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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々
六百八十三話 次期クエスト男爵当主が決定です
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さて、目の前で繰り広げられた茶番劇を終わらす為に、内務卿が転がっている前に出ました。
内務卿の隣には、ジンさんが立っています。
「陛下より、クエスト男爵家の跡目争いについて裁定が下された。クエスト男爵家の後継者は三男とし、長男と次男は統治不適合により捕縛を命令する」
「「へあ?」」
「えっ?」
内務卿が通信用魔導具に表示された画面を二人に見せつけると、未だに体が痺れて動けない二人から変な声が上がっていた。
一方でリズの所にいる三男も、良く分かっていないという戸惑いの声が上がった。
「ふ、ふじゃけるにゃ! なじぇ、ぼくじゃにゃいのにゃ」
「そ、そうびゃ。とうじゅは、はたしぎゃ!」
「「「ぷっ、くすくす」」」
地面に転がっている長男と次男は体が痺れているのに無理やり喋るので、何を言っているのかさっぱり分かりません。
思わず他の人が笑ってしまうほどです。
ざっ、ざっ。
そんな二人の所に、ルーカスお兄様とアイビー様が無言で近づいてきました。
うん、ルーカスお兄様とアイビー様も目茶苦茶怒っているよ。
こんなに怒っているルーカスお兄様は、僕は初めてみたかも。
そしてルーカスお兄様は、冷たい冷酷な声で話し始めました。
「二人とも、なぜ統治不適合になったのか理解できない表情をしているが、それはわざとか?」
「「ふぐっ」」
ルーカスお兄様の威厳のある声に、二人は顔を背けて完全に閉口しちゃいました。
そんな二人の態度などお構いなしに、ルーカスお兄様は更に話を続けました。
「私は、いずれ父よりこの国の統治を行うだろう。この国をより良くする為に、民の暮らしが少しでも向上する為に、努力を惜しまない覚悟だ」
ルーカスお兄様は、ここまで話した所で一呼吸置いた。
この場にいる誰もが、ルーカスお兄様の話に耳を傾けていた。
ルーカスお兄様は、常日頃から国をもっと良くしたいと言っていたもんね。
「二人は己が当主になりたいが為に、兄弟で醜い争いをしていた。確かに当主の座は、とても魅力的だろう。しかし、当主の座を得る為に住民の命を危機に陥れるのは断じて有り得ない」
「「ぐっ……」」
ルーカスお兄様の厳しい指摘に、二人は尚も顔を背けて聞かないふりをしていた。
うん、ここまでふざけた態度を取っているとは。
今度は、ジンさんが少し厳しめの口調で話し始めました。
「お前らは、二人それぞれ別の仕掛けをした。先に次男が、自領の軍で倒せるレベルの魔物を集める為に集魔香を集めた。どこから集魔香なんて物を集めたかは、後でゆっくりと話して貰おう。長男は次男の計画を察知して、わざと軍や冒険者への森の討伐依頼を少なくしたな。自領の軍では対応できなくするためにな」
「「うぐっ……」」
この話をクエスト男爵領の兵から聞いた時には、僕もとってもビックリしたんだよ。
てっきり次男が色々としたのかと思ったら、長男もこの件に絡んでいたんだよね。
完全に企みがバレてしまったので、二人は流石に観念した様子だった。
最後に、内務卿が締めるみたいです。
「結果として、自領の兵や国軍どころか、救国の勇者様と双翼の天使様の率いるパーティでないと対応できないレベルの魔物溢れを引き起こした。たとえ国軍がバイザー子爵領から来て対応したとしても、甚大な影響は避けられない。間違いなくクエスト男爵領の街は壊滅し、周辺の領地にも多大な影響を与えただろう。というか、既にバイザー子爵領には影響を与えているがな」
「救国の勇者?」
「双翼の天使様?」
「何だ、知らなかったのか? 私の横にいるのが救国の勇者であり執務官でもある、クロスロード子爵家当主のジンだ。同じく、双翼の天使様こと、アレクサンダー殿下とエリザベス殿下である。闇ギルドとの戦いを勝ち抜いた、我が国が誇る猛者である」
あの内務卿、猛者という紹介はちょっと言い過ぎじゃ無いですか?
二人は完全にヤバいことをしたと今更ながらに認識をしていて、三男もピースをするリズの事をビックリしながら見ていた。
「そして、何よりも自分の事ばかり考えて領民の事など全く考えていない愚かな行為だ。ルーカス殿下の言う通り、領地を治めるに値しない。既に、今回の件で多数の死者が出ている。二人の身柄は王城に移し、厳しい取り調べを受けてもらう」
内務卿の宣告に、二人はガクリとしていた。
旅人や街道を歩いていた商人に魔物溢れに対応した兵など、多数の死者が出ている。
二人が行った愚かな行為の被害者が出ているので、厳罰は必死だろう。
内務卿の隣には、ジンさんが立っています。
「陛下より、クエスト男爵家の跡目争いについて裁定が下された。クエスト男爵家の後継者は三男とし、長男と次男は統治不適合により捕縛を命令する」
「「へあ?」」
「えっ?」
内務卿が通信用魔導具に表示された画面を二人に見せつけると、未だに体が痺れて動けない二人から変な声が上がっていた。
一方でリズの所にいる三男も、良く分かっていないという戸惑いの声が上がった。
「ふ、ふじゃけるにゃ! なじぇ、ぼくじゃにゃいのにゃ」
「そ、そうびゃ。とうじゅは、はたしぎゃ!」
「「「ぷっ、くすくす」」」
地面に転がっている長男と次男は体が痺れているのに無理やり喋るので、何を言っているのかさっぱり分かりません。
思わず他の人が笑ってしまうほどです。
ざっ、ざっ。
そんな二人の所に、ルーカスお兄様とアイビー様が無言で近づいてきました。
うん、ルーカスお兄様とアイビー様も目茶苦茶怒っているよ。
こんなに怒っているルーカスお兄様は、僕は初めてみたかも。
そしてルーカスお兄様は、冷たい冷酷な声で話し始めました。
「二人とも、なぜ統治不適合になったのか理解できない表情をしているが、それはわざとか?」
「「ふぐっ」」
ルーカスお兄様の威厳のある声に、二人は顔を背けて完全に閉口しちゃいました。
そんな二人の態度などお構いなしに、ルーカスお兄様は更に話を続けました。
「私は、いずれ父よりこの国の統治を行うだろう。この国をより良くする為に、民の暮らしが少しでも向上する為に、努力を惜しまない覚悟だ」
ルーカスお兄様は、ここまで話した所で一呼吸置いた。
この場にいる誰もが、ルーカスお兄様の話に耳を傾けていた。
ルーカスお兄様は、常日頃から国をもっと良くしたいと言っていたもんね。
「二人は己が当主になりたいが為に、兄弟で醜い争いをしていた。確かに当主の座は、とても魅力的だろう。しかし、当主の座を得る為に住民の命を危機に陥れるのは断じて有り得ない」
「「ぐっ……」」
ルーカスお兄様の厳しい指摘に、二人は尚も顔を背けて聞かないふりをしていた。
うん、ここまでふざけた態度を取っているとは。
今度は、ジンさんが少し厳しめの口調で話し始めました。
「お前らは、二人それぞれ別の仕掛けをした。先に次男が、自領の軍で倒せるレベルの魔物を集める為に集魔香を集めた。どこから集魔香なんて物を集めたかは、後でゆっくりと話して貰おう。長男は次男の計画を察知して、わざと軍や冒険者への森の討伐依頼を少なくしたな。自領の軍では対応できなくするためにな」
「「うぐっ……」」
この話をクエスト男爵領の兵から聞いた時には、僕もとってもビックリしたんだよ。
てっきり次男が色々としたのかと思ったら、長男もこの件に絡んでいたんだよね。
完全に企みがバレてしまったので、二人は流石に観念した様子だった。
最後に、内務卿が締めるみたいです。
「結果として、自領の兵や国軍どころか、救国の勇者様と双翼の天使様の率いるパーティでないと対応できないレベルの魔物溢れを引き起こした。たとえ国軍がバイザー子爵領から来て対応したとしても、甚大な影響は避けられない。間違いなくクエスト男爵領の街は壊滅し、周辺の領地にも多大な影響を与えただろう。というか、既にバイザー子爵領には影響を与えているがな」
「救国の勇者?」
「双翼の天使様?」
「何だ、知らなかったのか? 私の横にいるのが救国の勇者であり執務官でもある、クロスロード子爵家当主のジンだ。同じく、双翼の天使様こと、アレクサンダー殿下とエリザベス殿下である。闇ギルドとの戦いを勝ち抜いた、我が国が誇る猛者である」
あの内務卿、猛者という紹介はちょっと言い過ぎじゃ無いですか?
二人は完全にヤバいことをしたと今更ながらに認識をしていて、三男もピースをするリズの事をビックリしながら見ていた。
「そして、何よりも自分の事ばかり考えて領民の事など全く考えていない愚かな行為だ。ルーカス殿下の言う通り、領地を治めるに値しない。既に、今回の件で多数の死者が出ている。二人の身柄は王城に移し、厳しい取り調べを受けてもらう」
内務卿の宣告に、二人はガクリとしていた。
旅人や街道を歩いていた商人に魔物溢れに対応した兵など、多数の死者が出ている。
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