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第七章 ゴレス侯爵領
第百六十六話 結構ピンチ
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「急いでお屋敷の中を確認しましょう。アメリア様、お願いしますか?」
「勿論です」
アメリア様に先導してもらいお屋敷の捜索を始めようとした所、街の人から声が掛かった。
「あのー、皆様方はどういった方ですか?」
「一種の調査官じゃな。ゴレス侯爵領の調査に来た」
「申し訳ありませんが、何か食料を恵んでくれませんか? ワース商会が全てを牛耳り、食料が流通していません」
「その上、ここ数日ワース商会もこの有様でとうとう食料がつきました」
「なんじゃと!」
あ、これはかなりまずいぞ。
市中に食料が出回っていないとは。
応対したビアンカ殿下も、ビックリしている。
もしかしなくても、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領も同じでは?
急いで分担して炊き出しを始める。
ブラントン子爵領とマルーノ男爵領にも炊き出しに向かってもらい、治療所も併設して行ってもらう。 重症者がいれば、ゴレス侯爵領に送ってもらおう。
軍の駐屯地は、とりあえずお屋敷の庭でいいだろう。
炊き出し部隊をリンさんとかにお願いし、俺とビアンカ殿下はアメリア様と共にお屋敷内に入った。
また、スラタロウが炊き出しでいないので、ショコラが何回かに分けて残党を王都に運んでいってる。
「何もないのう」
「確かお金になりそうなものは、ワース商会に売っていたといってました」
ホールに入ると、物が何にもなかった。
各部屋をあけるが、ベットとかの最低限の物以外は何もない。
絵画とかそういうのも全く飾られていない。
逃走資金で、売れるだけ売ったのだろうか。
執務室や領主の部屋にも、金目の物はなく、書類だけが高く積まれていた。
「これは陳情の類の書類じゃな。どれも住民からのものになっておる」
「領主が夜逃げしたに近いですね」
「実際に人神教国に逃げようとしていたのじゃ。夜逃げで間違いないじゃろう」
領主が住民を放置して夜逃げとか、一体何を考えていたのだろうか。
あまりの酷さに、アメリア様もついてきた兵もビックリしている。
「おそらく、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領も同じですね」
「想像に難くないのじゃ」
ため息をつきながら、ビアンカ殿下は陛下に連絡をした。
「まさかここまで酷いとは」
内務卿が急ぎ様子を見にきたいと連絡あったので迎えに行ったのだが、街の様子にお屋敷の様子、それに不釣り合いな豪華な人神教会の建物を見てため息をついていた。
「物流が途絶えているので、物資が届かないのが致命的だな」
「食料は炊き出しでどうにかなりますけど、生活物資も無い可能性があります」
「だか、領内を牛耳っていたのがワース商会か。頭が痛いな。王家御用商人を向かわせよう」
「領内の商人にも声をかけてみます」
急いで生活をする最低限の環境を整えないと。
そこから公共事業をベースにして、産業を立て直して経済をまわさなければいけない。
マイナスからのスタートだから、一から領地を作るより大変だぞ。
「三つの領地の状況をまとめて報告します。後はどこまでやれるかは不明ですね」
「陛下にも至急現状を伝える。領地経営の失敗例として、閣僚にもきてもらわんと」
「ゴレス侯爵がどれだけの資産を持っているかによるが、これでは国やギース伯爵領への賠償どころではないじゃろう」
「魔獣化された影響か領内の兵も極端に少ないので、軍も暫く駐留するしかないです」
何もかもがない状態だから、どこから手を付けていいかわからないけど、とりあえずやるしかない。
だが、三つの領地を同時にみるのは不可能に近い。
少なくとも、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領には代官がほしい。
「しょうがない。妾とサトーでゴレス侯爵領をみるか。ブラントン子爵領はリンとレイアに、マルーノ男爵はミケとスラタロウじゃな」
「あまり子ども達を分けたくないけど、どうしようもないですね」
「勿論アメリア達にも色々やってもらう。そこは貴族の家に生まれたものとして諦めよ」
「どこまでできるか分かりませんが、勿論頑張ります」
内務卿を王都に送り届けた後、急いで役割分担を決めることにする。
「すまないけど、暫く分担して作業にあたってもらう。ゴレス侯爵領は面積も人口も多いので、俺とビアンカ殿下がメインに内政をおこなう。ブラントン子爵領はリンさんとレイアで、マルーノ男爵領はミケとスラタロウでおこなう」
「当面はゴレス侯爵領に物資を集めて、ブラントン子爵領とマルーノ男爵に運んでもらう。馬にも動いて貰うのじゃ」
「領内の兵が不足しているので、エステル殿下とドラコは軍と一緒に領内の巡回をメインに。悪いけど、三つの領をみてもらう事になります」
「オリガとガルフも巡回じゃな。シルも入れて、早めに残党をどうにかせぬと」
「マリリさんとマルクさんはゴレス侯爵領でお屋敷の仕事をお願いします。炊き出しは、タコヤキをメインにして誰かに手伝ってもらいましょう。ホワイトとタラちゃんは、また治療所をメインにだな」
「ララとリリとシルクはブラントン子爵領。リーフとクロエはマルーノ男爵領じゃな。仕事がない従魔は、主について活動じゃ」
活動はゴレス侯爵領のお屋敷をメインにして、朝各地に出発し夕方に戻ってくる。
落ち着くまで、このシフトで行おう。
「勿論です」
アメリア様に先導してもらいお屋敷の捜索を始めようとした所、街の人から声が掛かった。
「あのー、皆様方はどういった方ですか?」
「一種の調査官じゃな。ゴレス侯爵領の調査に来た」
「申し訳ありませんが、何か食料を恵んでくれませんか? ワース商会が全てを牛耳り、食料が流通していません」
「その上、ここ数日ワース商会もこの有様でとうとう食料がつきました」
「なんじゃと!」
あ、これはかなりまずいぞ。
市中に食料が出回っていないとは。
応対したビアンカ殿下も、ビックリしている。
もしかしなくても、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領も同じでは?
急いで分担して炊き出しを始める。
ブラントン子爵領とマルーノ男爵領にも炊き出しに向かってもらい、治療所も併設して行ってもらう。 重症者がいれば、ゴレス侯爵領に送ってもらおう。
軍の駐屯地は、とりあえずお屋敷の庭でいいだろう。
炊き出し部隊をリンさんとかにお願いし、俺とビアンカ殿下はアメリア様と共にお屋敷内に入った。
また、スラタロウが炊き出しでいないので、ショコラが何回かに分けて残党を王都に運んでいってる。
「何もないのう」
「確かお金になりそうなものは、ワース商会に売っていたといってました」
ホールに入ると、物が何にもなかった。
各部屋をあけるが、ベットとかの最低限の物以外は何もない。
絵画とかそういうのも全く飾られていない。
逃走資金で、売れるだけ売ったのだろうか。
執務室や領主の部屋にも、金目の物はなく、書類だけが高く積まれていた。
「これは陳情の類の書類じゃな。どれも住民からのものになっておる」
「領主が夜逃げしたに近いですね」
「実際に人神教国に逃げようとしていたのじゃ。夜逃げで間違いないじゃろう」
領主が住民を放置して夜逃げとか、一体何を考えていたのだろうか。
あまりの酷さに、アメリア様もついてきた兵もビックリしている。
「おそらく、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領も同じですね」
「想像に難くないのじゃ」
ため息をつきながら、ビアンカ殿下は陛下に連絡をした。
「まさかここまで酷いとは」
内務卿が急ぎ様子を見にきたいと連絡あったので迎えに行ったのだが、街の様子にお屋敷の様子、それに不釣り合いな豪華な人神教会の建物を見てため息をついていた。
「物流が途絶えているので、物資が届かないのが致命的だな」
「食料は炊き出しでどうにかなりますけど、生活物資も無い可能性があります」
「だか、領内を牛耳っていたのがワース商会か。頭が痛いな。王家御用商人を向かわせよう」
「領内の商人にも声をかけてみます」
急いで生活をする最低限の環境を整えないと。
そこから公共事業をベースにして、産業を立て直して経済をまわさなければいけない。
マイナスからのスタートだから、一から領地を作るより大変だぞ。
「三つの領地の状況をまとめて報告します。後はどこまでやれるかは不明ですね」
「陛下にも至急現状を伝える。領地経営の失敗例として、閣僚にもきてもらわんと」
「ゴレス侯爵がどれだけの資産を持っているかによるが、これでは国やギース伯爵領への賠償どころではないじゃろう」
「魔獣化された影響か領内の兵も極端に少ないので、軍も暫く駐留するしかないです」
何もかもがない状態だから、どこから手を付けていいかわからないけど、とりあえずやるしかない。
だが、三つの領地を同時にみるのは不可能に近い。
少なくとも、ブラントン子爵領とマルーノ男爵領には代官がほしい。
「しょうがない。妾とサトーでゴレス侯爵領をみるか。ブラントン子爵領はリンとレイアに、マルーノ男爵はミケとスラタロウじゃな」
「あまり子ども達を分けたくないけど、どうしようもないですね」
「勿論アメリア達にも色々やってもらう。そこは貴族の家に生まれたものとして諦めよ」
「どこまでできるか分かりませんが、勿論頑張ります」
内務卿を王都に送り届けた後、急いで役割分担を決めることにする。
「すまないけど、暫く分担して作業にあたってもらう。ゴレス侯爵領は面積も人口も多いので、俺とビアンカ殿下がメインに内政をおこなう。ブラントン子爵領はリンさんとレイアで、マルーノ男爵領はミケとスラタロウでおこなう」
「当面はゴレス侯爵領に物資を集めて、ブラントン子爵領とマルーノ男爵に運んでもらう。馬にも動いて貰うのじゃ」
「領内の兵が不足しているので、エステル殿下とドラコは軍と一緒に領内の巡回をメインに。悪いけど、三つの領をみてもらう事になります」
「オリガとガルフも巡回じゃな。シルも入れて、早めに残党をどうにかせぬと」
「マリリさんとマルクさんはゴレス侯爵領でお屋敷の仕事をお願いします。炊き出しは、タコヤキをメインにして誰かに手伝ってもらいましょう。ホワイトとタラちゃんは、また治療所をメインにだな」
「ララとリリとシルクはブラントン子爵領。リーフとクロエはマルーノ男爵領じゃな。仕事がない従魔は、主について活動じゃ」
活動はゴレス侯爵領のお屋敷をメインにして、朝各地に出発し夕方に戻ってくる。
落ち着くまで、このシフトで行おう。
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