9 / 394
第一章 バルガス公爵領
第九話 戦いの後始末と、どろどろミケさんにシルさん
しおりを挟む
「えーと。シル、この辺に残りの魔物はいるか?」
「大丈夫だぞ主人。この辺には何もいないぞ」
「それはよかった。ミケ、シル。着替えを出すから川で汚れを落としてきなさい」
「はーい!」
「分かったぞ、主人」
シルに辺りを確認してもらい危機が去ったのを確認し、ミケとシルに汚れを流すように言った。
二人とも元気よく返事してくれてよかった…
だって、ミケの可愛いお顔とシルの真っ白な毛が、返り血で酷い事になっていて、とても人前には出せません……
二人を送り出すと、隊長っぽい人が俺に話しかけてきた。
「どこの誰かは存じませんが助かりました。隊長としてお礼します」
「いえいえいえ、困った時はお互い様です。あ、俺はサトーと言います」
「サトー殿、この度は本当に助かった。危うく全滅することも考えた位だ」
「みなさんが無事でよかった。ところでこの街道はこんなに危険なのですか?」
「いや、普段はとても安全な街道だ。出てくる魔物も弱いものばかりだ。ゴブリンが上位種も含めて集団で襲ってくるなんて、ここ数年でも初めてだ」
「え、そうなんですね。でも確かに今まで遭遇した魔物は弱いものばかりでしたし」
隊長さんと話をしていると、こんなにゴブリンが出てくるのは初めてだという。
何かあったのかな?
「おにーちゃん、お着替え終わったよ!」
「おっとと」
と、そこに着替えが終わったミケが飛びついてきた。
うん、いつもの可愛いミケに戻ったな。
シルも綺麗になってきた。ちなみに大きさは元の大型犬位に戻っています。
「お嬢ちゃんお帰りなさい。お嬢ちゃんとっても強いね」
「えっへん!」
隊長さんがミケを誉めると、ミケは腰に手を当ててドヤ顔です。
その様子に、殺伐としていた雰囲気もほっこりしました。
「隊長さん、この子はミケで、白いオオカミはシルです」
「ミケちゃんにシルか。可愛いのにとっても強い。そしてサトー殿が大好きなのだな」
「うん!」
隊長さんに二人の事を紹介したが、三日前の頭すりすり事件を覚えているようだ。
ミケは元気よく返事をしたが、俺はとっても恥ずかしい……
「隊長さん、この後はどうしましょうか?」
「怪我した騎士の手当てをして、ゴブリンの処理をする。幸にして重傷者はいないが、ゴブリンの血の匂いに誘われて他の魔物が来たら大変だ」
確かに他の魔物が来たら大変だ。他の旅人も襲われるかもしれない。
「ここまできたので、最後まで手伝います」
「何から何まで申し訳ない。今は手が足らないので助かる」
「主人も手伝うなら、我も手伝うぞ」
「ミケも手伝う!」
手分けして作業を行う事になった。
負傷者の手当てと並行してのゴブリンの処分。
ゴブリンは利用する場所がないとの事で、討伐部位の右耳と魔石を取ったら、穴を掘って燃やして埋めるそうです。
魔物には魔石が取れるらしいのですが、もう少し勉強が必要だな。
「穴掘りは任せて! お兄ちゃん、地面掘る道具を出して」
「なら、ゴブリンの解体と穴へ捨てるのは我がやるぞ」
ミケとシルが立候補したのでミケにスコップを渡してやると、あっという間に大きな穴を掘っていた。
そしてシルもザクザクとゴブリンを解体して必要部位を取ったら、ミケが掘った穴の中にぽいっとしている。
あっという間に、処理が進んでいく。
……ゴブリンはあの二人に任せよう。
俺と隊長は見合って、無言で同意した。
俺は怪我した騎士さんの治療を始めた。
ゴブリンの持っていた武器での怪我が殆どで、鎧を着ていたからか骨折までしている人はいなかった。
アイテムボックスの中に入っていた消毒薬や包帯を使って、騎士さんの手当てを行なっていく。
手当ても順調に行き、残り一人になったところで、急に背中が熱くなった。
騎士の皆さんも唖然としていたので、熱がする方を向いてみたら……
ゴー!
「シル凄い!」
そこには、ゴブリンの死体が入った穴に向かって炎を吐いているシルさんの姿が!
おい、シル! オオカミなのに火を吐くのかよ!
ミケは炎を吐くシルに大喜びなのだが、俺は他の騎士さんと一緒にポカーンとしていた。
やがてゴブリンの焼却が終わり、今度はミケが物凄い勢いで穴を埋めていた。
「お兄ちゃん、終わったよ!」
「主人、全て終わったぞ!」
ミケとシルがゴブリンの処分が完了したと報告してきたが、騎士の人と共に俺も唖然としていた。
ミケさんにシルさんよ。あんたら物凄いよ……
そしてミケは穴掘りの土で、シルはゴブリンを解体した時の血でまたしてもどろどろに汚れている。
「ミケ、シル。ありがとう。とっても助かったよ。でもまた二人とも汚れちゃったから、洗ってきな」
「はーい!」
「分かったぞ、主人」
着替えを持って川にいく二人を隊長さんと共に苦笑しながら見送った。
「やることは凄いのですが、まだまだ子どもで……」
「いえいえ、そこが二人の魅力ですよ。討伐部位の回収は我々で行いましょう。誰か手の空いたもので行けるものはいるか?」
「私が行きます」
手当ても終わったので、これでひと段落。っと思ったら、隊長さんが一言。
「御館様が、ぜひサトー殿にお会いしたいと申しております。申し訳ありませんが、お時間頂けないでしょうか?」
もしかして、これは何かフラグ発生の予感?
「大丈夫だぞ主人。この辺には何もいないぞ」
「それはよかった。ミケ、シル。着替えを出すから川で汚れを落としてきなさい」
「はーい!」
「分かったぞ、主人」
シルに辺りを確認してもらい危機が去ったのを確認し、ミケとシルに汚れを流すように言った。
二人とも元気よく返事してくれてよかった…
だって、ミケの可愛いお顔とシルの真っ白な毛が、返り血で酷い事になっていて、とても人前には出せません……
二人を送り出すと、隊長っぽい人が俺に話しかけてきた。
「どこの誰かは存じませんが助かりました。隊長としてお礼します」
「いえいえいえ、困った時はお互い様です。あ、俺はサトーと言います」
「サトー殿、この度は本当に助かった。危うく全滅することも考えた位だ」
「みなさんが無事でよかった。ところでこの街道はこんなに危険なのですか?」
「いや、普段はとても安全な街道だ。出てくる魔物も弱いものばかりだ。ゴブリンが上位種も含めて集団で襲ってくるなんて、ここ数年でも初めてだ」
「え、そうなんですね。でも確かに今まで遭遇した魔物は弱いものばかりでしたし」
隊長さんと話をしていると、こんなにゴブリンが出てくるのは初めてだという。
何かあったのかな?
「おにーちゃん、お着替え終わったよ!」
「おっとと」
と、そこに着替えが終わったミケが飛びついてきた。
うん、いつもの可愛いミケに戻ったな。
シルも綺麗になってきた。ちなみに大きさは元の大型犬位に戻っています。
「お嬢ちゃんお帰りなさい。お嬢ちゃんとっても強いね」
「えっへん!」
隊長さんがミケを誉めると、ミケは腰に手を当ててドヤ顔です。
その様子に、殺伐としていた雰囲気もほっこりしました。
「隊長さん、この子はミケで、白いオオカミはシルです」
「ミケちゃんにシルか。可愛いのにとっても強い。そしてサトー殿が大好きなのだな」
「うん!」
隊長さんに二人の事を紹介したが、三日前の頭すりすり事件を覚えているようだ。
ミケは元気よく返事をしたが、俺はとっても恥ずかしい……
「隊長さん、この後はどうしましょうか?」
「怪我した騎士の手当てをして、ゴブリンの処理をする。幸にして重傷者はいないが、ゴブリンの血の匂いに誘われて他の魔物が来たら大変だ」
確かに他の魔物が来たら大変だ。他の旅人も襲われるかもしれない。
「ここまできたので、最後まで手伝います」
「何から何まで申し訳ない。今は手が足らないので助かる」
「主人も手伝うなら、我も手伝うぞ」
「ミケも手伝う!」
手分けして作業を行う事になった。
負傷者の手当てと並行してのゴブリンの処分。
ゴブリンは利用する場所がないとの事で、討伐部位の右耳と魔石を取ったら、穴を掘って燃やして埋めるそうです。
魔物には魔石が取れるらしいのですが、もう少し勉強が必要だな。
「穴掘りは任せて! お兄ちゃん、地面掘る道具を出して」
「なら、ゴブリンの解体と穴へ捨てるのは我がやるぞ」
ミケとシルが立候補したのでミケにスコップを渡してやると、あっという間に大きな穴を掘っていた。
そしてシルもザクザクとゴブリンを解体して必要部位を取ったら、ミケが掘った穴の中にぽいっとしている。
あっという間に、処理が進んでいく。
……ゴブリンはあの二人に任せよう。
俺と隊長は見合って、無言で同意した。
俺は怪我した騎士さんの治療を始めた。
ゴブリンの持っていた武器での怪我が殆どで、鎧を着ていたからか骨折までしている人はいなかった。
アイテムボックスの中に入っていた消毒薬や包帯を使って、騎士さんの手当てを行なっていく。
手当ても順調に行き、残り一人になったところで、急に背中が熱くなった。
騎士の皆さんも唖然としていたので、熱がする方を向いてみたら……
ゴー!
「シル凄い!」
そこには、ゴブリンの死体が入った穴に向かって炎を吐いているシルさんの姿が!
おい、シル! オオカミなのに火を吐くのかよ!
ミケは炎を吐くシルに大喜びなのだが、俺は他の騎士さんと一緒にポカーンとしていた。
やがてゴブリンの焼却が終わり、今度はミケが物凄い勢いで穴を埋めていた。
「お兄ちゃん、終わったよ!」
「主人、全て終わったぞ!」
ミケとシルがゴブリンの処分が完了したと報告してきたが、騎士の人と共に俺も唖然としていた。
ミケさんにシルさんよ。あんたら物凄いよ……
そしてミケは穴掘りの土で、シルはゴブリンを解体した時の血でまたしてもどろどろに汚れている。
「ミケ、シル。ありがとう。とっても助かったよ。でもまた二人とも汚れちゃったから、洗ってきな」
「はーい!」
「分かったぞ、主人」
着替えを持って川にいく二人を隊長さんと共に苦笑しながら見送った。
「やることは凄いのですが、まだまだ子どもで……」
「いえいえ、そこが二人の魅力ですよ。討伐部位の回収は我々で行いましょう。誰か手の空いたもので行けるものはいるか?」
「私が行きます」
手当ても終わったので、これでひと段落。っと思ったら、隊長さんが一言。
「御館様が、ぜひサトー殿にお会いしたいと申しております。申し訳ありませんが、お時間頂けないでしょうか?」
もしかして、これは何かフラグ発生の予感?
140
お気に入りに追加
3,209
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた! 〜仲間と一緒に難題を解決します!〜
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
異世界転生した主人公が、仲間と共に難題に巻き込まれていき、頑張って解決していきます
詳細説明
ブラック企業に勤めているサトーは、仕事帰りにお酒を飲んで帰宅中に道端の段ボールに入っていた白い子犬と三毛の子猫を撫でていたところ、近くで事故を起こした車に突っ込まれてしまった
白い子犬と三毛の子猫は神の使いで、サトーは天界に行きそこから異世界に転生する事になった。
魂の輪廻転生から外れてしまった為の措置となる。
そして異世界に転生したその日の内に、サトーは悪徳貴族と闇組織の争いに巻き込まれる事に
果たしてサトーは、のんびりとした異世界ライフをする事が出来るのか
王道ファンタジーを目指して書いていきます
本作品は、作者が以前に投稿しました「【完結済】異世界転生したので、のんびり冒険したい!」のリメイク作品となります
登場人物やストーリーに変更が発生しております
20230205、「異世界に転生したので、ゆっくりのんびりしたい」から「異世界に転生したら、いきなり面倒ごとに巻き込まれた!」に題名を変更しました
小説家になろう様にも投稿しています
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる