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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百七十二話 保護されたものたち

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 これでカスバク子爵領と男爵領に跨る森での戦闘は終わりだけど、課題はまだまだあります。

「更に子どもを保護しました」
「珍獣も保護しました」

 小屋の中には別室もあって、兵に抱かれた子どもと珍獣が入っている檻が運ばれてきました。
 子どもは全部で六人で、檻に入っている珍獣は幼獣だけだったり親もいたりとまちまちです。

「お腹空いたよ……」
「僕も……」
「ウゥ……」

 そして、子どもも珍獣もお腹を空かせていたので、まずは温かいご飯にする事にしました。

「では、引き続き調査を行います」
「何かあったら、逐一報告する様に」

 大体の押収品をスラちゃんのアイテムボックスに入れたので、僕達は現場捜索の兵を残して子ども達と珍獣と一緒にカスバク子爵の屋敷に向かいました。

「「「もぐもぐもぐ」」」
「「「ハグハグハグ」」」

 屋敷前ではちょうど炊き出しをしていたので、子ども達には炊き出しの食事に、珍獣達には細かく食べやすくしたお肉をあげます。
 子ども達と珍獣はよっぽどお腹が空いていたのか、まさに一心不乱ってこの事だと言わんばかりにご飯を食べています。

「白狼に飛天虎、サンダーホークの雛か。随分と珍しい動物を集めたもんだな」
「森の中にいた闇組織の構成員は、どうも冒険者崩れだったみたいですな。こういう物に目をつけたのでしょう」

 今後の事を話し合う為に、カスバク男爵家にいた面々も含めてカスバク子爵家の屋敷に集まりました。
 庭に座りながらお肉を食べている珍獣達の事を、農務卿とケーヒル伯爵様が複雑な表情で見ていました。
 全てが取引禁止となっている動物で、保護対象になっています。
 森に返すにもガリガリに痩せていて体力が落ちているし、何よりも飛天虎とサンダーホークは小さな子どもなのである程度育てないと森に離せません。
 幸いにして、僕達の事は保護してくれたと分かっているので襲う事はありません。
 一旦、王城にある珍獣保護の施設に預けられます。

「あの子らも、早急に対応が必要ですな。もう、頼る人がいないのですから」
「税金が払えなくて親を殺して、子どもを違法奴隷にしようとは。過去にないレベルでの卑劣さですわ」

 保護された六人の子ども全員が、カスバク子爵と男爵によって親を殺されています。
 家すら売り払われてしまったので、こちらも当面はカスバク子爵家の屋敷に保護されます。
 しかし、宰相とティナおばあさまが話す通り、ここまで酷い貴族は見た事ないです。

「過大な税の徴収に、無慈悲な殺人と違法奴隷。帳簿を見たが、飢餓輸出をしていたのも間違いない。闇組織との取引を抜きにしても、余裕でお家取り潰しだろう」
「金、権力は、カスバク子爵と男爵にとっては魅力的だったのですね。街の人の事など、お金を生み出す道具としか思ってなかったのですね」

 僕も商務卿と話をするけど、カスバク子爵家と男爵家が残る理由は全くないですね。
 家の者も全員捕まっていて、王城で厳しい取り調べを受けています。
 取り調べの結果がどう出るか、王城に運ばれた闇組織の構成員の供述も重要ですね。

「でも、僕は大した供述は出ないと思います。結局重要な物は何も出ませんでしたし、このカスバク子爵と男爵は、金づるに使われただけかと思います」
「そうね。私もそう思うわ。闇組織にいいように使われただけね。でも、圧政をして良い訳はないわ。罪はキチンと償わないとね」

 ティナおばあさまが、僕の頭をポンポンとしながら話してくれました。
 まず僕達は、目の前で困っている人を助けないといけないね。
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