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第七章 ゴレス侯爵領

第百七十六話 呼び方を変えよう

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「本当は王都の屋敷を渡したり、ゴレス領の役人を紹介する予定だったが、このゴタゴタでは無理じゃろう。後日改めて呼ぶとする」
「そうですね。レイアもフローレンスさんも心配ですし、落ち着いたら伺います」

 陛下とも話したが、ゴレス領での襲撃に謁見の間での傷害事件。トドメに毒殺未遂と、これだけの事があれば当分は落ち着かないだろう。
 全く、短絡的に物事を起こし過ぎだよ。
 自己の権利を守るがための暴走だから、擁護のしようもない。

「サトー、私達も改めてお茶会に誘います。その時はフローレンスも連れてきてね」
「はい、無事に再開できる様にしっかりと治療します」
「お願いね。彼女の荷物を纏めておいたから、持っていってね」

 王妃様もお茶会が流れてしまったので、改めて誘ってくれるという。
 それまでにフローレンスさんを、しっかりと治さないと。
 俺は朝連れてきた人を領地に送り届けた後、皆をゴレス領へ送り届けた。
 ちなみにアルス王子は、当面は王城に残って今回の事件の対応をしないとならないという。
 俺もビアンカ殿下もレイアも王城に呼ばれる事があるというので、暫くはゴレス領の事を他の人に任せないとならない。

「そういう事があったんですね」
「だから皆さん落ち込んでおられたのですか」

 食堂に集まって事の次第を説明したら、シルク様やクロエも納得してくれた。
 あの明るいエステル殿下とリンさんが、フローレンスさんが運ばれた部屋で悲しい顔で看病をしていた。
 同級生が自害未遂を起こすまで追い詰められたのが、相当に悲しくて悔しいらしい。

「アメリア様にカミラ様にノラ様、それにマシュー君達は、元の家から正式に俺の保護下に入ります。なので、家名もライズ姓に変わります」
「分かりました。これからはどうかアメリアとお呼びください」
「私も同じです」
「様付けは取って頂けると」
「アメリアさん?」
「アメリアでお願いします」
「アメリアにカミラにノラ?」
「「「はい」」」

 俺の家に正式に入ったので、呼び捨てで読んでほしいと。
 今まで特別扱いされている様で、俺がクロエを呼び捨てにしているのが羨ましいと感じたという。

「じゃあ、私も呼び捨てにしてほしいな」
「婚約発表もされましたし、問題ないかと」

 ここで、フローレンスさんの看病を終えたエステル殿下とリンさんが食堂に入ってきた。
 婚約発表したから、呼び捨てにしてくれということらしい。

「えーっと、エステルにリン?」
「うん!」
「これからも呼び捨てでお願いします」

 エステルとリンは、殿下とさんが取れてとっても嬉しそうだ。
 
「となると、リン様に使えている我々も呼び捨てで呼ばないといけませんね」
「私もサトー様と言います。さあ、私の事を呼び捨てで呼んでください!」
「うう、言いづらい。特にマリリさんをマリリと呼ぶのが、とっても言いづらい」
「何でですか!」

 オリガにマリリか。
 ずっと一緒にいたから、今更呼び捨てにするのは難しい。
 特にマリリさんと、呼ばないといけない気になってしまう。

「ちなみに、シルク様とビアンカ殿下は他家の当主や他の人に嫁ぐので、このままですよ」
「うーん、できれば呼び捨ては難しくても様はちょっと」
「妾は別にどう呼ばれても構わん。サトーとの付き合いも長くなったのでな」

 すみません、お二人はこのままにさせて下さい。
 これ以上一気に呼び名を変えると、俺が色々混乱して追いつかない。

「レイアも貴族になったけど、パパは呼び方変える?」
「レイアはレイアだから、これからも変わらないよ。それともサルビア卿と言った方がいいかな?」
「うー、パパの意地悪」

 レイアはちょっとすねているけど、公式の場では気をつけないといけないな。
 まあ、このメンバーならミケもレイアも呼び方は変わらないだろう。
 
「そういえば、フローレンスさんの容態はどうだった?」
「大量に血を吐いたから、暫くは安静にしないと」
「それよりも、精神的なケアが必要ですね」
「自害を決意するまで追い込まれましたからね。王妃様とかもかなり怒っていましたし」

 フローレンスさんは暫くメイド業務はお休みしてもらって、ゆっくりと静養してもらおう。
 ということで、今日は夕食も簡単に食べて直ぐに皆就寝することに。
 馬鹿者の襲撃で朝早く起こされたから、もうすごく眠い。
 お風呂も簡単に済ませて、直ぐに眠りについた。
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