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第二十六章 ミカエルの五歳の祝い
七百八十五話 酔っ払いの暴挙
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そして、面倒くさい男爵の三家の番になりました。
男爵の三家の子どもはとても可愛い女の子なのだが、散々父親が大騒ぎしていたので少し怯えた雰囲気です。
それよりもちょっと気になった事があり、陛下を始めとする挨拶を受ける側も直ぐに気が付きました。
「男爵よ、よもや酒を飲んでいるわけではないだろうな?」
「陛下、こんな事は酒を飲まないとやってやれませんよ!」
そうです、男爵三人からお酒の臭いがぷんぷんとしていたのです。
子どもが主役のパーティーなので、会場内はアルコール厳禁です。
もちろん、お酒を手配しても出さない様にしているし、持ち込まなければお酒を飲む事もできません。
悪態をついている状況に、陛下のみならず他の王族も怒りの炎が燃え上ってきました。
「側室の子だから、貴族として参加させる義務がなければこんなところに連れてきませんよ」
「あくまでも正妻の子が大切なんだ。側室の子なんで、政略に使えなければ意味はない」
この酩酊具合を見るとどうもパーティーが始まる前からお酒を飲んでいる可能性が高そうだけど、それにしたって言っている事がとんでもない。
一緒にいる女の子が、父親の悪態を聞いて思わず涙目になっている。
そして、悪態をついている男爵が、遂に余計な事を言い始めた。
「陛下、どうせ使い物にならない子なのでルカリオ殿下とエドガー殿下の嫁にして下さいよ」
「そうそう、正妻は無理だとしても側室なら男爵家でも十分でしょう」
「側室の子だから、正妻になったら我々が嫌ですからな。ははは」
この子はいらない子だと言い始めた上に、ルカちゃんとエドちゃんの側室にしろと言い出したのです。
もうこの男爵三人は酔っぱらって制御が効かなくなり、陛下の前でも言いたい放題です。
そして、遂に女の子はぽろぽろと涙を零し始めてしまいました。
五歳の成長を祝うパーティーなのに、その子どもを泣かせるなんて僕も許せなくなりました。
「あまりに酷い言い分です! 全て撤回して下さい!」
「「「何を、このガキが!」」」
バシッ、ドシン!
僕が前に出て発言を撤回をするように言ったら、何と酔っぱらった男爵に突き飛ばされてしまいました。
僕は尻もちをついた程度なんだけど、会場の空気が一瞬にして凍りついてしまいました。
すっと、冷たい目をした陛下が立ち上がりました。
「アレクサンダー副宰相への暴行の現行犯だ。男爵をひっ捕らえよ!」
「「「はっ!」」」
「「「ぐっ、何する。離しやがれ!」」」
直ぐに陛下が近衛騎士に命令して、僕を突き飛ばした男爵三人を拘束しました。
男爵三人が激しく抵抗するので、アマリリスが三人を糸でぐるぐる巻きにする程でした。
嵐が去っていき、残ったのは女の子三人でした。
すると、女の子三人はペコリと頭を下げました。
「「「お父様が申し訳ありません」」」
「そなた達が謝る事はない。全て父親である男爵が悪い事なのだ」
「そうですよ。僕も尻もちをついただけなので、全然平気だよ」
こんな小さい女の子に謝らせるなんてと思いながら、僕は立ち上がってお尻についた汚れを叩きました。
女の子はポロポロと泣いているけど、今日は五歳の祝いだから祝福されないといけません。
ここで動いたのがカレン様でした。
「もう挨拶も終わりですし、みんなで一緒にプリンを食べてお話しましょう。他の子も待っていますわ」
「「「えっ、でも……」」」
女の子はカレン様が来ても、どうしたらいいか迷っていました。
父親が捕まったのだから、不安になるのもしょうがないですね。
こういう時は、少し強引にでも連れて行って貰いましょう。
「ミカエル、ブリット、この子達も連れて行ってね」
「「任せて!」」
みんなでプリンを食べながらこちらの様子を伺っていたミカエルとブリットを呼び寄せて、強引に女の子を輪の中に連れて行って貰います。
ついでに、子ども達のヒーローのジンさんも輪の中に加わって貰いましょう。
これで、どうにかなりそうです。
「はあ、疲れました。まさか、あそこまで馬鹿な振る舞いをするとは思いませんでした。そもそも、陛下に挨拶をしていないですし」
「あそこまで酷い振る舞いは、余も初めて見た。普通は、子どもに良いところを見せようとしてカッコつけるものだ」
僕は、王族のテーブルに座って思わず愚痴をこぼしていました。
子どもを自分の道具にしか思っていない親が、未だに存在しているなんて。
陛下も、今日何個目か分からないプリンを食べながら愚痴っていました。
因みに、リズ達やルカちゃんエドちゃんにエドちゃんは、王妃様とアリア様と一緒に子ども達の輪に加わっています。
スラちゃんとプリンも、子ども達と一緒に触れ合っていますね。
あの女の子も笑顔で僕の作ったプリンを食べているので、僕もホッと一息ついています。
「因みに、子どもが主役だが公式なパーティーなのであの男爵は処罰対象だ。子どもは、側室に迎えにこさせよう」
「あそこまで歴史がある事しか威張れないとなると、男爵家は裏で何かありそうですね」
「それは今考えても仕方ないだろう。今はパーティーを楽しむ事だ」
ということで、陛下の話もあり明日以降で男爵三家に対する調査が行われる事になりました。
僕としても何とかパーティーが終わりそうでホッとしていたら、ミカエルが僕の事を呼びました。
「おにーちゃん、もっとプリンちょうだい!」
どうも、みんなとお話していたらあっという間にプリンを食べ終えちゃったみたいです。
元気いっぱいのミカエルの声を聞いて、僕は仕方ないなあと思いながら席を立ちました。
男爵の三家の子どもはとても可愛い女の子なのだが、散々父親が大騒ぎしていたので少し怯えた雰囲気です。
それよりもちょっと気になった事があり、陛下を始めとする挨拶を受ける側も直ぐに気が付きました。
「男爵よ、よもや酒を飲んでいるわけではないだろうな?」
「陛下、こんな事は酒を飲まないとやってやれませんよ!」
そうです、男爵三人からお酒の臭いがぷんぷんとしていたのです。
子どもが主役のパーティーなので、会場内はアルコール厳禁です。
もちろん、お酒を手配しても出さない様にしているし、持ち込まなければお酒を飲む事もできません。
悪態をついている状況に、陛下のみならず他の王族も怒りの炎が燃え上ってきました。
「側室の子だから、貴族として参加させる義務がなければこんなところに連れてきませんよ」
「あくまでも正妻の子が大切なんだ。側室の子なんで、政略に使えなければ意味はない」
この酩酊具合を見るとどうもパーティーが始まる前からお酒を飲んでいる可能性が高そうだけど、それにしたって言っている事がとんでもない。
一緒にいる女の子が、父親の悪態を聞いて思わず涙目になっている。
そして、悪態をついている男爵が、遂に余計な事を言い始めた。
「陛下、どうせ使い物にならない子なのでルカリオ殿下とエドガー殿下の嫁にして下さいよ」
「そうそう、正妻は無理だとしても側室なら男爵家でも十分でしょう」
「側室の子だから、正妻になったら我々が嫌ですからな。ははは」
この子はいらない子だと言い始めた上に、ルカちゃんとエドちゃんの側室にしろと言い出したのです。
もうこの男爵三人は酔っぱらって制御が効かなくなり、陛下の前でも言いたい放題です。
そして、遂に女の子はぽろぽろと涙を零し始めてしまいました。
五歳の成長を祝うパーティーなのに、その子どもを泣かせるなんて僕も許せなくなりました。
「あまりに酷い言い分です! 全て撤回して下さい!」
「「「何を、このガキが!」」」
バシッ、ドシン!
僕が前に出て発言を撤回をするように言ったら、何と酔っぱらった男爵に突き飛ばされてしまいました。
僕は尻もちをついた程度なんだけど、会場の空気が一瞬にして凍りついてしまいました。
すっと、冷たい目をした陛下が立ち上がりました。
「アレクサンダー副宰相への暴行の現行犯だ。男爵をひっ捕らえよ!」
「「「はっ!」」」
「「「ぐっ、何する。離しやがれ!」」」
直ぐに陛下が近衛騎士に命令して、僕を突き飛ばした男爵三人を拘束しました。
男爵三人が激しく抵抗するので、アマリリスが三人を糸でぐるぐる巻きにする程でした。
嵐が去っていき、残ったのは女の子三人でした。
すると、女の子三人はペコリと頭を下げました。
「「「お父様が申し訳ありません」」」
「そなた達が謝る事はない。全て父親である男爵が悪い事なのだ」
「そうですよ。僕も尻もちをついただけなので、全然平気だよ」
こんな小さい女の子に謝らせるなんてと思いながら、僕は立ち上がってお尻についた汚れを叩きました。
女の子はポロポロと泣いているけど、今日は五歳の祝いだから祝福されないといけません。
ここで動いたのがカレン様でした。
「もう挨拶も終わりですし、みんなで一緒にプリンを食べてお話しましょう。他の子も待っていますわ」
「「「えっ、でも……」」」
女の子はカレン様が来ても、どうしたらいいか迷っていました。
父親が捕まったのだから、不安になるのもしょうがないですね。
こういう時は、少し強引にでも連れて行って貰いましょう。
「ミカエル、ブリット、この子達も連れて行ってね」
「「任せて!」」
みんなでプリンを食べながらこちらの様子を伺っていたミカエルとブリットを呼び寄せて、強引に女の子を輪の中に連れて行って貰います。
ついでに、子ども達のヒーローのジンさんも輪の中に加わって貰いましょう。
これで、どうにかなりそうです。
「はあ、疲れました。まさか、あそこまで馬鹿な振る舞いをするとは思いませんでした。そもそも、陛下に挨拶をしていないですし」
「あそこまで酷い振る舞いは、余も初めて見た。普通は、子どもに良いところを見せようとしてカッコつけるものだ」
僕は、王族のテーブルに座って思わず愚痴をこぼしていました。
子どもを自分の道具にしか思っていない親が、未だに存在しているなんて。
陛下も、今日何個目か分からないプリンを食べながら愚痴っていました。
因みに、リズ達やルカちゃんエドちゃんにエドちゃんは、王妃様とアリア様と一緒に子ども達の輪に加わっています。
スラちゃんとプリンも、子ども達と一緒に触れ合っていますね。
あの女の子も笑顔で僕の作ったプリンを食べているので、僕もホッと一息ついています。
「因みに、子どもが主役だが公式なパーティーなのであの男爵は処罰対象だ。子どもは、側室に迎えにこさせよう」
「あそこまで歴史がある事しか威張れないとなると、男爵家は裏で何かありそうですね」
「それは今考えても仕方ないだろう。今はパーティーを楽しむ事だ」
ということで、陛下の話もあり明日以降で男爵三家に対する調査が行われる事になりました。
僕としても何とかパーティーが終わりそうでホッとしていたら、ミカエルが僕の事を呼びました。
「おにーちゃん、もっとプリンちょうだい!」
どうも、みんなとお話していたらあっという間にプリンを食べ終えちゃったみたいです。
元気いっぱいのミカエルの声を聞いて、僕は仕方ないなあと思いながら席を立ちました。
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