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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百二十九話 簡易調査の結果

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 翌日、王城の会議室には陛下と閣僚と軍の関係者に加えて僕とジンさんとスラちゃんの姿がありました。

「俺、何でここにいるんだろうか……」

 ジンさんがポツリと呟いていたけど、もう今更な気もするよ。

「一日の簡易調査の結果ですが、後方支援部隊が不正会計をしている可能性が高くなりました。会計担当者も、不正に手を出しております」
「武器取引業者と後方支援部隊の上層部が、お互いに癒着を起こしていると思われます。この様な事態となり、大変申し訳ありません」
「ふう、闇組織対策の為に予算を増やしたが、私腹を肥やしていた者がおったか」

 軍務卿とケーヒル伯爵様の報告を、頭が痛そうに陛下が聞いていました。
 ちょうど別の部下からも会計書類がおかしいと申告があったらしく、しかもその申告をした部下は会計担当者でした。

「先ずは証拠を固めて、関係者を捕縛する様に。武器取引業者も、直ぐに押さえられる様に準備を」
「「「はっ」」」

 陛下が指示を出すと、軍の関係者が立ち上がって一礼した。
 軍の上層部には監督責任とかも出てくるだろうけど、先ずは不正を正さないとね。

「他の部局も、今一度不正がないかを確認する様に」
「「「はっ」」」

 実は他の部局でも不正がありましたってのは、お役所仕事だと出てくるもんね。
 不正一斉撲滅をする為にも、皆には頑張って貰わないと。

「そして、ジンを執務官として任命し、宰相補佐官のアレクと執務官スラちゃんと共に軍と同行して不正の調査を任命する」
「えっ?」

 陛下のまさかの発表に、ジンさんは衝撃的な表情をしたまま固まっちゃった。
 僕もスラちゃんもジンさんの事は聞いていなかったから、同じくビックリして陛下の方を向いちゃいました。

「ジンは一度官僚試験をパスしている。なのに、冒険者になるって言ってレイナとカミラ達と共に辞退していた」
「え、ええ。やっぱり冒険者が肌にあっていると思っていて……」
「実は、辞退ではなく冒険者として経験を踏む名目として休職扱いになっていた。勿論、レイナとカミラにルリアンとナンシーも同じだ。四人は、武器取引業者との調査に立ち会わせる」
「そ、そんな……」

 陛下の発表に、ジンさんはガクリと項垂れてしまいました。
 というか、執務官という名目が出来ただけで、今までやっているのと変わらない気がするよ。
 昼食後に王都にある駐屯地に行く事になったので、会議は終わりにしていつもの王族用の食堂に向かいました。

「「「「はあ……」」」」

 既に話を聞かされていたのか、レイナさん達も溜息をつきながら食事をしていました。

「絶対に、お父様が裏で動いていたとしか思えないわ」
「そうね、おじいちゃんなら平気で私達の事を休職扱いにしそうだわ」

 レイナさんとカミラさんが身内にいる閣僚の顔を思い浮かべていたけど、やっぱり閣僚は一筋縄では行かないですね。

「それで、何でリズ達も騎士服に着替えているの?」
「「「宝探しは任せて!」」」
「いやいや、毎回思うけど不正の証拠集めは宝探しじゃないよ……」

 リズ達も、僕達について行く気満々です。
 流石にミカエル達は連れて行けないので、王城でお留守番です。
 リズとエレノアが、ジンさんと僕とスラちゃんとプリンと一緒に軍の駐屯地に向かいます。
 ルーシーお姉様とサンディとイヨが、ティナおばあさまとレイナさん達と一緒に武器取引業者の所に向かいます。
 サンディとイヨには、マジカルラットも付いていきます。
 しかも、複数匹です。

「近衛騎士も警護に付くから大丈夫だと思うけど、逆にやり過ぎない様にね」
「「「はい!」」」

 王妃様からのアドバイスは、僕達がやり過ぎないという物でした。
 僕よりも、こちらの人達に言った方が良いと思うよ。

「ふふふ、不満を全てぶつけてやらないと」
「刃向かってきたら、ギタギタにしてやるわ」

 怒りの炎を隠そうともしないレイナさんとカミラさんに加えて、ルリアンさんとナンシーさんもちょっと怒っていました。
 確かに、女性陣が一番暴発しそうですね。

「じー、おみやげ!」
「かってきて!」
「遊びに行くんじゃないの」
「「えー!」」

 ルカちゃんとエドちゃんが何故かジンさんにお土産をねだっていたけど、殺伐としている女性陣に比べるととってもほのぼのしているね。
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