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第三十章 入園前準備

九百九十話 ルーシーお姉様の課外活動の日

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 ルーシーお姉様の校外活動の日がやってきたので、僕は早めに学園に向かいました。
 基本的にはルーカスお兄様の時と同じなんだけど、新たに二つ冒険者活動が追加になりました。
 一つが冒険者ギルド内の食堂関連で、もう一つが教会付属の治療施設での活動です。
 他にも声を上げてくれたところがあったらしいけど、あんまり手を広げると監督する人も増えるので次回以降に持ち越しです。

「それにしても、来年はここに通うんだよなあ。何だか、不思議な気持ちだよ」
「アレク様の場合は、幼い頃から学園に来ていましたから。私も、入園式の時のアレク様の立派な祝辞を覚えていますわ」

 ローリーさんが僕にニコリとしながら答えてくれたけど、初めて学園の式典で祝辞を言ったのは五歳の時だもんね。
 そんなことを思いながら校庭で待っていたら、次々と学園生が校舎から出てきた。
 その中に、僕のところに走ってくる女子生徒が。

「弟くん、お待たせ。もう少し待っていてね」
「る、ルーシー様。走るの速いですよ……」

 ランさんを置いてけぼりにしながらルーシーお姉様が僕のところにやってきたけど、なんというかいつも以上にやる気満々です。
 たくさんの人がやってきたけど、何故か女子生徒が僕の周りに集まってきた。

「わあ、例の弟くんだわ。とっても可愛いわね」
「来年から、一緒に学園に通うのよね。とってもワクワクしちゃうわあ」
「この後、妹ちゃんにも会えるのね。今日は本当に楽しみだわ」

 何故か僕の頭を笑顔でなでなでしてくるし、何人かは抱きしめたりしてきた。
 ローリーさんに視線を向けても、微笑ましいものを見ているって感じです。
 すると、ルーシーお姉様がため息をつきながら僕と女子生徒の間に割って入りました。

「はいはい、時間がないからさっさと移動するよ。今日は、弟たちも来ているんだからね」

 そうです、またもやルカちゃんとエドちゃんもミカエルたちと一緒に薬草採取をすると張り切っていました。
 ちびっ子軍団は、新しい人に会えると待ち遠しくしていました。
 引率の先生も来たので、僕は学園から辺境伯様の屋敷にゲートを繋ぎました。
 すると、既に待ち切れない人たちがルーシーお姉様に群がっていました。

「「「ルーシーお姉ちゃん!」」」
「はいはい、分かったから少し待っていてね」

 ミカエルたちがルーシーお姉様にニコニコしながら抱きついて来たけど、これから辺境伯様の話があるから少し待ちましょう。
 リズたちも既に広間の後方に待機しているけど、何故か一歳児三人組もネコちゃんと一緒にいました。
 何でここにいるのかなと思ったら、一緒にいた人が答えてくれました。

「ちょうど別件で、辺境伯と周辺領地に用事があったのよ。だから、ついでにエリの面倒を見て貰おうかなと思ったのよ。昼食後に帰れば良いから、時間的には問題ないわ」

 ドレス姿のアリア様がニコリとしていたけど、一緒に話をしていた辺境伯様曰く本当に各領地に書状を渡したりする用事があるそうです。
 護衛の近衛騎士とともにポッキーが一緒に行くので、移動手段もバッチリです。

「空間魔法が使える従魔がいると便利なのだけど、流石に直ぐには無理だから迎えに来て貰うことにしているのよ」

 と、アリア様は言っているけど、ネコちゃんの毛並みの中で一匹のキンクマタイプの小さなマジカルラットが動いているのは気のせいではないと思います。
 こっそりと鑑定すると、空間魔法使いでした。
 というか、今年もブチパパとブチママ、更にクマパパとクマママのどちらからか空間魔法使いの子どもが生まれていたのか。
 ある意味凄いことだけど。
 そして、最初の挨拶は辺境伯様だけでなくアリア様もしていました。
 まさかの登場に学園生もビックリしていたけど、良い経験になると思ってください。
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