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第二章 バスク子爵領

第五十七話 監視開始と女性陣の暴走

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「あ、お兄ちゃんお帰り!」
「お待たせミケ。何買っているんだ?」
「おやつ! 一杯買ったの!」
「おお、それはよかったね……」
「うん、みんなで食べるんだ。お兄ちゃん、アイテムボックスにしまってね」

 会頭さんとの会談が終了し下に降りた所、ミケがお菓子や食べ物などを大量に買い込んでいた。
 まあ薬草取りなどで自分でお金を稼いでいるから、どう使うかは問題ないんだけどね。
 ミケからお菓子を受け取ってアイテムボックスに仕舞い込む。
 冒険者用のマジックバックは容量が入らないから、今度ミケ専用の大容量のマジックバックを購入するのも良いかもしれない。

「皆さんお待たせしました」
「いえ、皆でお買い物してましたのでそんなに待っていませんよ」

 ルキアさんが代表して返事していたが、女子陣は色々買い込んだ様でホクホク顔だ。
 対してマルクさんはいつも通りだが、ガルフさんは疲れた顔をしている。
 きっと女性陣にあれこれ付き合わされたのだろう。

「さてと、リアカーも複数買えたし紐もある程度購入出来た。あとは何買おうかな?」
「お兄ちゃん、これは?」
「どうしたミケ。おっ、これは!」

 取り急ぎ必要なものを買った所でついでに何かを買おうとしたら、ミケが何かを勧めてきた。
 
「おお、これは醤油と味噌だ。まさかここで出会えるとは……」
「お兄ちゃん買うの?」
「買うに決まっている!」

 醤油と味噌に出会えるなんて、とても幸運だ。
 ドワーフが作っていると聞いたので、いつかドワーフの所で大量に買い込みたい。
 乾麺なども買い込んでいく。
 ちなみに醤油と味噌は、我がチームの料理長であるスラタロウも興味を持っていた。どんな料理になるか考えているのか、ふるふる揺れていた。

「さて。一旦お屋敷に戻ってテリー様に色々相談しよう」
「確かお父様は今日は執務室にいると思いますわ」
「うむ、なるべく早く色々話をしたほうがよいのじゃ」

 ということで早目にお屋敷に戻ります。
 ミケとエステル殿下はまだ動きたらなそうなので、お屋敷についたらまた格闘術の訓練をするそうだ。
 俺にはもうそんな元気はない。

「サトー、爺臭いー」

 リーフよ、一言余計だ。

「ランドルフ侯爵への街道は、確かに魔物は強くなり量も増えてはいますが、街道に限れば一端の冒険者なら対応可能です。それよりかはワース商会の動向を探らないといけません」
「ワース商会か……ここ最近になって急に大きくなったので、私も気にはなっていた。この難民騒ぎは、こちらの捜査の手を伸ばさないのもあるだろうな」
「はい。俺達も余裕が出て初めてここまで動けました。ここから何とか情報を探ってみます」
「サトー殿の方針は分かった。こちらも巡回を強化する余裕が出たので、騎士にも調べさせよう」
「こちらは従魔に交代で監視と情報共有をさせてます。先程オース商会によった際に、監視を始めました」

 執務室でテリー様と情報交換を進める。
 テリー様も余裕が出てきた分、騎士の巡回を強化するらしい。騎士の目から見た情報も大事になるな。
 それとワース商会には、既に従魔の監視をつけた。
 先ずは闇魔法にたけたタラちゃんと連絡係としてヤキトリだ。
 因みにヤキトリはタラちゃんを乗せた状態で飛行が出来た。何か不測の事態があっても逃げることはできる。
 ここからフランソワとポチのアルケニー班と、サファイアとショコラの鳥班が、それぞれ三交代で監視につく予定だ。
 ホワイトにスラタロウとタコヤキが監視に追加するのは、まだ先の予定。
 シルとリーフはこちらと一緒の行動になる。
 因みに従魔の簡易的な待機所として、馬小屋の端を借りている。
 馬も魔法使えるので、何かあったら貴重な戦力になる。

「ということは、暫くタラちゃんとかはスパイ業務になるのね」
「はい、残念ですがファッションショーは暫くお休みです」

 ここで今日もメイド服完備のサーシャさんが、タラちゃんとかが暫く忙しくなると思ってこちらに話しかけてきた。
 俺はてっきりファッションショーが出来なくなったと思ったのだが、サーシャさんからは別の反応が返ってきた。

「違うの。せっかくスパイ業務するのだから、スパイ服を着させてあげないと! この後、奥様と早速相談しないと」

 サーシャさんからはタラちゃん達がスパイ業務するのだから、スパイ服を作るべきという違う方向に熱が入っていた。
 直ぐに行動する気満々の様だ。

「あとせっかく早く帰られたのだから、サトー様の採寸はこの後直ぐに行いましょう」
「え? ファッションショーは中止では?」
「それはそれ、これはこれですわ!」
「何故に!」

 そして何故か俺に矛先が向いてきた。
 サーシャさんの瞳が怪しく輝いている!
 ファッションショーは中止です。
 助けを求めてテリー様の方を向いたが……

「サトー殿、すまないが諦めてくれ」

 視線を外され、さらりと言われてしまった。
 昨日に続いて逃げ切るつもりだ。

「ほほう、それなら妾も手伝わんとな」
「マリリ、あなたも手伝いなさい」
「サーシャ様、もちろんです。こんな楽しい事なんてないですわ」

 ビアンカ殿下にマリリさんも加わって、強引に連れて行かれる。
 くそう、こういう時の女性はみんな一致団結している。
 何故かオリガさんもリンさんも助けに入らない。
 廊下に出たところで遭遇したミケとエステル殿下も巻き込み、お屋敷の裁縫部屋に押し込まれた。

「ふふふ、お待ちしておりましたよ」

 裁縫部屋には笑顔のエーファ様とメイドさんたちが……

「痛くないですからね。痛くなーい」
「あわわわわ……」
「「「うふふ」」」

 俺は女性陣に囲まれ、あっという間に服を脱がされて下着のみになった。
 それからの事は……うう、思い出したくない。

「しくしく、汚されちゃった。もうお嫁に行けない……」
「大丈夫よ。何かあったらリンちゃんがサトーの事を貰ってくれるから」
「そうそう」

 エステル殿下とサーシャさんが何か言っているが、俺には何も聞こえなかった。
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