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第二十五章 新たな脅威?
七百五十四話 ルーシーお姉様の新しいお友達?
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スラちゃんとカミラさん達がブランデー子爵領にいるので、ここはお任せして僕達は目の前の体験入園に集中しよう。
体験入園が終わったら、急いでブランデー子爵領に向かわないと。
「王妃様、リズ達の手が開いているのでカミラさんの所に合流して貰いますか?」
「ええ、お願いね。現状では、いくら手があっても良いでしょう」
王妃様の許可を得たので、僕はカミラさんの通信用魔導具に返信を行います。
今日は近衛騎士が学園にも複数来ている関係で、普段は辺境伯領にいるノエルさんがエレノアの護衛でついています。
ノエルさんは土魔法も使えるので、ひびが入った土手の修復にも力を発揮してくれるはずです。
そんな事を思いながら、僕は王妃様とルーシーお姉様と共に体育館に向かいます。
ざわざわ、ざわざわ。
体育館の中には入園予定の人々が入り始めていて、知り合いの貴族がいたら挨拶をしていました。
そんな中、体育館内をキョロキョロとしている一人の小さな少女がいた。
ルーシーお姉様よりも小さくて、それこそイヨよりも小さいのではと思う赤髪のちょっと癖っ気のショートヘアの少女だった。
でも学園の制服を着ているので、 来年の新入生でほぼ間違いなさそうだ。
何かあったのかなと、体育館の中にいて不安げな少女の様子に気が付いた僕、ジンさん、ルーカスお兄様、ルーシーお姉様が少女に近づいていきました。
しかし、僕たちよりも一歩早く少女に話しかけた存在が。
「ねえ、どうしたの。何かあったの?」
「えっ、あっ」
少女に話しかけたのは、ルーシーお姉様でした。
ルーシーお姉様は人見知りしない性格なので、不安そうにしていた少女に積極的に話しかけていました。
王妃様は、少女に近づいた僕たちのところに来て二人の様子を見守っています。
「初めまして、私はルーシーよ。体験入園に来たの。あなたは?」
「わ、私は、ら、ランです。その、私も体験入園に来ました……」
少女もといランさんは、やはりルーシーお姉様と同じ年で体験入園に来たみたいです。
でも、ちょっと気になった事があります。
「あれ? ランちゃんのお父様とお母様は?」
「あ、あの、実は私は孤児で教会の孤児院に住んでいます。きょ、今日はシスターさんがついてくれています」
ルーシーお姉様がランさんに優しく話しかけていたけど、そういう事情があったのか。
こちらの様子に気がついて一人のシスターさんが近寄ってきたけど、シスターさんは僕たちの正体に気がついてビックリした表情を隠さないでいるよ。
「という事は、ランちゃんは特待生なんだね」
「は、はい。学問と魔法の特待生です……」
「わあ、そうなんだ。二つも特待だなんて、本当に凄いね!」
ルーシーお姉様とランさんのやり取りを見ていたルーカスお兄様が、ふと何かを思い出した表情に変わりました。
「確か、学問も魔法もとても優秀な平民の少女が体験入園しにくると聞いたが、それが彼女だったか」
「優秀な少女だから接触しようかと思いましたが、既にルーシーのお友達候補ですわね」
「ええ、立場の違いはあるにせよ、ルーシーにとってもとても良い事だわ」
おお、ロイヤルな方々もランさんを引き込む気満々だよ。
とはいえ、ローリーさんの例もあるし、優秀な人は卒園後にどんどんと重要なポジションに引き込まれるでしょうね。
このタイミングで、僕たちのところにやってきたシスターさんが、慌てた表情のまま挨拶をしてきました。
「ルーシー王女殿下、ランに挨拶をして頂き恐れ入ります。ビクトリア王妃様、ルーカス王太子殿下、アイビー様、アレクサンダー副宰相閣下、クロスロード副宰相閣下、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそルーシーがお世話になっている様でして。本日は体験入園です、いわば来年入園する者が主役ですのでお気になさらずに」
王妃様の言葉に、みんながうんうんと頷いています。
元々ルーカスお姉様とアイビー様は体験入園のアテンド役だし、僕とジンさんは直接はあくまでもみんなを見守るだけです。
王妃様も保護者的な立場を崩していないから、特に問題ないんだよね。
「えっ、えっ? も、もしや、る、ルーシー王女殿下?」
「えーっと、確かに私は王女だけど、ランちゃんとは身分とか関係なくお友達になりたいな」
「こ、光栄です……」
ルーシーお姉様と手を繋いだまま、ランさんは固まってしまいました。
でも、ルーシーお姉様は正体を明かしてもランさんへの態度を崩さないし、ランはんと本当にお友達になりたいんだろうね。
そんなルーシーお姉様とランさんの周囲に、おずおずとしながらも人が集まってきました。
「あ、あの、私も挨拶をして良いですか?」
「僕も良いですか? その、男爵家ですけど……」
「全然良いよ。こちらこそ宜しくね」
ルーシーお姉様は、周りに集まってきた人にも積極的に挨拶したり握手をしています。
ランさんも、そんなルーシーお姉様の様子を見てちょっとホッとしていますね。
そんなにこやかな雰囲気の集団を、王妃様は少し嬉しそうに見つめていました。
体験入園が終わったら、急いでブランデー子爵領に向かわないと。
「王妃様、リズ達の手が開いているのでカミラさんの所に合流して貰いますか?」
「ええ、お願いね。現状では、いくら手があっても良いでしょう」
王妃様の許可を得たので、僕はカミラさんの通信用魔導具に返信を行います。
今日は近衛騎士が学園にも複数来ている関係で、普段は辺境伯領にいるノエルさんがエレノアの護衛でついています。
ノエルさんは土魔法も使えるので、ひびが入った土手の修復にも力を発揮してくれるはずです。
そんな事を思いながら、僕は王妃様とルーシーお姉様と共に体育館に向かいます。
ざわざわ、ざわざわ。
体育館の中には入園予定の人々が入り始めていて、知り合いの貴族がいたら挨拶をしていました。
そんな中、体育館内をキョロキョロとしている一人の小さな少女がいた。
ルーシーお姉様よりも小さくて、それこそイヨよりも小さいのではと思う赤髪のちょっと癖っ気のショートヘアの少女だった。
でも学園の制服を着ているので、 来年の新入生でほぼ間違いなさそうだ。
何かあったのかなと、体育館の中にいて不安げな少女の様子に気が付いた僕、ジンさん、ルーカスお兄様、ルーシーお姉様が少女に近づいていきました。
しかし、僕たちよりも一歩早く少女に話しかけた存在が。
「ねえ、どうしたの。何かあったの?」
「えっ、あっ」
少女に話しかけたのは、ルーシーお姉様でした。
ルーシーお姉様は人見知りしない性格なので、不安そうにしていた少女に積極的に話しかけていました。
王妃様は、少女に近づいた僕たちのところに来て二人の様子を見守っています。
「初めまして、私はルーシーよ。体験入園に来たの。あなたは?」
「わ、私は、ら、ランです。その、私も体験入園に来ました……」
少女もといランさんは、やはりルーシーお姉様と同じ年で体験入園に来たみたいです。
でも、ちょっと気になった事があります。
「あれ? ランちゃんのお父様とお母様は?」
「あ、あの、実は私は孤児で教会の孤児院に住んでいます。きょ、今日はシスターさんがついてくれています」
ルーシーお姉様がランさんに優しく話しかけていたけど、そういう事情があったのか。
こちらの様子に気がついて一人のシスターさんが近寄ってきたけど、シスターさんは僕たちの正体に気がついてビックリした表情を隠さないでいるよ。
「という事は、ランちゃんは特待生なんだね」
「は、はい。学問と魔法の特待生です……」
「わあ、そうなんだ。二つも特待だなんて、本当に凄いね!」
ルーシーお姉様とランさんのやり取りを見ていたルーカスお兄様が、ふと何かを思い出した表情に変わりました。
「確か、学問も魔法もとても優秀な平民の少女が体験入園しにくると聞いたが、それが彼女だったか」
「優秀な少女だから接触しようかと思いましたが、既にルーシーのお友達候補ですわね」
「ええ、立場の違いはあるにせよ、ルーシーにとってもとても良い事だわ」
おお、ロイヤルな方々もランさんを引き込む気満々だよ。
とはいえ、ローリーさんの例もあるし、優秀な人は卒園後にどんどんと重要なポジションに引き込まれるでしょうね。
このタイミングで、僕たちのところにやってきたシスターさんが、慌てた表情のまま挨拶をしてきました。
「ルーシー王女殿下、ランに挨拶をして頂き恐れ入ります。ビクトリア王妃様、ルーカス王太子殿下、アイビー様、アレクサンダー副宰相閣下、クロスロード副宰相閣下、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」
「いえいえ、こちらこそルーシーがお世話になっている様でして。本日は体験入園です、いわば来年入園する者が主役ですのでお気になさらずに」
王妃様の言葉に、みんながうんうんと頷いています。
元々ルーカスお姉様とアイビー様は体験入園のアテンド役だし、僕とジンさんは直接はあくまでもみんなを見守るだけです。
王妃様も保護者的な立場を崩していないから、特に問題ないんだよね。
「えっ、えっ? も、もしや、る、ルーシー王女殿下?」
「えーっと、確かに私は王女だけど、ランちゃんとは身分とか関係なくお友達になりたいな」
「こ、光栄です……」
ルーシーお姉様と手を繋いだまま、ランさんは固まってしまいました。
でも、ルーシーお姉様は正体を明かしてもランさんへの態度を崩さないし、ランはんと本当にお友達になりたいんだろうね。
そんなルーシーお姉様とランさんの周囲に、おずおずとしながらも人が集まってきました。
「あ、あの、私も挨拶をして良いですか?」
「僕も良いですか? その、男爵家ですけど……」
「全然良いよ。こちらこそ宜しくね」
ルーシーお姉様は、周りに集まってきた人にも積極的に挨拶したり握手をしています。
ランさんも、そんなルーシーお姉様の様子を見てちょっとホッとしていますね。
そんなにこやかな雰囲気の集団を、王妃様は少し嬉しそうに見つめていました。
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