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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー
八百四十八話 更に面倒くさい人
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しかし、僕が午後会った人は超面倒くさかった。
商務部門に異動してきたばっかりの子爵家の貴族当主らしく、元商務卿の宰相も知らない人だった。
上司は宰相と知り合いらしいけど、どうもこの担当者は宰相への相談を兼ねているみたいだ。
担当者は上司と一緒にやってきたのだけど、あろう事か上司を無視して宰相に話しまくっていた。
「こちらの商品はこうで、こちらの商品はこうした方が良いかと。そして、こちらはこうして、更にこうした……」
「おい、君」
「あっ、課長大丈夫です。私が全て説明します」
早口で説明するので全然聞き取れないし、しかも課長がいるのに話を遮っています。
資料を見れば何となく言いたいことが分かるんだけど、説明する人がこれじゃ駄目だよね。
ちなみに、魔導船を使用した各地の運搬の件です。
どんなものが運べるか、提案しています。
僕は魔導船に乗ったことがあるから、どんなものが運べるか何となく分かるんだよね。
担当者の早口の説明も終わったから、僕も質問しようっと。
この資料、残念だけど駄目なところが沢山あるんだよね。
「あの……」
「ああ、子どもは黙っていて。僕の説明なんて、どうせ君には分からないでしょう」
担当者が僕のことを睨みながら無下に発言を遮ったので、宰相と課長の表情が固まってしまった。
うん、そういう人だったのか。
自分の作った案が正しいと思って他人の意見が入らないようにごり押ししていて、尚且つ人を見下すんだ。
商務部門に異動してきたって聞いたけど、この分だと元の部署でも問題を起こしていそうだ。
流石に普段とても温厚な宰相も、少し頭に来たようだ。
「君、あまりにも失礼ではないか? 上司の課長の意見を遮るし、アレク君は学園入園前だが官僚試験もパスした副宰相だ」
「官僚試験が何ですか。あんなの、知識の多さを測るだけです。僕には何も関係ありません」
この言い分だと、この担当者は官僚試験を落ちたか受けていないかのどちらかですね。
理論も稚拙だし、そもそも人に対する話し方が出来ていない。
そして、この言葉を聞いた宰相が決断を下した。
「提案の途中だが、この案は却下する。そもそも今回は課長が共に説明すると聞いていたが、課長を無視し尚且つこちら側の意見も遮った」
「なっ、そんな形式張った意見があるからこの国は駄目なんだ。黙って、できる人の意見を聞けば良いんだ!」
「残念ながら、色々な意味でできる人のランクに達していない。そして、魔導船による商品の輸送案件は、国家の繁栄に大きく関わる。しかしこの提案書も穴だらけで、本来なら議論する余地すらない」
「ぐっ……」
おお、宰相がバッサリと担当者の意見を切り捨てたよ。
宰相が険しい表情でここまで言うのは、とっても珍しい事ですね。
流石にトップにここまで言われてしまったので、担当者も黙らざるを得なかった。
「失礼する」
そして、担当者は勝手に席を立ってスタスタと宰相執務室のドアに向かっていった。
うーん、なんと言えばいいのだろうか。
悪人まではいっていないけど、考え方が極端過ぎる。
前に捕まったツンツン頭よりも、もっと面倒くさいよ。
ガチャ。
「戻りま、うおっ!」
「ちっ」
そして、宰相執務室に戻ってきたジンさんと担当者がはち合わせしたけど、担当者はジンさんの顔を見るなり舌打ちをして部屋を出ていった。
宰相がジンさんと一緒に入って来たレイナさんにコクリと頷くと、レイナさんはササッと部屋を出て担当者の尾行を始めた。
「な、何なんだアイツは?」
「まあ、簡単に説明する。ジンもカミラも座れ」
「うん? うーん、何かあったみたいだな」
ジンさんは、僕と課長の表情が暗いのを見て何かを察したみたいです。
この辺りは、一流の冒険者って事ですね。
宰相が、何があったのかをササっと説明しました。
ジンさんとカミラさんも、何があったか直ぐに把握しました。
「皆さまには本当にご迷惑をおかけしました。特に、アレクサンダー副宰相には奴が暴言を言い謝罪のしようもない」
課長が宰相と僕に謝罪したけど、やっぱりあの担当が気になったので話を聞いてみた。
宰相も、あの担当は何かあると思っているみたいです。
「皆さんの予想通り、問題を起こしては次々と別の部署に飛ばされています。官僚試験に落ち続けて以降、ある意味完全に開き直っております」
「あー、うん。前に似た奴がいたな。どうせ、似たような奴で徒党を組んでいるんだろう?」
「まさにその通りです。十人前後のグループが、勉強会と称して集まっております」
うーん、本当に面倒くさい貴族が復活したんだ。
返答したジンさんも、だいぶ面倒くさそうにしています。
僕だけでなくジンさんにも敵意を見せていたので、警戒しないと駄目ですね。
商務部門に異動してきたばっかりの子爵家の貴族当主らしく、元商務卿の宰相も知らない人だった。
上司は宰相と知り合いらしいけど、どうもこの担当者は宰相への相談を兼ねているみたいだ。
担当者は上司と一緒にやってきたのだけど、あろう事か上司を無視して宰相に話しまくっていた。
「こちらの商品はこうで、こちらの商品はこうした方が良いかと。そして、こちらはこうして、更にこうした……」
「おい、君」
「あっ、課長大丈夫です。私が全て説明します」
早口で説明するので全然聞き取れないし、しかも課長がいるのに話を遮っています。
資料を見れば何となく言いたいことが分かるんだけど、説明する人がこれじゃ駄目だよね。
ちなみに、魔導船を使用した各地の運搬の件です。
どんなものが運べるか、提案しています。
僕は魔導船に乗ったことがあるから、どんなものが運べるか何となく分かるんだよね。
担当者の早口の説明も終わったから、僕も質問しようっと。
この資料、残念だけど駄目なところが沢山あるんだよね。
「あの……」
「ああ、子どもは黙っていて。僕の説明なんて、どうせ君には分からないでしょう」
担当者が僕のことを睨みながら無下に発言を遮ったので、宰相と課長の表情が固まってしまった。
うん、そういう人だったのか。
自分の作った案が正しいと思って他人の意見が入らないようにごり押ししていて、尚且つ人を見下すんだ。
商務部門に異動してきたって聞いたけど、この分だと元の部署でも問題を起こしていそうだ。
流石に普段とても温厚な宰相も、少し頭に来たようだ。
「君、あまりにも失礼ではないか? 上司の課長の意見を遮るし、アレク君は学園入園前だが官僚試験もパスした副宰相だ」
「官僚試験が何ですか。あんなの、知識の多さを測るだけです。僕には何も関係ありません」
この言い分だと、この担当者は官僚試験を落ちたか受けていないかのどちらかですね。
理論も稚拙だし、そもそも人に対する話し方が出来ていない。
そして、この言葉を聞いた宰相が決断を下した。
「提案の途中だが、この案は却下する。そもそも今回は課長が共に説明すると聞いていたが、課長を無視し尚且つこちら側の意見も遮った」
「なっ、そんな形式張った意見があるからこの国は駄目なんだ。黙って、できる人の意見を聞けば良いんだ!」
「残念ながら、色々な意味でできる人のランクに達していない。そして、魔導船による商品の輸送案件は、国家の繁栄に大きく関わる。しかしこの提案書も穴だらけで、本来なら議論する余地すらない」
「ぐっ……」
おお、宰相がバッサリと担当者の意見を切り捨てたよ。
宰相が険しい表情でここまで言うのは、とっても珍しい事ですね。
流石にトップにここまで言われてしまったので、担当者も黙らざるを得なかった。
「失礼する」
そして、担当者は勝手に席を立ってスタスタと宰相執務室のドアに向かっていった。
うーん、なんと言えばいいのだろうか。
悪人まではいっていないけど、考え方が極端過ぎる。
前に捕まったツンツン頭よりも、もっと面倒くさいよ。
ガチャ。
「戻りま、うおっ!」
「ちっ」
そして、宰相執務室に戻ってきたジンさんと担当者がはち合わせしたけど、担当者はジンさんの顔を見るなり舌打ちをして部屋を出ていった。
宰相がジンさんと一緒に入って来たレイナさんにコクリと頷くと、レイナさんはササッと部屋を出て担当者の尾行を始めた。
「な、何なんだアイツは?」
「まあ、簡単に説明する。ジンもカミラも座れ」
「うん? うーん、何かあったみたいだな」
ジンさんは、僕と課長の表情が暗いのを見て何かを察したみたいです。
この辺りは、一流の冒険者って事ですね。
宰相が、何があったのかをササっと説明しました。
ジンさんとカミラさんも、何があったか直ぐに把握しました。
「皆さまには本当にご迷惑をおかけしました。特に、アレクサンダー副宰相には奴が暴言を言い謝罪のしようもない」
課長が宰相と僕に謝罪したけど、やっぱりあの担当が気になったので話を聞いてみた。
宰相も、あの担当は何かあると思っているみたいです。
「皆さんの予想通り、問題を起こしては次々と別の部署に飛ばされています。官僚試験に落ち続けて以降、ある意味完全に開き直っております」
「あー、うん。前に似た奴がいたな。どうせ、似たような奴で徒党を組んでいるんだろう?」
「まさにその通りです。十人前後のグループが、勉強会と称して集まっております」
うーん、本当に面倒くさい貴族が復活したんだ。
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