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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー
八百十話 やる気満々の先々代夫人
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ガチャガチャ、ガチャガチャ。
不意に、廊下で金属が擦れる音がしてきた。
この金属音って、鎧を着た時に出る音だよね。
まさかと思ったけど、そのまさかだった。
ガチャ。
「待たせて済まなかった。いつでも向かう事ができるぞ」
「い、いえ。全然待っていないですよ……」
「す、すげー……」
部屋の中に入ってきたのは、フルプレートアーマーを身に纏った先々代夫人だった。
戦場に向かう貴族当主みたいで、馬鹿でかいロングソードを背中に背負っていた。
先々代夫人のあまりの迫力に、僕もジンさんも言葉少なくなっていた。
「先々代夫人様、とても素敵な鎧ですわ。これで、不届き者をガツンとしてやって下さい」
「そなたは、ニース侯爵の孫とは思えぬ程良い令嬢じゃのう。屋敷の事は任せるぞ」
「お任せ下さいませ」
ここでフルプレートアーマーを着た先々代夫人を、カミラさんがにこやかに褒めていた。
うん、僕も出向機関に戻らないと。
僕は出向機関に戻る為に、ゲートを発動させました。
「お祖母様、ご武運をお祈りいたします」
「任せるが良い。屋敷は任せたぞ」
サギー伯爵も、思わず敬礼しながら戦地に向かうような迫力の先々代夫人を見送っていた。
僕がゲートを閉じる時、ホッとした表情のジンさんのサギー伯爵がいたのは気のせいではないと思いました。
そして、所長室に戻るとニース侯爵がジト目で先々代夫人の事を見ていました。
「ババア、やり過ぎるなよ。貴重な証人だから、生け捕りにしないとならぬのだからな」
「そんなの、百も承知だ。最低でも、口をきける状態にすればよい」
ニース侯爵も、流石に先々代夫人がやりすぎないか審判していた。
でも、先々代夫人が暴走したら僕も同行する辺境伯様も先々代夫人を止められる自信はないぞ。
恐らく先々代夫人を止められるのは一人だけな気がしたけど、その一人が僕に話しかけてきました。
「では、行きましょうか。そうね、指揮官はアレク君にしましょうか」
「えっ? ティナおばあさま?」
「ふむ、アレクサンダー副宰相なら肩書きからしても指揮官は問題ないぞ」
「では、アレク君を頂点にして、王国軍はティナ様、サギー伯爵家は先々代夫人様、我がホーエンハイム辺境伯家は私が指揮を取る事にしましょう」
「それがよかろう。私も賛成じゃ」
ティナおばあさまの提案を受けた先々代夫人と辺境伯様も、さらりと僕の事を指揮官として認めていた。
あの、僕としてはティナおばあさまがトップの方が良いような気がするんですけど。
「おばあちゃん、リズ達はどうするの?」
「リズちゃん達は、私と一緒に動きましょうね。頑張って、アレク君を支えないとね」
「ふふふ、リズがばっちりとお兄ちゃんを支えちゃうよ!」
そして、ティナおばあさまはちゃっかりとリズ達も仲間に引き込んでいた。
もちろん、スラちゃんとプリンもリズ達と一緒になっています。
僕は、最後の希望を託してニース侯爵に話しかけました。
「あの、ニース侯爵はどうしますか?」
「儂は、この出向機関に残るぞ。有事の際に動けるものがいないといけないだろう」
うん、ニース侯爵からの回答は至極当然なものでした。
今回は戦力を三つに分けないといけないし、王城では引き続き捕まえた職員への尋問があるから軍務卿も動けません。
「はあ、もうしょうがないですね。じゃあ、急いでサギー男爵領へ向かいましょう」
「「「おー!」」」
僕が話し出すと、リズ達がスラちゃんとプリンと一緒に勢いよく手を上げていました。
こうなったら、面倒くさい事はさっさと終わらせちゃいましょう。
不意に、廊下で金属が擦れる音がしてきた。
この金属音って、鎧を着た時に出る音だよね。
まさかと思ったけど、そのまさかだった。
ガチャ。
「待たせて済まなかった。いつでも向かう事ができるぞ」
「い、いえ。全然待っていないですよ……」
「す、すげー……」
部屋の中に入ってきたのは、フルプレートアーマーを身に纏った先々代夫人だった。
戦場に向かう貴族当主みたいで、馬鹿でかいロングソードを背中に背負っていた。
先々代夫人のあまりの迫力に、僕もジンさんも言葉少なくなっていた。
「先々代夫人様、とても素敵な鎧ですわ。これで、不届き者をガツンとしてやって下さい」
「そなたは、ニース侯爵の孫とは思えぬ程良い令嬢じゃのう。屋敷の事は任せるぞ」
「お任せ下さいませ」
ここでフルプレートアーマーを着た先々代夫人を、カミラさんがにこやかに褒めていた。
うん、僕も出向機関に戻らないと。
僕は出向機関に戻る為に、ゲートを発動させました。
「お祖母様、ご武運をお祈りいたします」
「任せるが良い。屋敷は任せたぞ」
サギー伯爵も、思わず敬礼しながら戦地に向かうような迫力の先々代夫人を見送っていた。
僕がゲートを閉じる時、ホッとした表情のジンさんのサギー伯爵がいたのは気のせいではないと思いました。
そして、所長室に戻るとニース侯爵がジト目で先々代夫人の事を見ていました。
「ババア、やり過ぎるなよ。貴重な証人だから、生け捕りにしないとならぬのだからな」
「そんなの、百も承知だ。最低でも、口をきける状態にすればよい」
ニース侯爵も、流石に先々代夫人がやりすぎないか審判していた。
でも、先々代夫人が暴走したら僕も同行する辺境伯様も先々代夫人を止められる自信はないぞ。
恐らく先々代夫人を止められるのは一人だけな気がしたけど、その一人が僕に話しかけてきました。
「では、行きましょうか。そうね、指揮官はアレク君にしましょうか」
「えっ? ティナおばあさま?」
「ふむ、アレクサンダー副宰相なら肩書きからしても指揮官は問題ないぞ」
「では、アレク君を頂点にして、王国軍はティナ様、サギー伯爵家は先々代夫人様、我がホーエンハイム辺境伯家は私が指揮を取る事にしましょう」
「それがよかろう。私も賛成じゃ」
ティナおばあさまの提案を受けた先々代夫人と辺境伯様も、さらりと僕の事を指揮官として認めていた。
あの、僕としてはティナおばあさまがトップの方が良いような気がするんですけど。
「おばあちゃん、リズ達はどうするの?」
「リズちゃん達は、私と一緒に動きましょうね。頑張って、アレク君を支えないとね」
「ふふふ、リズがばっちりとお兄ちゃんを支えちゃうよ!」
そして、ティナおばあさまはちゃっかりとリズ達も仲間に引き込んでいた。
もちろん、スラちゃんとプリンもリズ達と一緒になっています。
僕は、最後の希望を託してニース侯爵に話しかけました。
「あの、ニース侯爵はどうしますか?」
「儂は、この出向機関に残るぞ。有事の際に動けるものがいないといけないだろう」
うん、ニース侯爵からの回答は至極当然なものでした。
今回は戦力を三つに分けないといけないし、王城では引き続き捕まえた職員への尋問があるから軍務卿も動けません。
「はあ、もうしょうがないですね。じゃあ、急いでサギー男爵領へ向かいましょう」
「「「おー!」」」
僕が話し出すと、リズ達がスラちゃんとプリンと一緒に勢いよく手を上げていました。
こうなったら、面倒くさい事はさっさと終わらせちゃいましょう。
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