178 / 394
第七章 ゴレス侯爵領
第百七十八話 最悪なゴミ屋敷
しおりを挟む
「エステル様は、何時帰ってこられますか?」
「当分は無理かと。フローラ様から罰掃除を与えられている可能性が高いので」
今朝のフローレンスさんの治療の際に、エステルの事を聞かれた。
昨日フローラ様とあっていて、何が起きているかは把握しているという。
気遣いのできるフローレンスさんだから、エステルの事が気になるのだろう。
俺としては、エステルの自業自得としか思えない。
フローレンスさんの治療後に、俺とレイアに助っ人のタラちゃんとホワイトで王城にワープした。
既に騎士が待っていて、レイアと別れて今日の捜索先であるタヌキ侯爵の屋敷に向かった。
「うーん、臭いよー」
屋敷に到着すると、既に活動している騎士に混じってエステルがゴミ掃除をしていた。
顔を布でマスクの様に覆っているが、ここまでくる悪臭に他の騎士も悪戦苦闘している。
「サトーきたか。屋敷に生活魔法をかけてくれ」
「臭いが凄くて堪らんのう」
「臭い、臭すぎる」
軍務卿やビアンカ殿下からもどうにかしてと言われて、ミミは悪臭で顔色が悪い。
急ぎ屋敷を生活魔法で綺麗にして、念の為に聖魔法で浄化も行った。
ようやくまともに活動ができるようになった。
「ふー、助かったよ。お母さんから手伝いしろと言われたけど、まさかここまで凄いとは思わなかったよ」
エステルから助かったと言われたが、こんなの俺でも無理だよ。
他の屋敷は順調に捜査ができているが、ここだけ著しく捜査が遅れているという。
理由が理由だけに、これは仕方ない。
「トップの屋敷がゴミ屋敷だから、王城内の控室も誰も文句を言わなかったんだな」
「王都でも有名なゴミ屋敷だし、執事もメイドも次々に辞めていくという。謁見の日にここに騎士が来たが、家族以外は体調悪くて直ぐに搬送されたという」
「というか、この屋敷で平気なタヌキ侯爵の家族っていうのも凄いな」
庭にどんどんとゴミが詰まった袋が置かれていく。
よく見ると庭も草ボーボーで、密林の様になっている。
周辺の屋敷の人は、よく平気だったな。
「ちなみにこの屋敷の左はハゲ伯爵の屋敷で、右隣が元のランドルフ伯爵の屋敷。つまりサトーに渡さられる予定の屋敷だ」
「えー、本当ですか? 浄化までしておいて良かった」
こんな屋敷が隣にあるなんて、犯罪のリスクしかないよ。
火事の危険性もあるし、疫病が発生する可能性もある。
タヌキ侯爵が捕縛されて、本当に良かった。
庭も草ボーボーなので騎士の人に草刈機とチェーンソーの魔道具を貸したら、喜んで使ってくれた。
こんな庭の中を捜索したくないよな。
俺は軍務卿と一緒に屋敷の中に入った。
「うわあ、ゴミで溢れていますね」
「これでも二日間騎士も頑張ったのだが、気の遠くなる量だな」
軍務卿は騎士に指示を出しているが、綺麗なのは執事やメイドの部屋くらい。
何せ本命の部屋が、更にゴミだらけなのだから。
「うーん、部屋が綺麗にならない」
「どんどんと袋が一杯になるな」
「汚い、汚過ぎる」
俺とエステルとビアンカ殿下とミミとで、本命其の一の執務室を片付けているが、とにかくゴミが多い。
何で執務室に、脱ぎ散らかした服とか食べかすとかあるんだよ。
執務室なのに、捜査対象の紙類が全然出てこない。
そして可哀想な事に、今日もまた軍務卿の親戚のメイドさんが連れてこられている。
「ビアンカ殿下、手が足らなすぎじやないですか?」
「妾もそう思う。捜索とはいえ、これは余りにも酷すぎる」
ということで、軍務卿の許可を得てゴレス領から助っ人を投入。
「いやー! 何か踏んだ!」
「僕の鼻が、臭いでおかしくなったよ」
「うー、汚いよー」
「汚すぎるよー」
「メイドでも、こんな部屋を掃除した事はないですよ」
ミケにドラコ、ララにリリにマリリさん。
人員を追加して掃除するが、とてもじゃないけど終わりそうにない。
ちなみに警察犬代わりを期待したドラコとベリルだが、既に鼻がおかしくなっているという。
「ちなみに王都の屋敷は、このゴミ屋敷の隣だよ」
「いやー! こんなのが隣なんてやだー!」
「僕も臭いのはやだー」
隣が俺達の屋敷になると言うと、特に臭いに敏感なのかミケとドラコが過剰な位反応していた。
ベリルも涙目でキュンキュン言っている。
俺だってこんなのが隣だなんて嫌だよ。
その後も頑張って捜索をするが、出てくるのはゴミのみ。
夕方になったので、今日は終わりにしてまた明日になった。
「うわあ、本当にお屋敷がゴミまみれだよ」
「昨日ミケちゃんが行きたくないと言っていたけど、その気持ちはわかるわ」
次の日、メンバーを入れ替えて再びタヌキ侯爵のゴミ屋敷へ。
前日の参加メンバーが今日は嫌だと泣いて言ったので、別のメンバーで。
マリリさんにも拒否された。
アメリアとシルク様がポカーンとゴミ屋敷を見ていたが、その気持ちはよく分かる。
こんなゴミ屋敷の隣になんて住みたくないと、誰もが思っていた。
ちなみにマシュー君達やフローレンスさんは不参加。
特にフローレンスさんがこの中で作業したら、絶対に具合が悪くなる。
そして今日も軍務卿の親戚のメイドさんが参加している。
三日連続でご苦労様です。
「うーん、今日も臭いよう」
「書類が全くでてこないのう」
今日も作業前に生活魔法と聖魔法で浄化したけど、それでも臭いがとれない。
もしかしたら、屋敷ごと臭っているのかもしれない。
それでもやっと執務室の机が見えてきたので、机の引き出しをあけてみた。
「「「イヤー!」」」
一斉に悲鳴があがった。俺も嫌だもん。
机の引き出しをあけたら、ミイラになっていたネズミの死骸が入っていたなんて。
ネズミの死骸を袋にポイッと捨てたが、書類らしきものはなかった。
最終的に、執務室には書類はなかった。
あっても腐っていたか、ネズミに食べられていただろう。
ということで捜査対象其の二。タヌキ侯爵の寝室。
「もうやだよー」
「妾だっていやじゃよ」
既に部屋に入る前から涙目の、エステルにビアンカ殿下。
軍務卿の親戚のメイドさんなんて、無表情で何かをブツブツ言っている。
と、とりあえず部屋をあけよう。
ガチャ。
ブーン、ブーン。
バタン。
俺は無言で扉を閉めて首を横に振った。
駄目だ、危険すぎる。
と、ここで何も知らない軍務卿が登場。
「サトー、早く扉をあけないのか?」
あー、軍務卿扉をあけちゃ駄目!
カチャリ。
ブーン、ブーン、ブーン、ブーン。
「「「「ギャー!」」」」
俺達は一目散に二階から一気に外まで逃げ出した。
部屋の中がハエで一杯になっていて、一斉に外に出てきたからだ。
異変に気がついた他の騎士も外に出ていった。
「ハァハァハァハァ」
「もういやじゃ」
「きゅー、パタ」
エステルは走り疲れて息が荒いし、ビアンカ殿下は大泣きしている。
そして軍務卿の親戚のメイドは、庭に出た瞬間気絶してしまった。
アメリアやシルク様もへたり込んでいる。
あ、ミミも気絶している。
「薬草屋で殺虫効果のある薬草を、あるだけ買ってこい!」
「すぐ行きます」
軍務卿は、騎士に薬草屋に向かわせた。
十分後、ゴミ屋敷の至るところから煙がモクモクと出ていた。
これでもかという程の、殺虫薬草を燻している。
火事だと驚いて見に来たところもあったが、正直中を炎魔法で全てを燃やしたい。
ちなみに女性陣は、全員王城の医務室に運ばれた。
これについて文句を言う人は誰もいない。むしろ、今までよくやったと言いたい。
そして、この中で生活をしていたタヌキ侯爵が物凄い化け物に思えてきた。
「王城から煙が見えたから急いで来てみれば、まさかそんな事になっているとは」
「レイアも、こんな所の隣には住みたくない」
宰相がレイアを連れて慌ててやってきた。
屋敷街で火事だと思っていたらしいが、それ以上の惨状に目を疑っていた。
庭はゴミの入った袋の山だし、ようやく綺麗になったとはいえ庭はまだ草が凄い。
そして極めつけが、大量の殺虫薬草で煙が出ているゴミ屋敷。
一時間後、ようやく煙がおさまったのでレイアに風魔法で換気をしてもらい、再びタヌキ侯爵の寝室へ。
あたり一面ハエの死骸で凄いことになっている。
たが、その原因はゴミではなかった。
机の上にネズミの死骸と、小さな小瓶があった。
どうもネズミの死骸にハエがたかっていたらしい。
「毒の瓶に痙攣したネズミの死骸」
「これはビルゴと取引した毒で間違いないだろう。ご丁寧に書類も残っている」
軍務卿と話をするが、これでタヌキ侯爵の罪は確定だ。
というか、これだけ頑張って何も証拠が出なかったら悲しすぎる。
俺と軍務卿は急いで庭に出た。
というのも、この部屋も結局ゴミまみれで長居をしたくないからだ。
「この毒瓶に書類があれば、証拠として十分だろう」
「お願いします。是非そうして下さい」
宰相は証拠はこれで十分と言っていたが、これ以上の捜索は俺でも心が折れる。
ちなみに殺虫薬草で屋敷に潜んでいたねずみも大量に死んでおり、それを見たレイアも気絶してしまった。
軍務卿の判断で、これ以上の捜査は不可能と判断された。
結局女性陣は三日間寝込んでしまった。軍務卿の親戚のメイドには、更に一週間の特別休暇が与えられた。
個人的には、もっと特別休暇を与えてもいいと思った。
ちなみにゴミ屋敷は、中身のゴミを焼却して取り壊す事になった。
大量のねずみがいたために、周辺の屋敷も疫病対策で殺虫薬草を使わないといけなくなった。
そのために、俺達の屋敷が引き渡されるのは更に遅くなった。
「当分は無理かと。フローラ様から罰掃除を与えられている可能性が高いので」
今朝のフローレンスさんの治療の際に、エステルの事を聞かれた。
昨日フローラ様とあっていて、何が起きているかは把握しているという。
気遣いのできるフローレンスさんだから、エステルの事が気になるのだろう。
俺としては、エステルの自業自得としか思えない。
フローレンスさんの治療後に、俺とレイアに助っ人のタラちゃんとホワイトで王城にワープした。
既に騎士が待っていて、レイアと別れて今日の捜索先であるタヌキ侯爵の屋敷に向かった。
「うーん、臭いよー」
屋敷に到着すると、既に活動している騎士に混じってエステルがゴミ掃除をしていた。
顔を布でマスクの様に覆っているが、ここまでくる悪臭に他の騎士も悪戦苦闘している。
「サトーきたか。屋敷に生活魔法をかけてくれ」
「臭いが凄くて堪らんのう」
「臭い、臭すぎる」
軍務卿やビアンカ殿下からもどうにかしてと言われて、ミミは悪臭で顔色が悪い。
急ぎ屋敷を生活魔法で綺麗にして、念の為に聖魔法で浄化も行った。
ようやくまともに活動ができるようになった。
「ふー、助かったよ。お母さんから手伝いしろと言われたけど、まさかここまで凄いとは思わなかったよ」
エステルから助かったと言われたが、こんなの俺でも無理だよ。
他の屋敷は順調に捜査ができているが、ここだけ著しく捜査が遅れているという。
理由が理由だけに、これは仕方ない。
「トップの屋敷がゴミ屋敷だから、王城内の控室も誰も文句を言わなかったんだな」
「王都でも有名なゴミ屋敷だし、執事もメイドも次々に辞めていくという。謁見の日にここに騎士が来たが、家族以外は体調悪くて直ぐに搬送されたという」
「というか、この屋敷で平気なタヌキ侯爵の家族っていうのも凄いな」
庭にどんどんとゴミが詰まった袋が置かれていく。
よく見ると庭も草ボーボーで、密林の様になっている。
周辺の屋敷の人は、よく平気だったな。
「ちなみにこの屋敷の左はハゲ伯爵の屋敷で、右隣が元のランドルフ伯爵の屋敷。つまりサトーに渡さられる予定の屋敷だ」
「えー、本当ですか? 浄化までしておいて良かった」
こんな屋敷が隣にあるなんて、犯罪のリスクしかないよ。
火事の危険性もあるし、疫病が発生する可能性もある。
タヌキ侯爵が捕縛されて、本当に良かった。
庭も草ボーボーなので騎士の人に草刈機とチェーンソーの魔道具を貸したら、喜んで使ってくれた。
こんな庭の中を捜索したくないよな。
俺は軍務卿と一緒に屋敷の中に入った。
「うわあ、ゴミで溢れていますね」
「これでも二日間騎士も頑張ったのだが、気の遠くなる量だな」
軍務卿は騎士に指示を出しているが、綺麗なのは執事やメイドの部屋くらい。
何せ本命の部屋が、更にゴミだらけなのだから。
「うーん、部屋が綺麗にならない」
「どんどんと袋が一杯になるな」
「汚い、汚過ぎる」
俺とエステルとビアンカ殿下とミミとで、本命其の一の執務室を片付けているが、とにかくゴミが多い。
何で執務室に、脱ぎ散らかした服とか食べかすとかあるんだよ。
執務室なのに、捜査対象の紙類が全然出てこない。
そして可哀想な事に、今日もまた軍務卿の親戚のメイドさんが連れてこられている。
「ビアンカ殿下、手が足らなすぎじやないですか?」
「妾もそう思う。捜索とはいえ、これは余りにも酷すぎる」
ということで、軍務卿の許可を得てゴレス領から助っ人を投入。
「いやー! 何か踏んだ!」
「僕の鼻が、臭いでおかしくなったよ」
「うー、汚いよー」
「汚すぎるよー」
「メイドでも、こんな部屋を掃除した事はないですよ」
ミケにドラコ、ララにリリにマリリさん。
人員を追加して掃除するが、とてもじゃないけど終わりそうにない。
ちなみに警察犬代わりを期待したドラコとベリルだが、既に鼻がおかしくなっているという。
「ちなみに王都の屋敷は、このゴミ屋敷の隣だよ」
「いやー! こんなのが隣なんてやだー!」
「僕も臭いのはやだー」
隣が俺達の屋敷になると言うと、特に臭いに敏感なのかミケとドラコが過剰な位反応していた。
ベリルも涙目でキュンキュン言っている。
俺だってこんなのが隣だなんて嫌だよ。
その後も頑張って捜索をするが、出てくるのはゴミのみ。
夕方になったので、今日は終わりにしてまた明日になった。
「うわあ、本当にお屋敷がゴミまみれだよ」
「昨日ミケちゃんが行きたくないと言っていたけど、その気持ちはわかるわ」
次の日、メンバーを入れ替えて再びタヌキ侯爵のゴミ屋敷へ。
前日の参加メンバーが今日は嫌だと泣いて言ったので、別のメンバーで。
マリリさんにも拒否された。
アメリアとシルク様がポカーンとゴミ屋敷を見ていたが、その気持ちはよく分かる。
こんなゴミ屋敷の隣になんて住みたくないと、誰もが思っていた。
ちなみにマシュー君達やフローレンスさんは不参加。
特にフローレンスさんがこの中で作業したら、絶対に具合が悪くなる。
そして今日も軍務卿の親戚のメイドさんが参加している。
三日連続でご苦労様です。
「うーん、今日も臭いよう」
「書類が全くでてこないのう」
今日も作業前に生活魔法と聖魔法で浄化したけど、それでも臭いがとれない。
もしかしたら、屋敷ごと臭っているのかもしれない。
それでもやっと執務室の机が見えてきたので、机の引き出しをあけてみた。
「「「イヤー!」」」
一斉に悲鳴があがった。俺も嫌だもん。
机の引き出しをあけたら、ミイラになっていたネズミの死骸が入っていたなんて。
ネズミの死骸を袋にポイッと捨てたが、書類らしきものはなかった。
最終的に、執務室には書類はなかった。
あっても腐っていたか、ネズミに食べられていただろう。
ということで捜査対象其の二。タヌキ侯爵の寝室。
「もうやだよー」
「妾だっていやじゃよ」
既に部屋に入る前から涙目の、エステルにビアンカ殿下。
軍務卿の親戚のメイドさんなんて、無表情で何かをブツブツ言っている。
と、とりあえず部屋をあけよう。
ガチャ。
ブーン、ブーン。
バタン。
俺は無言で扉を閉めて首を横に振った。
駄目だ、危険すぎる。
と、ここで何も知らない軍務卿が登場。
「サトー、早く扉をあけないのか?」
あー、軍務卿扉をあけちゃ駄目!
カチャリ。
ブーン、ブーン、ブーン、ブーン。
「「「「ギャー!」」」」
俺達は一目散に二階から一気に外まで逃げ出した。
部屋の中がハエで一杯になっていて、一斉に外に出てきたからだ。
異変に気がついた他の騎士も外に出ていった。
「ハァハァハァハァ」
「もういやじゃ」
「きゅー、パタ」
エステルは走り疲れて息が荒いし、ビアンカ殿下は大泣きしている。
そして軍務卿の親戚のメイドは、庭に出た瞬間気絶してしまった。
アメリアやシルク様もへたり込んでいる。
あ、ミミも気絶している。
「薬草屋で殺虫効果のある薬草を、あるだけ買ってこい!」
「すぐ行きます」
軍務卿は、騎士に薬草屋に向かわせた。
十分後、ゴミ屋敷の至るところから煙がモクモクと出ていた。
これでもかという程の、殺虫薬草を燻している。
火事だと驚いて見に来たところもあったが、正直中を炎魔法で全てを燃やしたい。
ちなみに女性陣は、全員王城の医務室に運ばれた。
これについて文句を言う人は誰もいない。むしろ、今までよくやったと言いたい。
そして、この中で生活をしていたタヌキ侯爵が物凄い化け物に思えてきた。
「王城から煙が見えたから急いで来てみれば、まさかそんな事になっているとは」
「レイアも、こんな所の隣には住みたくない」
宰相がレイアを連れて慌ててやってきた。
屋敷街で火事だと思っていたらしいが、それ以上の惨状に目を疑っていた。
庭はゴミの入った袋の山だし、ようやく綺麗になったとはいえ庭はまだ草が凄い。
そして極めつけが、大量の殺虫薬草で煙が出ているゴミ屋敷。
一時間後、ようやく煙がおさまったのでレイアに風魔法で換気をしてもらい、再びタヌキ侯爵の寝室へ。
あたり一面ハエの死骸で凄いことになっている。
たが、その原因はゴミではなかった。
机の上にネズミの死骸と、小さな小瓶があった。
どうもネズミの死骸にハエがたかっていたらしい。
「毒の瓶に痙攣したネズミの死骸」
「これはビルゴと取引した毒で間違いないだろう。ご丁寧に書類も残っている」
軍務卿と話をするが、これでタヌキ侯爵の罪は確定だ。
というか、これだけ頑張って何も証拠が出なかったら悲しすぎる。
俺と軍務卿は急いで庭に出た。
というのも、この部屋も結局ゴミまみれで長居をしたくないからだ。
「この毒瓶に書類があれば、証拠として十分だろう」
「お願いします。是非そうして下さい」
宰相は証拠はこれで十分と言っていたが、これ以上の捜索は俺でも心が折れる。
ちなみに殺虫薬草で屋敷に潜んでいたねずみも大量に死んでおり、それを見たレイアも気絶してしまった。
軍務卿の判断で、これ以上の捜査は不可能と判断された。
結局女性陣は三日間寝込んでしまった。軍務卿の親戚のメイドには、更に一週間の特別休暇が与えられた。
個人的には、もっと特別休暇を与えてもいいと思った。
ちなみにゴミ屋敷は、中身のゴミを焼却して取り壊す事になった。
大量のねずみがいたために、周辺の屋敷も疫病対策で殺虫薬草を使わないといけなくなった。
そのために、俺達の屋敷が引き渡されるのは更に遅くなった。
61
お気に入りに追加
3,221
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる