転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー

八百九話 まだまだやる気満々のちびっ子軍団

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 辺境伯様からいつでも出発できると連絡があったので、僕は辺境伯領から辺境伯様と守備隊を呼び寄せました。

「皆さま、遅くなり申し訳ない」
「いやいや、ホーエンハイム辺境伯にもご足労をかけたのじゃ」

 所長室に騎士服に軽量甲冑を身に着けた辺境伯様が姿を現し、先々代夫人が労をねぎらっていました。
 今日は、辺境伯様自ら部隊を指揮するんだ。
 すると、一階にいるミカエル達のお守りをしていたルシアさんも、所長室にやってきました。

「アレク君、一階は全部探し終えてスラちゃんに運んで貰ったよ。およ、お義父様もこっちに来たんだ」
「どうやら、子どもたちはやり終えたらしいな」
「いやあ、壺の中とか絵画の裏とかから色々と出てきましたよ。因みに、もう三人怪しい職員がいたからスラちゃんに運んで貰ったよ」

 一階にいるミカエル達も証拠品を探しきったらしいけど、三人も捕まったとなると昨年入った新人職員二人以外全員捕まった事になるんじゃ。
 この状況に、僕だけでなく他の人達も思わず溜息をついちゃいました。

「それでは、私も準備をしようかのう。たぬきをギャフンと言わせねばならぬからのう」
「年寄りの冷や水にならないように、程々にした方が良いぞ」
「ふふふ、そんな事にはならぬぞ。何せ、今の私はやる気に満ちいているからのう」

 おお、先々代夫人がニース侯爵にニヤリと悪い顔をしていたよ。
 ともあれ、先々代夫人様は着替える為に一旦屋敷に帰るそうです。

「ルシアさん、ミカエル達はどうすると言っていますか?」
「まだまだ宝探しをしたいと言っているよ。やる気満々だね」
「ふむ、それでは、我が家の捜索を手伝って貰おうかのう。」

 やる気満々のミカエル達は、先々代夫人の配慮でサギー伯爵の屋敷を引き続き捜索する事になりました。
 所長室の捜索を終えたリズ達もティナおばあさまが残って出発準備を手伝ってくれるそうなので、その間に僕がサギー伯爵家の屋敷にゲートを繋いで先々代夫人とルシアさんミカエル達を送っていきます。

「よーし、ここでもいっぱい探すぞ!」
「「「おー」」」
「ほほ、威勢が良いのう」

 全員が屋敷の中に入ると、やる気満々のミカエルを先頭にちびっこ軍団が元気よく手を上げていました。
 可愛いちびっこのやる気のある姿に先々代夫人も目を細めているけど、念の為にポッキー達の事も伝えておかないと。

「ミカエル、既にポッキー達とジンさんがある程度探しちゃっているよ」
「むう、まだまだポッキーには負けないよ!」
「「「負けないもん!」」」

 ちびっこ軍団は、ミカエルを筆頭にまだまだ頑張ると意気込んでいました。
 ジンさん達はサギー伯爵と一緒に執務室にいるそうなので、着替えに向かった先々代夫人と別れて僕達も執務室に向かいます。

 ガチャ。

「ジン、来たよー!」
「「「来たー!」」」
「おっ、小さいのが沢山やってきたな」

 ジンさんはサギー伯爵と共に応接セットに座っていて、ポッキーが見つけた書類に目を通していました。
 レイナさん達は、ポッキーが見つけた書類を綺麗に整理しています。

「ジンさんは、このままサギー伯爵の屋敷に残りますか?」
「残った方が良いだろう。相手は闇ギルドだから、何かを仕掛けてくる可能性も考慮しないとならない」

 ジンさんが考えている懸念を、僕も考えていました。
 国の出向機関を含めて、闇ギルドが襲撃してくる可能性は否定できない。
 戦力が分散されちゃうけど、ここはジンさん達はサギー伯爵領にいてもらった方が無難ですね。

「ねーねージン、どこを探せばいいの?」
「うーん、そうだな。どこがいいかな」
「それでは、捕まえた者の部屋に案内させます」
「「「頑張るぞ!」」」

 こうして、ミカエル達はポッキーが捕まえたサギー伯爵家の使用人として潜入していた闇ギルドの構成員の部屋をお宝探しする事になりました。
 ルシアさんの他にルリアンさんとナンシーさんもついてくれるので、何かあったとしても安心ですね。
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