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第二十五章 新たな脅威?
七百四十二話 意外な成果
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ツンツン頭の屋敷での大捕物の翌日、僕は普通にお仕事をしていました。
リズ達もジンさん達も、教科書関係の事でお仕事をしています。
「えーっと、あれがこれで、これがあれで」
「これはこっちだよ」
いつもの通り意見を集めた紙を分類しているけど、かなり沢山の意見を集めていました。
というのも、昨日僕とジンさん達が応接室でツンツン頭とやりあっていた間に、証拠品を集め終えたリズ達が聴取を終えた屋敷の使用人から色々な意見を集めていた。
その為に、結構な量の意見を集める事ができていた。
「いやあ、こりゃすげーな。よくこれだけの意見を集めたな」
「ふふふ、リズにかかればあっという間だよ」
「色々な人とお喋りしたんだよ」
ジンさんがビックリしながらリズ達の成果を見ていたけど、リズ達はジンさんに向けてドヤ顔をしていた。
そして、リズ達が集めた意見はとても貴重なものだった。
「当主が捕まるような貴族家の屋敷で働く者の意見を聞けるなんて、普通ない事だわ」
「当主への恨み妬みが沢山書かれていて、中々面白い内容よね」
レイナさんとカミラさんが、分類し終わった書類を手に取って思わず苦笑していました。
夫人には感謝する内容が多かったけど、とにかくツンツン頭と嫡男への恨みが酷かった。
どれだけ馬鹿な事をやっていたかが、一目で分かる結果だった。
「ふむ、ほぼ取り潰しになる貴族家に勤める使用人の意見か。これは別の紙に移して、アカデミーに分析させよう」
宰相もツンツン頭の屋敷で集めた情報は貴重だと判断して、後でアカデミーの学者を呼ぶそうだ。
ピピピピ、ピピピピ。
「うん、軍務卿からの通信だ。えっ、ツンツン頭と嫡男を再逮捕! 聴取していた兵をぶん殴った?」
「アレク様、結局は親子は似ているという事ですわね」
「嫡男も公務執行妨害罪と傷害罪ですわね。これでは、せっかく当人は穏便に済むはずが元も子もないですわ」
「自分は貴族の嫡男だから、聴取を受ける権利もないし殴っても無罪だと言っているそうだよ。本当に頭が痛い話だ……」
通信魔導具に表示された内容に、僕だけでなく一緒にいたサンディとメアリも頭を押さえていた。
せっかく嫡男は直接的な罪はなかったのに、全てパーになってしまった。
「宰相、あの嫡男も懲役刑は免れないですよね?」
「裁判の結果次第だけど、地方の直轄地での懲役刑は免れない。ちょうど意見を集めた中に使用人に対する虐待もあったから、再逮捕は免れないだろう」
あの嫡男は、リズ達が集めた情報が決め手となって、再逮捕されるという。
僕と同じ年齢でまだ子どもという点を考慮しても、執行猶予はつかないそうだ。
「その点、夫人とその実家は完全にとばっちりを受けていますね」
「結婚した相手と生んだ子どもがどうしようもなかった点で言えば、多少同情する余地はある」
いくら教育をきっちりしたとしても、嫡男本人が父親に似てどうしょうもない性格だったもんなあ。
宰相も、これは仕方ないと割り切っていた。
さてさて、僕も目の前の書類に集中しないと。
書き書き書き、ぺらぺらぺら。
どーん。
「宰相、次の書類が出来ました」
「アレク君は、本当にぶれないね」
僕が宰相の机の上に書類の山を置くと、宰相は思わず苦笑していました。
今日はメアリも書類整理を手伝ってくれるので、僕的にはとっても助かります。
「伯父様、今日は私もアレク様のお手伝いをします。どんどん書類を処理して行きますわ」
「うんうん、メアリちゃんも立派になったわね。その調子で頑張りな」
「はい、シーラおばさま」
宰相の秘書のシーラさんとメアリは顔見知りみたいで、お互いに息が合った会話をしていた。
そして、その陰で宰相がどんよりとした表情をしていた。
リズ達もジンさん達も、教科書関係の事でお仕事をしています。
「えーっと、あれがこれで、これがあれで」
「これはこっちだよ」
いつもの通り意見を集めた紙を分類しているけど、かなり沢山の意見を集めていました。
というのも、昨日僕とジンさん達が応接室でツンツン頭とやりあっていた間に、証拠品を集め終えたリズ達が聴取を終えた屋敷の使用人から色々な意見を集めていた。
その為に、結構な量の意見を集める事ができていた。
「いやあ、こりゃすげーな。よくこれだけの意見を集めたな」
「ふふふ、リズにかかればあっという間だよ」
「色々な人とお喋りしたんだよ」
ジンさんがビックリしながらリズ達の成果を見ていたけど、リズ達はジンさんに向けてドヤ顔をしていた。
そして、リズ達が集めた意見はとても貴重なものだった。
「当主が捕まるような貴族家の屋敷で働く者の意見を聞けるなんて、普通ない事だわ」
「当主への恨み妬みが沢山書かれていて、中々面白い内容よね」
レイナさんとカミラさんが、分類し終わった書類を手に取って思わず苦笑していました。
夫人には感謝する内容が多かったけど、とにかくツンツン頭と嫡男への恨みが酷かった。
どれだけ馬鹿な事をやっていたかが、一目で分かる結果だった。
「ふむ、ほぼ取り潰しになる貴族家に勤める使用人の意見か。これは別の紙に移して、アカデミーに分析させよう」
宰相もツンツン頭の屋敷で集めた情報は貴重だと判断して、後でアカデミーの学者を呼ぶそうだ。
ピピピピ、ピピピピ。
「うん、軍務卿からの通信だ。えっ、ツンツン頭と嫡男を再逮捕! 聴取していた兵をぶん殴った?」
「アレク様、結局は親子は似ているという事ですわね」
「嫡男も公務執行妨害罪と傷害罪ですわね。これでは、せっかく当人は穏便に済むはずが元も子もないですわ」
「自分は貴族の嫡男だから、聴取を受ける権利もないし殴っても無罪だと言っているそうだよ。本当に頭が痛い話だ……」
通信魔導具に表示された内容に、僕だけでなく一緒にいたサンディとメアリも頭を押さえていた。
せっかく嫡男は直接的な罪はなかったのに、全てパーになってしまった。
「宰相、あの嫡男も懲役刑は免れないですよね?」
「裁判の結果次第だけど、地方の直轄地での懲役刑は免れない。ちょうど意見を集めた中に使用人に対する虐待もあったから、再逮捕は免れないだろう」
あの嫡男は、リズ達が集めた情報が決め手となって、再逮捕されるという。
僕と同じ年齢でまだ子どもという点を考慮しても、執行猶予はつかないそうだ。
「その点、夫人とその実家は完全にとばっちりを受けていますね」
「結婚した相手と生んだ子どもがどうしようもなかった点で言えば、多少同情する余地はある」
いくら教育をきっちりしたとしても、嫡男本人が父親に似てどうしょうもない性格だったもんなあ。
宰相も、これは仕方ないと割り切っていた。
さてさて、僕も目の前の書類に集中しないと。
書き書き書き、ぺらぺらぺら。
どーん。
「宰相、次の書類が出来ました」
「アレク君は、本当にぶれないね」
僕が宰相の机の上に書類の山を置くと、宰相は思わず苦笑していました。
今日はメアリも書類整理を手伝ってくれるので、僕的にはとっても助かります。
「伯父様、今日は私もアレク様のお手伝いをします。どんどん書類を処理して行きますわ」
「うんうん、メアリちゃんも立派になったわね。その調子で頑張りな」
「はい、シーラおばさま」
宰相の秘書のシーラさんとメアリは顔見知りみたいで、お互いに息が合った会話をしていた。
そして、その陰で宰相がどんよりとした表情をしていた。
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