育園になるのも近いな。
「タヌキも両親もマチルダはいらないと供述しているそうなので、言質をとってロンバード侯爵家から抜いておきましょう。そうすれば、連座の対象から外れます」
「ついでに聖女サトーが保護したとする。そうすれば、市民の非難の目はタヌキに向く」
「流石は知の令嬢。その案で行きましょう」
そして、王都に新たな聖女伝説が誕生した。
レイアの予想通りにマチルダはタヌキ侯爵とその一家に虐待された可哀想な子になり、より一層貴族主義の連中の肩身は狭くなった。
ついでに聖女サトーが保護した子どもと共に、王都の為にゴミ屋敷を綺麗サッパリ浄化したという噂も流された。
そんな噂が流れていると知らない拘留中のタヌキ一家は、取り調べで言うことを聞かない子どもはいらないと断言した。
取り調べなので公式記録が残り、そのまま各種手続きが取られた。
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