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第二章 バスク子爵領
第六十二話 強制捜査開始
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「お兄ちゃんお待たせ!」
「サトー殿、よく現場を押さえてくれた」
まだ泣き止まない二人の子どもをあやしていると、ミケ達が馬車で、テリー様とアルス王子が馬に乗って駆けつけてきた。
二人の子どもは突然現れた大勢の人に驚いて、また強くしがみついてきた。
「サトー様、こんな小さい子どもがこの麻袋の中に囚われていたのですか?」
「そうです。他の荷物とまぎれさせる為にこの手口を使ったのだと」
「あまりにも酷いです」
ルキアさんが二人の頭を撫でながら涙ぐんでいる。
今までの方法で運べなくなったので、強引になったのだろう。
「お兄ちゃん、お馬さんにも治療してあげて。鞭で打たれて怪我だらけだよ」
ミケが馬に近づいて話を聞いていたら、急に声をあげてきた。
よく見ると、ワース商会の馬車にいた馬も傷だらけだ。
急いでマリリさんとホワイトが、馬に回復魔法をかけていた。
よく見ると、うちの馬車を引いていた二頭の馬も激怒している。
同じ馬同士、こんな目に遭うのは許せないのだろう。
「サトー殿。子を持つ親としてこんな行為は見過ごせない。今すぐにワース商会の強制捜査を行おう。騎士よ、前倒しになるが直ぐに準備を」
「は、かしこまりました」
テリー様も騎士も、直ぐに操作の準備を開始した。
等しく子を持つ親として、みんな許せないのだろう。
ふと、馬車の方から物凄いプレッシャーが放出された。
従魔も含めてみんなびっくりしている。
おお、あの暴走する事で有名な馬も怯えているよ。
アルス王子もびっくりしている。
「サトー様、この二人は私達がお屋敷でお預かりします」
「あなた、アルス殿下、サトー様。この悪魔の所業を行なった者に制裁を。生きている事を後悔させる様な強烈な鉄槌を」
プレッシャーというか殺気を放っているのは、エーファ様とサーシャさんだった。どうも無実の子どもが違法奴隷になったと聞いて、制止を振り払って一緒にきたらしい。
そして実際の現場を見て、怒りが爆発した様だ。
何だか目が怪しく光って、背後に炎が高く上がっているのが見える。
しかし、奥様ズの殺気に更に子どもが怯えてしまった。
「「あのおばちゃん達が怖いよー」」
「ああ、大丈夫だからね。エーファ様、サーシャさん。子どもが殺気で怯えていますよ」
「あらやだ、ごめんなさいね。お嬢ちゃん達はこっちにおいでね」
「「わたしを食べない?」」
「食べないわよ。ほら、抱っこしてあげるね」
エーファ様とサーシャさんから出ている殺気を押さえて貰ったが、子どもには少し刺激が強かった様だ。思わず魔物に食べられると勘違いされた様だ。
エーファ様とサーシャ様は誤解を解きつつ、二人をそれぞれ抱き上げた。
「「お兄ちゃんは一緒じゃないの?」」
「お兄ちゃんは、この後悪者をやっつけるからね。終わったら直ぐに行くからね」
「「うん」」
二人は俺から離れるのが不安みたいだが、ここは我慢だ。
直ぐに戻ると言って、二人の頭を撫でてあげた。
「そうだ。ベリル、この二人の側についていてくれ。頼んだぞ」
「ウォン!」
ベリルはまだ一緒に連れて行けないので、二人の子どもの近くにいるようにお願いした。
ベリルは、主人からお願いされてやる気満々の様だ。
小さく吠えて尻尾をふりふりしたら、直ぐに馬車に乗って二人の近くに陣取った。
「テリー様、騎士の準備が整いました。いつでも出撃可能です」
「よし。アルス殿下、サトー殿、向かいましょう」
「サトー、行けるか?」
「はい、大丈夫です。でもその前にいいですか?」
騎士の準備ができたと報告があり、テリー様はいつでも出撃する気満々だ。
でも少し安全策をしておきたい。
「タラちゃんとホワイトとサファイアは、ワース商会の裏側で逃走者を確保。ヤキトリとショコラは、上空からの監視と指示をお願いするね」
「サトーお兄ちゃん、任せて。残らず捕まえるね」
タラちゃんはサファイアに、ホワイトはヤキトリに乗って、ショコラと共に先行した。
「お待たせしました。念の為に先に抜け道になりそうな所に従魔を配置しました。これだけの騒ぎになっているので、おそらくワース商会も気がついているはずです。逃走ルートを潰しておかないと」
「流石サトー殿だ、冷静な判断でいる。よし、逃走ルートに立つ騎士は、先行して周りを固めよ。ネズミ一匹通すな」
「は、直ぐに向かいます」
騎士と従魔の二段構えで逃走ルートを潰せば、後は正面突破でいけるはず。
お屋敷に急いで向かう馬車を見送りつつ、俺達はワース商会に向かった。
ワース商会に近づくと、何やら揉め事が起きている。
よく見ると商人と冒険者が揉めている。
冒険者は十人くらいだろうか。店頭で押し問答になっている。
「おい、仕事が急になくなったとはどういうことだ」
「ないものはないんだよ」
「ふざけるな!」
どうも事前に冒険者ギルドで仕事を発注した仕事がなくなって、冒険者が押しかけている様だ。
「テリー様、急ぎましょう」
「ああ、あの冒険者もある意味被害者だからな」
一気にワース商会に近づき、騎士が陣形を整える。
商人は焦った顔をしているが、冒険者は突然の出来事にポカーンとしている。
「バスク領主が命ずる。これよりワース商会の違法取引の強制捜査を開始する」
エリー様が強制操作の開始を宣言した。
これにびっくりしたのは、ワース商会に詰め寄っていた冒険者だ。
「何? 強制捜査? って事は、俺らは悪の片棒を担がされる所だったのか」
「おい、これは一体どういう事だ!」
冒険者も状況が分からないのか、こっちにも聞いてくる。
そんな中、不意にリーフが叫んだ。
「サトー、お店の中に魔力が集中しているよー。危ないよー!」
「まずい、テリー様も、冒険者も下がって! 全員、魔法障壁展開」
俺でも感じられる位の魔力が集中している事に気がついて、咄嗟に叫んだ。
俺はテリー様の前に立ち、魔法障壁を展開した。
その瞬間、ワース商会の一階が爆発を起こした。
「サトー殿、よく現場を押さえてくれた」
まだ泣き止まない二人の子どもをあやしていると、ミケ達が馬車で、テリー様とアルス王子が馬に乗って駆けつけてきた。
二人の子どもは突然現れた大勢の人に驚いて、また強くしがみついてきた。
「サトー様、こんな小さい子どもがこの麻袋の中に囚われていたのですか?」
「そうです。他の荷物とまぎれさせる為にこの手口を使ったのだと」
「あまりにも酷いです」
ルキアさんが二人の頭を撫でながら涙ぐんでいる。
今までの方法で運べなくなったので、強引になったのだろう。
「お兄ちゃん、お馬さんにも治療してあげて。鞭で打たれて怪我だらけだよ」
ミケが馬に近づいて話を聞いていたら、急に声をあげてきた。
よく見ると、ワース商会の馬車にいた馬も傷だらけだ。
急いでマリリさんとホワイトが、馬に回復魔法をかけていた。
よく見ると、うちの馬車を引いていた二頭の馬も激怒している。
同じ馬同士、こんな目に遭うのは許せないのだろう。
「サトー殿。子を持つ親としてこんな行為は見過ごせない。今すぐにワース商会の強制捜査を行おう。騎士よ、前倒しになるが直ぐに準備を」
「は、かしこまりました」
テリー様も騎士も、直ぐに操作の準備を開始した。
等しく子を持つ親として、みんな許せないのだろう。
ふと、馬車の方から物凄いプレッシャーが放出された。
従魔も含めてみんなびっくりしている。
おお、あの暴走する事で有名な馬も怯えているよ。
アルス王子もびっくりしている。
「サトー様、この二人は私達がお屋敷でお預かりします」
「あなた、アルス殿下、サトー様。この悪魔の所業を行なった者に制裁を。生きている事を後悔させる様な強烈な鉄槌を」
プレッシャーというか殺気を放っているのは、エーファ様とサーシャさんだった。どうも無実の子どもが違法奴隷になったと聞いて、制止を振り払って一緒にきたらしい。
そして実際の現場を見て、怒りが爆発した様だ。
何だか目が怪しく光って、背後に炎が高く上がっているのが見える。
しかし、奥様ズの殺気に更に子どもが怯えてしまった。
「「あのおばちゃん達が怖いよー」」
「ああ、大丈夫だからね。エーファ様、サーシャさん。子どもが殺気で怯えていますよ」
「あらやだ、ごめんなさいね。お嬢ちゃん達はこっちにおいでね」
「「わたしを食べない?」」
「食べないわよ。ほら、抱っこしてあげるね」
エーファ様とサーシャさんから出ている殺気を押さえて貰ったが、子どもには少し刺激が強かった様だ。思わず魔物に食べられると勘違いされた様だ。
エーファ様とサーシャ様は誤解を解きつつ、二人をそれぞれ抱き上げた。
「「お兄ちゃんは一緒じゃないの?」」
「お兄ちゃんは、この後悪者をやっつけるからね。終わったら直ぐに行くからね」
「「うん」」
二人は俺から離れるのが不安みたいだが、ここは我慢だ。
直ぐに戻ると言って、二人の頭を撫でてあげた。
「そうだ。ベリル、この二人の側についていてくれ。頼んだぞ」
「ウォン!」
ベリルはまだ一緒に連れて行けないので、二人の子どもの近くにいるようにお願いした。
ベリルは、主人からお願いされてやる気満々の様だ。
小さく吠えて尻尾をふりふりしたら、直ぐに馬車に乗って二人の近くに陣取った。
「テリー様、騎士の準備が整いました。いつでも出撃可能です」
「よし。アルス殿下、サトー殿、向かいましょう」
「サトー、行けるか?」
「はい、大丈夫です。でもその前にいいですか?」
騎士の準備ができたと報告があり、テリー様はいつでも出撃する気満々だ。
でも少し安全策をしておきたい。
「タラちゃんとホワイトとサファイアは、ワース商会の裏側で逃走者を確保。ヤキトリとショコラは、上空からの監視と指示をお願いするね」
「サトーお兄ちゃん、任せて。残らず捕まえるね」
タラちゃんはサファイアに、ホワイトはヤキトリに乗って、ショコラと共に先行した。
「お待たせしました。念の為に先に抜け道になりそうな所に従魔を配置しました。これだけの騒ぎになっているので、おそらくワース商会も気がついているはずです。逃走ルートを潰しておかないと」
「流石サトー殿だ、冷静な判断でいる。よし、逃走ルートに立つ騎士は、先行して周りを固めよ。ネズミ一匹通すな」
「は、直ぐに向かいます」
騎士と従魔の二段構えで逃走ルートを潰せば、後は正面突破でいけるはず。
お屋敷に急いで向かう馬車を見送りつつ、俺達はワース商会に向かった。
ワース商会に近づくと、何やら揉め事が起きている。
よく見ると商人と冒険者が揉めている。
冒険者は十人くらいだろうか。店頭で押し問答になっている。
「おい、仕事が急になくなったとはどういうことだ」
「ないものはないんだよ」
「ふざけるな!」
どうも事前に冒険者ギルドで仕事を発注した仕事がなくなって、冒険者が押しかけている様だ。
「テリー様、急ぎましょう」
「ああ、あの冒険者もある意味被害者だからな」
一気にワース商会に近づき、騎士が陣形を整える。
商人は焦った顔をしているが、冒険者は突然の出来事にポカーンとしている。
「バスク領主が命ずる。これよりワース商会の違法取引の強制捜査を開始する」
エリー様が強制操作の開始を宣言した。
これにびっくりしたのは、ワース商会に詰め寄っていた冒険者だ。
「何? 強制捜査? って事は、俺らは悪の片棒を担がされる所だったのか」
「おい、これは一体どういう事だ!」
冒険者も状況が分からないのか、こっちにも聞いてくる。
そんな中、不意にリーフが叫んだ。
「サトー、お店の中に魔力が集中しているよー。危ないよー!」
「まずい、テリー様も、冒険者も下がって! 全員、魔法障壁展開」
俺でも感じられる位の魔力が集中している事に気がついて、咄嗟に叫んだ。
俺はテリー様の前に立ち、魔法障壁を展開した。
その瞬間、ワース商会の一階が爆発を起こした。
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