異世界転生したので、のんびり冒険したい!

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
111 / 394
第五章 ランドルフ伯爵編

第百十一話 決戦に向けての話し合い

しおりを挟む
「ブルーノ卿、並びにルキア嬢。この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳無い」
「謝罪は受け取りましょう。庭も何とかなりますしご心配なく」

 執務室で関係者が集まり、今後について話し合うことに。
 ララ達も関わるので、一緒に参加していた。
 話し合いの前に、軍務卿がルキアさんのお父さんに謝罪していた。
 因みに、軍務卿の顔のあざはキレイに消えていた。
 実は軍務卿の奥様が馬車にひまわりの苗を持っていっている間に、あのうさぎ獣人の女の子が回復魔法で軍務卿の顔のあざを治していた。
 女の子から話を聞いたけど、顔のあざが痛々しいのではなく、あざがあって余計に顔が怖いという理由で回復魔法をかけたらしい。
 二人が和解するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

「さて、今後の事について話をしよう」

 アルス王子の話出しから、会議が始まった。

「まずランドルフ伯爵領の状況についてだが、相変わらず王都への召喚要請も無視をしている」
「バスク領にいた時から、状況は変わらないですね」
「変わらない。完全にこちらの連絡を無視している」

 ランドルフ伯爵は、もう王国の言うことは聞く気がないんだろうな。
 そう考えると、適当でも反応をしていたブルーノ侯爵領の方がマシだったか。

「王都の屋敷も捜索したが、やはり重要な物はなかった。人員も屋敷の機能を最低限維持するレベルで執事もいなかった。メイドは領地の事など、何も知らされていなかったようだ」
「王都に屋敷がある意味が、まるでないですね」
「屋敷は既に王国で差し押さえている。メイドなども保護している」

 ランドルフ伯爵にとって、王都の屋敷はお飾り当然だったのだろうな。
 メイドさんとかが保護されて良かった。

「あと数日で追加の部隊がバスク領へ到着する。到着次第直ぐに作戦開始となる」
「ブルーノ侯爵にいる部隊は、今すぐにでも動けるぞ」
「軍務卿には申し訳無いが、明後日にでもバスク領へ向かって部隊と合流して頂きたい」
「承知した」

 バスク領に関しては、軍務卿にお任せで大丈夫だろう。

「ルキアに関しては、ブルーノ侯爵領で部隊の指揮だな。今はルキアに死なれると、ブルーノ侯爵領が大変なことになるだろう」
「分かりました。怪我人も出る可能性があるので、後衛もしっかりとしないといけませんね」

 本当に今のブルーノ侯爵領は、ルキアさんが生きていると言うのが一番の重要なポイントだ。
 ルキアさんに死なれるのはかなりマズイので、ここは仕方ないけど後衛に専念して貰わないと。

「そして、作戦のポイントとなるのがサトー達だ」
「俺等ですか?」
「そうだ。サトー達が機能しないと、この作戦は成功しない」

 アルス王子が言うのだから、俺達はどんな無茶振りをされるのだろうか。

「簡単に言うと、ブルーノ侯爵領とバスク領から向かう部隊は囮だ。敵の部隊がそこに引きつけられたタイミングで、飛龍部隊が一気に屋敷と研究所を制圧にいく」
「まさか、その飛龍部隊に俺達もですか?」
「飛龍部隊は私を含めて四騎となる。飛龍には後二人位は乗れるから、サトーも一緒に連れて行く事ができる」

 陽動で兵を動かして、その隙に本丸を攻め落とすのか。
 リスクもあって、大変な作戦だ。
 俺達の少数戦力で、一気に本丸を落とさないといけないか。

「とはいえ、部隊の後衛支援もしてもらいたい」
「戦力を分けないといけないですね」
「ああ。こういう時に回復魔法が使える人材が多いサトーのパーティーは、非常に助かる」

 ということで、俺等のメンバーの戦力を分ける。
 突入部隊は、俺とエステル殿下とビアンカ殿下とリンさんミケにオリガさんとマリリさん。
 従魔はタラちゃんにスラタロウとポチとフランソワに、サファイアとタコヤキで行くことにする。
 ブルーノ侯爵領は、シルとララとリリとレイアがつく。
 バスク領へは、リーフとドラコとベリルにホワイトとショコラを配置する。
 何か緊急時などは、ルキアさんのヤキトリ含めて、鳥達を飛ばす事に。
 そして、予備戦力でブルーノ侯爵領とバスク領にそれぞれ馬を一頭づつ置くことに。
 予備戦力というか過剰戦力の様な気もするけど、念には念を入れておこう。

「ララとリリとレイアも、ルキアさんの言うことをちゃんと聞くんだよ」
「任せて、ララがルキアお姉ちゃんを守るんだよ」
「リリも頑張る」
「レイアも」

 三人は役割を任せられたので、やる気十分になっている。
 この三人だといつの間にかレイアが指揮している事が多いので、意外と問題なく物事が進んでいく。

「リーフとドラコも頼んだよ」
「任せてー。ホワイトもいるから、回復部隊も大丈夫だよ」
「初めての実戦だから、緊張するな」
「ワフー」
「リーフ、すまんがドラコとベリルの面倒も頼んだ」

 いくら軍務卿とヴィル様がいるとはいえ、ドラコとベリルでは心配なのでリーフに色々頼むことにした。
 正直ドラコとベリルだけではかなり不安だ。

 ブルーノ侯爵領では、兵士候補も手伝いに入るという。
 実際の戦闘を行うのかは、当日の状況次第だろう。
 そして他にも手伝いが入る事に。

「私たちも手伝いをさせて下さい」
「僕たちもお手伝いをしたい」

 手伝いを申し出たのは、ブルーノ侯爵領で囚われていた人たち。
 成人女性から違法奴隷の子どもまで、みんなが手を上げた。
 ブルーノ侯爵領だけでなく、バスク領でも手伝うという。
 後方支援として、炊き出しや治療所などを手伝う事になった。

 更に援軍が来ると、執務室に連絡が入った。
 執務室に、マルクさんがルキアさん宛の手紙を届けてきた。

「失礼します。バルガス領よりルキア様へ手紙が届いております」
「ありがとうございます。アルス王子、バルガス様が難民を引き連れてブルーノ侯爵領へ援軍にきてくれるそうです」
「そうか、それは心強いな。バルガス領の兵はよく訓練されていた。貴重な戦力になるだろう」
「既にバスク領を出ているそうで、早ければ明日にもブルーノ侯爵領に到着するとの事です」

 バルガス領から援軍が来るとなれば、こちらとしてもかなり心強い。
 団長さんとかは武芸の達人だし、かなりの戦力になる。
 次々に戦力が整ってきているけど、ランドルフ伯爵の中心地を攻め落とすのは俺達になる。
 明日は一日かけて、戦闘に向けた準備を行わないと。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...