転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百九十一話 特別調査チームが作られる事に

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「あたた、体が痛い……」
「あなた、自業自得です。アレク君も他の人も、治療は不要ですよ」
「「「はい……」」」

 陛下は王妃様とアリア様と何かをしていたらしく、全身ボロボロで戻ってきた。
 思わず治療しようとしたけど、王妃様がニコリとしながら不要というので治療はできないですね。

「ジョディーも他の皆も、謁見が終わるまで勉強部屋にいましょうね。謁見が終わっても、直ぐに会議があるから長くなりそうよ」
「「「はーい」」」

 ジョディーちゃんは、リズ達と一緒にアリア様の後をついていった。
 勉強をしつつ、交流を深めるのだろう。
 僕達は、侍従の後をついていって謁見の間に向かいます。

「おお、マテオではないか。色々と大変だったな」
「レビン男爵様!」

 謁見の間の前に、青髪を短く刈り上げたすらっとした男性が立っていた。
 マテオ君が名前を読んで歩み寄ったから、この人がジョディーちゃんの父親のレビン男爵様で間違いないだろう。

「レビン男爵、朝早くからご苦労だったな」
「畏れ入ります、陛下。しかし、私も急な事で驚いております」
「それは、余とて同じだ。闇組織が何かをやる時は、こちらの予想もしない時に起こす。全く、迷惑な事だ」

 レビン男爵様と陛下が愚痴をこぼしていたけど、今回のクエスト男爵領の件はたまたま教会からおかしいと連絡がなければ完全に見過ごしていたもんね。
 本当に闇組織が何かをすると、多くの人に迷惑がでるね。
 そんな事を話しながら、皆で謁見の間に入ります。

「先程、内務部での手続きも完遂した。よって、クエスト男爵家当主にマテオを充てる事とする」
「精一杯頑張ります」
「うむ。マテオは賢いが、まだ幼年だ。ホーエンハイム辺境伯、レビン男爵、マテオの事を良く見てやってくれ」
「「畏まりした」」

 うん、あっという間に新たなクエスト男爵家の当主就任に関する儀式が終了しました。
 殆ど特別な事もないし、後見者も決まっているのでとってもスムーズです。
 そのまま閣僚達と共に、今度は会議室に移動しました。

「クエスト男爵家の当主就任の件はこれで問題ないが、問題は闇組織がクエスト男爵家内部に深く入り込んでいた事だな」
「私もあの執事に会った事はありますが、見た目だけならただの若い執事でした。ですので、そこまで危険視はしておりませんでした」
「そうよな。身分を偽り仕事もキチンとできるとなると、警戒心が薄れるというもの。中々難しい問題だ」

 今回みたいに、闇組織が貴族の後継者争いに関与して乗っ取りを計画するなんて、普通は分からないよね。
 レビン男爵様が言う通り、僕もあの執事を初めて見た時はただの執事だと思ったもん。

「貴族家そのものに口を出すのは容易いが、家臣となると話は違ってくる。考えたくはないが、他の領地でも同様の事はあり得るだろうな」
「執事とまでいかなくとも、侍従程度の地位でも貴族の内情をある程度知る事ができます。情報を集めるだけなら既にいると思われます」
「アレクの言う通りだ。下っ端程度なら、どの組織に紛れ込んでいても分からないものだ。かと言って、いちいち鑑定して素性を確認するのも面倒だ」

 王城の各組織にも、もしかしたら闇組織が紛れ込んでいるかもしれない。
 それが、軍や重要部局なら尚更大変だ。
 うーん、あまり使いたくないけどこの方法が良いかもな。

「僕達の手が届く範囲なら、リズ達の勘でリストアップして絞った人数を鑑定するって方法があります。王城内や軍は直ぐにでもやった方が良いと思います」
「リズの勘の良さは、既に鑑定魔法レベルだ。よし、この件はアレクを中心として進める様に」

 あっ、陛下がニヤリとして僕に話を返してきたよ。
 あの、僕を中心にって言っているけど、僕も仕事があるんですけど……

「なに、アレクをリーダーとして配下に職員を付けさせれば良いだろう。アレクは宰相補佐官だから、全部署の統括確認しても問題はない。リズ達も既に色々な部局や軍に顔を出しているし、特に問題ないだろう。各地への調査も終わったし、ジンもつけさせよう」
「ああ、うん、分かりました。多分こっちの方が楽だと思いますよ」

 という事で、急遽特別調査チームが編成されました。
 ジンさんもついてくれるのは心強いけど、リズ達に振り回されるのが目に見えているなあ。
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