異世界のんびり散歩旅

藤なごみ

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第二・五章 北の辺境伯領への道のり

散歩の百七十七話 旅の再開

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 屋敷を出た僕達は、その足で馬車乗り場に向かいました。
 はあっ、とため息が出る面会だったなあ。
 早くこの領地から出たいなあ。

「おお、にいちゃんか。随分と大活躍だったらしいな」
「まあ、色々ありましたよ。本当に色々ありました」

 僕達が馬車乗り場に着くと、昨日馬車の御者を勤めていたおっちゃんが兵と一緒にいました。
 昨晩から本当に色々な事があって、皆ヘトヘトですよ。
 すると、兵が心配そうに僕達に尋ねてきました。
 きっと、あの馬鹿との話し合いの件だろうな。

「お館様から何か言われました?」
「ええ。でも、何も無かった事にしましたわ」
「そ、そうですか。それは良かったです」

 スーがニコリと兵に言うと、兵もそれ以上は何も言わなかった。
 兵は、色々あったんだろうなと思っているだろうな。
 
「にいちゃん達は、この後どうするんだ?」
「北の辺境伯領に向かいますので、北に行きます」
「そうか。なら、途中の子爵領に寄って行くといいぞ。あそこの領主は良い人だし、大きな湖もあって観光地になっているぞ」
「「「おおー」」」

 北の辺境伯領に向かう途中に、観光地がある子爵領があるのか。
 シロ達も湖に興味を持っているし、気晴らしに寄っても良いかもしれないな。
 という事で、早速馬車に乗って出発です。

「「「じゃーねー」」」
「「気をつけてな」」

 御者のおっちゃんと兵の見送りを受けた僕達は、旅を再開します。

「確か子爵領はお土産も充実しているので、あの子に買ってあげたいと思っています」
「確か、東の辺境伯様にまで手紙を書いた北の辺境伯様の娘さんだよね?」
「はい。せっかくなので、可愛い物を買ってあげたいと」

 馬車に乗りながら、スーは手紙を出してきた知り合いへのお土産の事を考えていました。
 本当に仲が良いんだな。
 しかし、僕はもう眠気が限界です。

「ふわぁ」
「流石に眠そうですね。何かあったら起こしますから、寝ちゃって下さい」
「お願いします……」

 僕はスーの言葉に甘えて、馬車の背もたれに持たれながら目を閉じます。
 あー、日差しが気持ち良いし馬車の振動も心地よいなあ。
 僕は暫くの間、眠りについていました。

「「すー、すー」」

 僕の脇では、フランとホルンも僕にくっついて寝ていました。
 アオがいるから、何かあれば起こしてくれるだろうな。
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