転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
766 / 937
第二十八章 エマさんとオリビアさんの結婚

九百二十五話 みんなで頑張っての新郎新婦入場

しおりを挟む
「皆さま、そろそろお時間です」
「じゃあ、先に行くわね」
「楽しみにしているわ」

 少し談笑していたところで、係の人が声をかけてきた。
 新婦のエマさんとオリビアさん、それに役目がある僕たちを除いて同級生の面々が部屋を出ていきました。

「じゃあ、私たちも教会の入り口に行きましょう」
「みんなも準備をしないと行けないわね」
「「「はーい」」」

 僕たちも、エマさんとオリビアさんとともに教会の入り口に移動します。
 すると、キースさんとともに珍しく緊張している辺境伯様の姿があった。
 そっか、新郎の親として結婚式に二度でているけど、新婦の親として結婚式に出るのは初めてだったね。

「お父さん、なに緊張しているの?」
「お兄様の結婚式に参加していたでしょう? 今更ですわ」
「流石に、バージンロードを歩くことはなかったから、この景色を見たらね」

 娘にたしなめられても、辺境伯様はハンカチで汗を拭っていた。
 というか、娘二人の方が平然としているよ。

「では、領主様は教会の中にお入り下さいませ」
「よしっ、じゃあ先に行ってくるよ」
「「「頑張ってね!」」」

 キース様が係に連れられて教会の中に入って行ったけど、キース様も緊張はしているけど慌てた様子もなかった。
 新郎新婦は、特に問題なさそうですね。

「じゃあ、みんなも準備は良いかな?」
「「「大丈夫!」」」

 エマさんに言われて、フラワーボーイとフラワーガールを務めるミカエルたちも元気よく手を挙げていた。
 既に花びらが入っているかごを手にしているし、リングボーイとリングガールを務める辺境伯家の双子ちゃんも結婚指輪が乗ったピローを大事に持っています。
 一歳児トリオも一緒にフラワーボーイとフラワーガールをするので、僕が一緒についてあげます。
 こちらも準備万端で、辺境伯様も深呼吸をして気持ちを整えていた。

「では、そろそろ始まりますので宜しくお願いいたします」
「「「お願いしまーす!」」」

 いよいよとなり、係の人が声をかけるとミカエルたちが元気よく声をあげていた。
 うん、気持ちは分かるけど主役はあくまでもエマさんとオリビアさんだよ。
 そして、教会の扉がギギギと音を立ててゆっくりと開いた。
 エマさんとオリビアさんも、辺境伯様の両脇に並んでいて腕を組んだ。

「それでは、新婦の入場です。皆さま、大きな拍手で迎えて下さいませ」
「「「わー!」」」

 アナウンスとともに、新婦と父親が深く一礼します。
 大きな拍手とともに、これまた大きな歓声が三人を包んだ。
 そして、ゆっくりと三人はバージンロードを歩き始めました。

「「「わーい!」」」

 三人を挟むように、ミカエルたちそしてリズたちがバージンロードを清める為の花びらをまいています。
 辺境伯家の双子ちゃんも、ニコニコしながら結婚指輪が乗ったピローを手にしています。
 一歳児トリオも、一生懸命に花びらをまいています。
 そして、バージンロード中央でキース様が三人を待ち構えていました。

「キース君、いやサギー伯爵。娘を、どうか頼む」
「はい。必ず幸せにします」

 キース様と辺境伯様が、真剣な表情で見つめあってガッチリと握手を交わしていた。
 そして、キース様は辺境伯様に一礼してエマさんとオリビアさんを受け取りました。

「「はい、どーぞ」」
「二人とも、ありがとうね」

 そして、双子ちゃんも無事に司祭様に結婚指輪が乗ったピローを渡し終えました。
 フラワーボーイとフラワーガールも無事に役目を終え、辺境伯様とともに新婦側の席に移動しました。
 新郎新婦も祭壇前に辿り着いて、これで準備完了です。
 いよいよ、結婚式の始まりです。
しおりを挟む
感想 237

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?

今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。 しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。 が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。 レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。 レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。 ※3/6~ プチ改稿中

誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。

salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。 6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。 *なろう・pixivにも掲載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。