転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
819 / 947
第二十九章 新しい町を作ろう!

九百七十八話 今日のお仕事はベビーシッター!?

しおりを挟む
 翌日、僕たちは再びカノープス男爵領に集まりました。
 昨日も行った教会に向かって、住民への奉仕作業を行うためです。

「「「行ってくるね!」」」

 昨日参加出来なかったルカちゃんとエドちゃんも加わって、みんなで教会に向かいました。
 僕は屋敷に残って作業のお手伝いをするので、ジンさんたちと近衛騎士がリズたちに同行しています。
 因みに、カノープス男爵夫人と赤ちゃんは王城に行っています。
 もちろん、代理当主を任命されるための謁見に行くためです。
 なお、ある程度の歴代当主の愛人の家は分かっていて、利益を主張してくると思ったら逆に小さな村なので風評被害を懸念して何も動いていません。
 まあ、場合によっては歴代当主が貢いだものの返還請求も来るかもしれませんね。

「とはいえ、やることはあまりないんですよね。財務監査官の調査待ちですし」
「既定の方法で帳簿を付けていないから、確認するのに時間がかかっている。夫人はまともにやっていたみたいだがな」

 領主が適当な帳簿をつけていたので、僕やカーセント公爵が見ても理解できませんでした。
 専門家である財務監査官が苦労するレベルなので、確認が終わるのに数日どころかもっと日にちがかかりそうです。
 因みに屋敷の使用人に聞いても専門的なことは分からず、領主の不正は執事しか知りませんでした。
 執事も、何かやっているなってレベルしか分からなかったらしいけど。
 暫くすると、カノープス男爵夫人と赤ちゃんが付き添いのスラちゃんとともに王城から戻ってきました。

「皆さま、お待たせいたしました。無事に当主代理に任命されました」
「それは良かった。先ずは第一段階が終わったことになるな。財務監査が暫くかかるが、その間は今まで行っていた行政業務は継続して構わない」

 カーセント公爵も、統治者が決定してホッとしていた。
 それこそ、愛人の子が権利を主張したら滅茶苦茶なことになってしまう。
 なんせ、当主代理は赤ちゃんなのだから。
 血で血を洗うことにならず、僕もホッとしました。
 元々今期使うための予算はキチンと管理されていたので、経費を払うのには問題なかった。
 代々の当主が不正に蓄財した金品は、財務監査対象になるけど。
 ということで、カノープス男爵夫人は財務監査官のところに行き、僕が赤ちゃんの面倒をみることになりました。

「あうあう」
「もう少ししたら、一人で座れるね」
「あー」

 赤ちゃんは支え座りができるので、ミカエルもこんな時があったなあって思っていた。
 リズは、いつの間にか座ったりはいはいしたり歩いたりしていたけど。
 スラちゃんはベビーシッターのプロだから、とっても良い感じに赤ちゃんと触れ合っています。
 プリンも赤ちゃんの相手をしているけど、残念ながらスラちゃんの方が上ですね。
 こうして、二時間ほど何とか赤ちゃんの相手をすると赤ちゃんは午前中のお昼寝タイムになりました。

「アレク様は、赤ちゃんの扱いがとっても上手ですね」
「僕の周りにはたくさんの赤ちゃんがいたので、いつの間にか慣れちゃいました。今は、あんなに大きくなっちゃいましたけど」
「確かにそうですね。あんなに元気な子どもたちも、最初はみんな赤ちゃんだったですし」

 勉強のいっかんとして財務監査官と一緒に行動していたサギー伯爵も、僕たちのところにやってきてすやすやと寝ている赤ちゃんのことを見ていました。
 そのうち、サギー伯爵家も赤ちゃんが生まれるはずだよね。
 こうして、午前中はずっと赤ちゃんの相手をしていました。
 たまには、こんなお仕事も良いなって思いました。
しおりを挟む
感想 243

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました

夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」  命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。  本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。  元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。  その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。  しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。 といった序盤ストーリーとなっております。 追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。 5月30日までは毎日2回更新を予定しています。 それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。