転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百八十話 街を襲うゴブリンを撃破

　バイザー子爵領に到着した僕達は、一斉にクエスト男爵家に向かって進み始めました。
　既に軍も準備万端で、僕達はバイザー子爵領に到着して一緒に現地に向かっています。

「目印があるのはありがたいけど、煙が上がっているのは良くないですね」
「そうだね。現地で何かが起きている証拠だ。とにかく、急がないといけない」

　僕はルーカスお兄様と馬上で話をしたけど、目的であるクエスト男爵家から立ち上っている煙を見て不安な気持ちに駆られました。
　それだけ、激しい戦いが繰り広げられている証拠だもんね。
　とにかく早く現地に向かわないとと思い、できる限りの速度で進んでいきます。

「「「キシャー！」」」
「くそ、ここは長くは持たない。後退するぞ」
「しかし、今ここを捨てたら、街が壊滅します」

　そして僕達が現地に到着するタイミングで、多くのゴブリンが街を襲っているのが見えて来ました。
　防壁の門の前に兵が陣取っているけど、完全に多勢に無勢って感じです。
　しかも防壁の門の前には多くの怪我をした兵が横たわっていて、全滅寸前のかなり危ない状況です。

「ブッチー、行くよ！」
「ヒヒーン！」

　まずはゴブリンの数をなんとかしないといけないので、僕以外のポニー軍団が魔法障壁を展開してゴブリンの群れに突っ込んで行きました。

　ドカドカドカ！

「「「ギャシャー！」」」
「な、なんだあれは？」
「ゴブリンが宙を舞っているぞ」

　縦横無尽にリズ達が動き、次々をゴブリンを跳ね飛ばしています。
　状況が把握できていない兵の所に、僕とルーカスお兄様とティナおばあさまが駆けつけました。
　アイビー様は、早速怪我をした兵の治療を開始しました。

「あの、大丈夫ですか？　これからできる限り迅速にゴブリンを倒します」
「あ、ああ、助かった。あの、あなた方は？」
「私は王国王族のティナです。そして、王太子のルーカスに内務卿も駆けつけました」
「「「お、王族に閣僚！」」」

　あ、僕達の正体を知った兵が、とんでもなくビックリしちゃったよ。
　でも、まずは目の前のゴブリンを倒さないといけないよね。

「とっても強い冒険者とスライムがいたと思いますが、どこに行きましたか？」
「えっと、冒険者とスライムは森の方に向かいました。森から溢れてくるゴブリンや動物を抑えてくれているので、逆にこのくらいで済んでいます」

　となると、ジンさん達の所にも向かわないといけないね。
　クエスト男爵の屋敷の方と、部隊を二手に分ける必要性があるね。

「ちょやー！」
「ギシャー」

　ポニさん軍団とリズ達の活躍もあり、五百匹はいたゴブリン達の多くが駆逐されていきます。
　更に僕達も魔法を駆使したり、兵による斬撃で確実にゴブリンを仕留めていきます。
　この場にいたほぼ全てのゴブリンが下級種だけってのもあったので、僕達からするとただ数が多かっただけだね。

「では、部隊を分けましょう。怪我人の治療を含めて、私、内務卿、ルーカス、アイビー、エレノアはクエスト男爵の屋敷に向かいましょう。アレク君、リズちゃん、サンディ、イヨは軍と共に森に向かって」
「「「はい！」」」

　街を襲っているゴブリンを倒した所で、ティナおばあさまが僕達を二つに分けました。
　治療の為にリズも残った方が良いかなと思ったけど、エレノアとアイビー様もいるからまず先にゴブリンを少しでも早く駆逐する方が良いとの事です。

「引き続き警備と治療を行います。私達を屋敷へ案内して下さい」
「は、はい。畏まりました」

　ティナおばあさまに声をかけられたクエスト男爵家の兵が、思わず直立不動になってティナおばあさまに向けて敬礼していました。

「じゃあ、僕達も森に向かいます」
「ええ、アレク君宜しくね」

　僕達も、ティナおばあさまに声をかけて森に向かいます。
　きっとジンさん達の事だから何も問題ないと思いつつ、ポニさんを走らせました。