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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー

七百九十六話 実技講習を行います

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 人数が多いので、実技の手合わせはレイナさん達にも参加して貰います。
 Aランク冒険者だから、手合わせの相手としては十分です。
 でもその前に、荷物について話をする事になりました。

「リズ、エレノア、初心者セットを取り出してくれ」
「「はーい」」

 ジンさんに言われて、リズとエレノアはマジックバックから冒険者ギルドの購買でも売っている初心者セットを取り出しました。
 ついでに、ナイフとポーションも取り出しています。

「こいつらはマジックバックを持っているから荷物を沢山持てるが、普通はこうはいかない。購買で初心者セットやナイフにポーションを売っているが、どんな物を持っていけば良いかよく確認する事だ」
「意外と重要なのが、水を確保する事です。少し多めに用意する事をお勧めします。事前に調査を行って、必要な物を用意して下さい」

 ジンさんと僕の話は、至って普通の話です。
 薬草採取なら薬草採取に必要な物、害獣駆除なら害獣駆除に必要な物、野営を行うなら野営に必要な物を用意する事が必要です。
 しかし、リズとエレノアがちょっと余計な事を言ってしまいました。

「後ね、家事スキルがあると便利だよ。掃除洗濯にお料理が出来た方が良いよ」
「料理が不味いと最悪なの。ずっと乾パンと干し肉になるよ。前に、まな板ごと包丁で野菜を切っていた人がいたの」
「「「あはははは」」」

 エレノアの包丁でまな板切断のくだりで、新人冒険者がばかうけしていました。
 しかし、そのまな板切断をやらかしたレイナさんとカミラさんは、顔をそむけて顔を真っ赤にしていました。
 とは言え、リズとエレノアが言ったことは至極当然の話なので、僕もジンさんも特に何も言いません。

「あと、服装にも気をつけろよ。たまに馬鹿な服装をする奴がいるが、自信があるか只の馬鹿かのどちらかだ」

 服装についても、準備が必要です。
 特に、森の中に入るんだったら怪我をしない様に皮膚を守る必要があります。
 事前の話はこの位にして、さっそく実技を行います。

「ルカとエド達は、私達が手合わせをしよう」
「ふふふ、全力できて良いのよ」
「どのくらい強くなったか、見てあげるね」
「「「よーし、やるぞ!」」」

 ルーカスお兄様にアイビー様、それにルーシーお姉様がちびっ子軍団の手合わせをしてくれる事になりました。
 みんな見学にしようかなと思っていたけど、僕としても相手をしてくれてとっても助かります。
 僕達も、木剣を手にして新人冒険者と対峙します。

「私も、準備運動代わりに相手をしましょう」

 ティナおばあさまも、木剣を手にして僕達のところにやってきました。
 華の騎士の二つ名を持つティナおばあさまと手合わせできるなんて、本当は凄い事なんだよね。

「あ、あの、私は魔法使いタイプなのですが……」
「じゃあ、エレノアが見てあげるよ」

 あの問題を起こした女性四人組の一人が魔法使いなので、同じく魔法使いタイプのエレノアがその女性を見る事になりました。
 こうして、積極的に動く事は良い事ですね。
 しかし手合わせを始める少し前、初心者冒険者の視線はとあるところに向けられていました。

 カンカンカンカン。

「えい、えい、えい!」
「いいよ、どんどんと打ち込んできて」

 そこには、兄であるルーカスお兄様に元気よく木剣を打ち込むルカちゃんの姿がありました。
 ルカちゃんが身体能力強化を使っているので、ちびっこなのに中々の速さで木剣を振るっています。
 他のちびっこ達も元気いっぱいに動いているけど、初心者冒険者達はちびっ子軍団の動きに圧倒されていました。

「お前ら、最低でもあれくらい動けてから大口を叩けよ。でないと、ウルフやイノシシにやられちまうぞ」
「「「「はい……」」」」

 冒険者ギルドで騒いでいた二組は、今更ながら自分の力のなさを実感したみたいです。
 でも、実力を実感出来るのは決して悪い事ではないので、これから頑張って強くなって欲しいです。
 こうして新人冒険者の手合わせもして、無事に臨時の新人冒険者向け講習が完了しました。
 一時間もかからずに終わったけど、結構良い成果を出せたと思います。

「「「ただいまー」」」
「あら、もう終わったのね。ちゃんと講習に参加出来たかしら」
「「「うん!」」」

 そして訓練場から冒険者ギルドの食堂に戻ったのだが、王妃様達はお酒のおつまみとして提供されるもつ煮込みを堪能していた。
 講習を無事に終えたニコニコ顔のちびっこ達を出迎えているけど、お酒は飲んでいないのに一杯やった感じです。

「中々美味しいおつまみだったわ。今度、王城でも出して貰いましょうか」
「そうですわね。こういう濃い目の味付けが良いですわ」
「奥方様は、流石ですな。ははは」

 そして、恐らくお喋りが止まらなかったであろう王妃様、アリアさま、おばちゃんが名残惜しい様に立ち上がりました。
 まあおばちゃんだったら王妃様達も話をしても大丈夫でしょうと、他の人も特に何も言いませんでした。
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