167 / 394
第七章 ゴレス侯爵領
第百六十七話 住民との話し合い
しおりを挟む
「まさか、ゴレス侯爵領がそんな事になっているとは」
「正直、俺もビックリですよ」
翌朝、ギース伯爵領にいる人達を迎えに来たときにヘレーネ様と話をしたが、ゴレス侯爵領がまさかそんな事態になっているとは思ってもなかったようだ。
「侯爵がどれだけの金を持っているかによりますが、直ぐに賠償金を払うのは難しいと思います」
「それは致し方ないと。領民が生きられるようにしないとなりませんね。幸い経済は動いていますから、こちらは心配いりません」
ギース伯爵領は当面大丈夫だし、何かあってもブルーノ侯爵領という存在がある。
だか、ゴレス侯爵領が立ちいかなくなると、他の小規模領地も立ちいかなくなる。
俺達は暫くはゴレス侯爵領にかかりきりだな。
ついでにギース伯爵領で生活物資を買い込み、ゴレス侯爵領へ人々を送っていった。
「これはまた、中々に酷いもんだな」
「全てが上手くいっていない典型例ですね」
「逆に思いっきりやることはできますな」
ギース伯爵領からゴレス侯爵領に人々を送り届けた後、ビアンカ殿下に連絡があって陛下と閣僚達を迎えにいった。
皆、ゴレス侯爵領の惨状に目を覆っていた。
とりあえず、書類が積まれた執務室に集まった。
そこで陛下から、想定していた最悪の状況がもたらされた。
「ゴレス侯爵達は皆一文無しだった。王都の屋敷にある程度金があるだけだ」
「予想していたとはいえ、最悪の事態ですね」
「どうもワース商会と人神教会に、コンサルティング名目でかなり搾り取られていたようだ。実際には何も行われていなく、放置されていたようだな」
ワース商会としたら、ゴレス侯爵達はいいカモだったのだろう。
詐欺ということを、全く見抜けなかったのだから。
そういう事を含めて、ゴレス侯爵達には統治能力がなかったのだろう。
「とにかく経済をまわさないといけません。幸いにして開発の余地がかなりあります」
「ゴレス侯爵領は林業と鉱山があるはずだから、同時に稼働させよう。予算もある程度検討せんとな」
「後は、できるだけ獣人と人の融和をはかりたいです」
人神教の為に人と獣人の間で軋轢が生まれている可能性があるので、とにかく両者が上手くいくようにしたい。
「ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は、正直な所貴族領として維持できるか難しいです。当面はゴレス侯爵領をメインにして、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領はゴレス侯爵領の出張所扱いになります」
「それは仕方ない。元々ゴレス侯爵領からの分家扱いだから、昔に戻ったともいえよう」
暫くはゴレス侯爵領を中心にして、開発を進めるしかないな。
陛下と閣僚は会議もあるというので、王都に送っていった。
これからも、俺はタクシー代わりに色々な人にこき使われそうだ。
このまま何もしないわけにはいかないので、皆仕事を開始する。
高く積まれた書類を仕分けるけど、殆どは請願関係。
街の拡張やスラムの解消に、農地拡張に街道の整備。
うーん、どれも公共事業の基本だな。
「これだけ請願書があっても、殆ど内容が同じですね」
「どれだけ公共事業をサボっておったか、とても良くわかるのじゃ」
「林業にしても鉱山にしても、道がとにかく悪い。これをどうにかしないといけないですね」
「主要街道は直ぐにとりかかろう。公共事業でできる所と分けて、金もまわさんといけんのう」
他の所の状況次第だけど、とりあえずこの方針で。
ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は標高が高いから高原野菜とかできそうだし、盆地だからブドウとか桃とかも良さそうだしワインも作れる。
湖も視察次第だけど、漁業とかもできそうだし観光地にもできるかもしれない。
勿論元の主産業である林業や鉱山も、もっと発展する可能性がある。
発展する可能性はありそうだけどなあ。
お昼になったので、一旦皆ゴレス侯爵領のお屋敷に集合。
昼食を取りながら各自状況を報告する事に。
「ブラントン子爵領も同じです。特に生活環境の充実が要望されています」
「マルーノ男爵領も同じだねー。こっちは生活環境に街道の改修があったよー」
リンさんとリーフから報告を受けたけど、どこも似たりよったり。
どこも、問題の根本は共通か。
「パパ。街の人に聞いたけど、ブラントン子爵領は井戸水大丈夫だから畑はできるよ」
「マルーノ男爵領もそうだよ。畑にできそうな場所もあったよ」
「それは大きいな。畑にできそうな場所が確保できたら、高原野菜を作って大都市に売ろう」
「それは良いアイディアじゃ。夏場は野菜が不足する。いい値段で売れるじゃろう。大商人は専用のマジックバックを持っておる。量も鮮度も問題ないのじゃ」
「よし、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は畑を切り開こう。今のうちに苗を作れば、夏の収穫に間に合うな」
レイアとミケからの報告はありがたい。
高原野菜が売れれば、農家にとって新たな収穫になる。
「盆地なので寒暖差があるから、芋とかも甘く仕上がりますよ」
「サトー、それもやろう! 前に出た甘いお芋って、本当に美味しいの!」
「後は来年以降に収穫になりますが、ブドウとか桃なども美味しくなります。ブドウはワインにもできるので、ここの木材の消費にピッタリです」
「ブドウなら、植え付けが間にあるじゃろう。ワイン工場は後で作ればよいし、雇用も生み出すじゃろう」
ゴレス侯爵領も盆地を活かした作物が作れるし、鉱山があるから冬期も仕事ができる。
この案で事業計画を作ろう。というか、レイアが既にやる気満々だ。
「午後にでも早速各地の有力者を集めよう。こういうのは早い方が良いのじゃ」
「できれば獣人も呼びましょう。林業や鉱山の関係者も勿論ですね」
こういうのは早い方が良いということで、早速各地の有力者をゴレス侯爵領に集めて会議を始める。
最初にこれまでの経緯を話さないといけないだろう。
「妾はビアンカ王女じゃ。此度のゴレス侯爵の反乱に伴い、暫定で王国が直接統治する事になった」
「反乱って、何かあったんですか? ワース商会と人神教会が何かやっているのは知っておりましたが」
「ゴレス侯爵にブラントン子爵とマルーノ男爵が人神教国と結託し、ギース伯爵領を襲撃し領主と嫡男を殺害。ギース伯爵領を人神教国と共に乗っ取ろうとしたのじゃ」
「まさかそんな事が」
「しかもこの領の兵などを魔獣にし、更にギース伯爵領へ襲撃を加えた。しかしその企みは全て防がれ、ゴレス侯爵、ブラントン子爵、マルーノ男爵は拘束され王都に送られておる」
皆あ然としていた。
いきなり集められたと思ったら、領主が反乱を起こして捕まったと言われたのだから。
そんな中、スラム代表の犬獣人のオヤジが笑い始めた。
「くくく、前から人神教を信じて信用ならん領主だったがとうとう天罰が下ったか」
「しかも領主はそこにおる猫獣人のリンドウ男爵に捕縛され、頼みの綱だった魔獣の集団もブルーノ侯爵騎士団の獣人部隊に全滅させられたのじゃ」
「ははは、何か? 嫌っていた獣人にトドメをさされたってわけか。こりゃ傑作だな」
獣人代表は、今までの鬱憤が溜まっていたのか笑いが止まらなかった。
俺もその気持ちが良くわかる。
「残されたのは、こちらにおるアメリアとマシュー、カミラとジョン、ノラとルークスのみ。しかも無理矢理魔獣にされた所を何とか助け出せたのじゃ」
「自身の子どもや孫まで魔獣にするとは、何ともやりきれないですね」
「陛下である父上も相当怒っておった。裁判はこれからじゃが、厳罰は逃れまい」
領主の末路予想に一同頷いていた。
擁護する声が出なかったので、人望もなかったのだろう。
「当面は沙汰が出るまで、妾達が代理統治する事になるじゃろう。既に大量に放置されておった請願書も確認しておる。そこで事業案を発表したいのじゃが、その前に確認がある」
「王女様、何でしょうか?」
「領主の事は抜きにして、住民同士で人と獣人で仲間外はあるか?」
「私達は、獣人の方々がいないと事業が成り立ちません。嫌うとかは決してありません」
「俺達が働けない時も援助してくれたからな。一部は反感しているのはいるだろうが、仕事があって銭が入るなら関係はないな」
良かった、一番の問題になるだろう住民同士のいざこざがなかった。
やはり住民は、アホな当主には従っていなかった。
というか、ブルーノ侯爵領でもそうだったけど、人神教は住民まで広がってなかった。
そこが人神教国の大きな失敗だろう。
「なら今後の予定に移ろう。まずは各地の街道の拡張と修繕。それとブラントン領とマルーノ領では畑作の準備をし、高原を利用した作物を作る。勿論、ゴレス領でも耕作地を急いで造成する。まずは芋とブドウで、ゆくゆくは果樹も考えておる」
「成程、各地の特性を考えた作物を作るのですね」
「明後日に王都から王室御用達の商人がくる。そこで事業の可能性を探り、正式に決める予定じゃ。街道工事は直ぐに始める。スラムの代表、大丈夫か?」
「ふふ、俺等は直ぐにでも動ける。力仕事なら任せな」
ビアンカ殿下、わざとスラム代表を煽ったな。
スラム代表もそれが分かっているから、ニヤリとしている。
「勿論文官やメイドに騎士も募集する。人種や出身は問わぬ。ヤル気のあるものを希望する」
「それは俺等獣人でも、頭のいいヤツは文官になれるというわけか?」
「そうじゃ。現に同じ対応をしたブルーノ侯爵領では、筆頭文官はスラム出身の獣人じゃ」
「いいね、仲間内に声をかけとくよ」
いい感じになってきた。
やはり直接顔を合わせて話をすると、物事が早く進んでいく。
力自慢の獣人は明日朝に屋敷前に集合し、それ以外は明後日の午後に集まって会議する事が決定。
まずは公共工事で、少しでもお金がまわるようにしないと。
「正直、俺もビックリですよ」
翌朝、ギース伯爵領にいる人達を迎えに来たときにヘレーネ様と話をしたが、ゴレス侯爵領がまさかそんな事態になっているとは思ってもなかったようだ。
「侯爵がどれだけの金を持っているかによりますが、直ぐに賠償金を払うのは難しいと思います」
「それは致し方ないと。領民が生きられるようにしないとなりませんね。幸い経済は動いていますから、こちらは心配いりません」
ギース伯爵領は当面大丈夫だし、何かあってもブルーノ侯爵領という存在がある。
だか、ゴレス侯爵領が立ちいかなくなると、他の小規模領地も立ちいかなくなる。
俺達は暫くはゴレス侯爵領にかかりきりだな。
ついでにギース伯爵領で生活物資を買い込み、ゴレス侯爵領へ人々を送っていった。
「これはまた、中々に酷いもんだな」
「全てが上手くいっていない典型例ですね」
「逆に思いっきりやることはできますな」
ギース伯爵領からゴレス侯爵領に人々を送り届けた後、ビアンカ殿下に連絡があって陛下と閣僚達を迎えにいった。
皆、ゴレス侯爵領の惨状に目を覆っていた。
とりあえず、書類が積まれた執務室に集まった。
そこで陛下から、想定していた最悪の状況がもたらされた。
「ゴレス侯爵達は皆一文無しだった。王都の屋敷にある程度金があるだけだ」
「予想していたとはいえ、最悪の事態ですね」
「どうもワース商会と人神教会に、コンサルティング名目でかなり搾り取られていたようだ。実際には何も行われていなく、放置されていたようだな」
ワース商会としたら、ゴレス侯爵達はいいカモだったのだろう。
詐欺ということを、全く見抜けなかったのだから。
そういう事を含めて、ゴレス侯爵達には統治能力がなかったのだろう。
「とにかく経済をまわさないといけません。幸いにして開発の余地がかなりあります」
「ゴレス侯爵領は林業と鉱山があるはずだから、同時に稼働させよう。予算もある程度検討せんとな」
「後は、できるだけ獣人と人の融和をはかりたいです」
人神教の為に人と獣人の間で軋轢が生まれている可能性があるので、とにかく両者が上手くいくようにしたい。
「ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は、正直な所貴族領として維持できるか難しいです。当面はゴレス侯爵領をメインにして、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領はゴレス侯爵領の出張所扱いになります」
「それは仕方ない。元々ゴレス侯爵領からの分家扱いだから、昔に戻ったともいえよう」
暫くはゴレス侯爵領を中心にして、開発を進めるしかないな。
陛下と閣僚は会議もあるというので、王都に送っていった。
これからも、俺はタクシー代わりに色々な人にこき使われそうだ。
このまま何もしないわけにはいかないので、皆仕事を開始する。
高く積まれた書類を仕分けるけど、殆どは請願関係。
街の拡張やスラムの解消に、農地拡張に街道の整備。
うーん、どれも公共事業の基本だな。
「これだけ請願書があっても、殆ど内容が同じですね」
「どれだけ公共事業をサボっておったか、とても良くわかるのじゃ」
「林業にしても鉱山にしても、道がとにかく悪い。これをどうにかしないといけないですね」
「主要街道は直ぐにとりかかろう。公共事業でできる所と分けて、金もまわさんといけんのう」
他の所の状況次第だけど、とりあえずこの方針で。
ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は標高が高いから高原野菜とかできそうだし、盆地だからブドウとか桃とかも良さそうだしワインも作れる。
湖も視察次第だけど、漁業とかもできそうだし観光地にもできるかもしれない。
勿論元の主産業である林業や鉱山も、もっと発展する可能性がある。
発展する可能性はありそうだけどなあ。
お昼になったので、一旦皆ゴレス侯爵領のお屋敷に集合。
昼食を取りながら各自状況を報告する事に。
「ブラントン子爵領も同じです。特に生活環境の充実が要望されています」
「マルーノ男爵領も同じだねー。こっちは生活環境に街道の改修があったよー」
リンさんとリーフから報告を受けたけど、どこも似たりよったり。
どこも、問題の根本は共通か。
「パパ。街の人に聞いたけど、ブラントン子爵領は井戸水大丈夫だから畑はできるよ」
「マルーノ男爵領もそうだよ。畑にできそうな場所もあったよ」
「それは大きいな。畑にできそうな場所が確保できたら、高原野菜を作って大都市に売ろう」
「それは良いアイディアじゃ。夏場は野菜が不足する。いい値段で売れるじゃろう。大商人は専用のマジックバックを持っておる。量も鮮度も問題ないのじゃ」
「よし、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領は畑を切り開こう。今のうちに苗を作れば、夏の収穫に間に合うな」
レイアとミケからの報告はありがたい。
高原野菜が売れれば、農家にとって新たな収穫になる。
「盆地なので寒暖差があるから、芋とかも甘く仕上がりますよ」
「サトー、それもやろう! 前に出た甘いお芋って、本当に美味しいの!」
「後は来年以降に収穫になりますが、ブドウとか桃なども美味しくなります。ブドウはワインにもできるので、ここの木材の消費にピッタリです」
「ブドウなら、植え付けが間にあるじゃろう。ワイン工場は後で作ればよいし、雇用も生み出すじゃろう」
ゴレス侯爵領も盆地を活かした作物が作れるし、鉱山があるから冬期も仕事ができる。
この案で事業計画を作ろう。というか、レイアが既にやる気満々だ。
「午後にでも早速各地の有力者を集めよう。こういうのは早い方が良いのじゃ」
「できれば獣人も呼びましょう。林業や鉱山の関係者も勿論ですね」
こういうのは早い方が良いということで、早速各地の有力者をゴレス侯爵領に集めて会議を始める。
最初にこれまでの経緯を話さないといけないだろう。
「妾はビアンカ王女じゃ。此度のゴレス侯爵の反乱に伴い、暫定で王国が直接統治する事になった」
「反乱って、何かあったんですか? ワース商会と人神教会が何かやっているのは知っておりましたが」
「ゴレス侯爵にブラントン子爵とマルーノ男爵が人神教国と結託し、ギース伯爵領を襲撃し領主と嫡男を殺害。ギース伯爵領を人神教国と共に乗っ取ろうとしたのじゃ」
「まさかそんな事が」
「しかもこの領の兵などを魔獣にし、更にギース伯爵領へ襲撃を加えた。しかしその企みは全て防がれ、ゴレス侯爵、ブラントン子爵、マルーノ男爵は拘束され王都に送られておる」
皆あ然としていた。
いきなり集められたと思ったら、領主が反乱を起こして捕まったと言われたのだから。
そんな中、スラム代表の犬獣人のオヤジが笑い始めた。
「くくく、前から人神教を信じて信用ならん領主だったがとうとう天罰が下ったか」
「しかも領主はそこにおる猫獣人のリンドウ男爵に捕縛され、頼みの綱だった魔獣の集団もブルーノ侯爵騎士団の獣人部隊に全滅させられたのじゃ」
「ははは、何か? 嫌っていた獣人にトドメをさされたってわけか。こりゃ傑作だな」
獣人代表は、今までの鬱憤が溜まっていたのか笑いが止まらなかった。
俺もその気持ちが良くわかる。
「残されたのは、こちらにおるアメリアとマシュー、カミラとジョン、ノラとルークスのみ。しかも無理矢理魔獣にされた所を何とか助け出せたのじゃ」
「自身の子どもや孫まで魔獣にするとは、何ともやりきれないですね」
「陛下である父上も相当怒っておった。裁判はこれからじゃが、厳罰は逃れまい」
領主の末路予想に一同頷いていた。
擁護する声が出なかったので、人望もなかったのだろう。
「当面は沙汰が出るまで、妾達が代理統治する事になるじゃろう。既に大量に放置されておった請願書も確認しておる。そこで事業案を発表したいのじゃが、その前に確認がある」
「王女様、何でしょうか?」
「領主の事は抜きにして、住民同士で人と獣人で仲間外はあるか?」
「私達は、獣人の方々がいないと事業が成り立ちません。嫌うとかは決してありません」
「俺達が働けない時も援助してくれたからな。一部は反感しているのはいるだろうが、仕事があって銭が入るなら関係はないな」
良かった、一番の問題になるだろう住民同士のいざこざがなかった。
やはり住民は、アホな当主には従っていなかった。
というか、ブルーノ侯爵領でもそうだったけど、人神教は住民まで広がってなかった。
そこが人神教国の大きな失敗だろう。
「なら今後の予定に移ろう。まずは各地の街道の拡張と修繕。それとブラントン領とマルーノ領では畑作の準備をし、高原を利用した作物を作る。勿論、ゴレス領でも耕作地を急いで造成する。まずは芋とブドウで、ゆくゆくは果樹も考えておる」
「成程、各地の特性を考えた作物を作るのですね」
「明後日に王都から王室御用達の商人がくる。そこで事業の可能性を探り、正式に決める予定じゃ。街道工事は直ぐに始める。スラムの代表、大丈夫か?」
「ふふ、俺等は直ぐにでも動ける。力仕事なら任せな」
ビアンカ殿下、わざとスラム代表を煽ったな。
スラム代表もそれが分かっているから、ニヤリとしている。
「勿論文官やメイドに騎士も募集する。人種や出身は問わぬ。ヤル気のあるものを希望する」
「それは俺等獣人でも、頭のいいヤツは文官になれるというわけか?」
「そうじゃ。現に同じ対応をしたブルーノ侯爵領では、筆頭文官はスラム出身の獣人じゃ」
「いいね、仲間内に声をかけとくよ」
いい感じになってきた。
やはり直接顔を合わせて話をすると、物事が早く進んでいく。
力自慢の獣人は明日朝に屋敷前に集合し、それ以外は明後日の午後に集まって会議する事が決定。
まずは公共工事で、少しでもお金がまわるようにしないと。
60
お気に入りに追加
3,210
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる