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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々
六百二十八話 軍に問題発覚?
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エマさんとオリビアさんの卒園式にはまだ日にちがあるので、僕は今日も王城でお仕事をしています。
最初は何だかんだで大変だったけど、段々と仕事にも慣れてきました。
今日も、各部署から提出された書類をチェックしています。
報告関連の書類が殆どで、たまたま申請関連の書類はありませんでした。
「宰相、計算が間違っている資料があります」
「これは出し直しだな。軍に戻さないとならんのう」
些細な計算間違いが多いので殆どは直ぐに再提出されるんだけど、気のせいか軍から出される書類にミスが多い気がするよ。
殆どが備品の使用状況の報告資料なんだけど、単純な間違いが多いなあ。
「うーん、今日の出し直しの書類は、全て軍から出ていますね」
「ちょっと量が多いのう、気になるな」
僕も宰相も、腕を組んで考え込んでしまいました。
軍の中でも、後方支援部隊から出てきている書類に計算間違いがあります。
予算関係は軍の管轄なので手元にはないけど、この書類の間違いを見ちゃうとちょっと心配です。
カチャ。
「おや? 宰相にアレク君、考え込んでどうかしましたか?」
「あっ、ケーヒル伯爵様、ギース様」
ちょうど良いタイミングというか、軍の重鎮であるケーヒル伯爵様と軍務卿の弟のギース様が宰相の執務室に入ってきたよ。
別の部署に寄った帰りで、本当にたまたま宰相の執務室に寄ったそうです。
僕と宰相が事情を話すと、二人の表情が一気に険しくなっちゃった。
「本当に申し訳ない。しかもこの程度の計算を間違えるとは、とても恥ずかしい事です」
直ぐに、ギース様が宰相に謝りました。
間違った書類も、一緒に持っていってくれるそうです。
「しかし、後方支援部隊からの書類ばっかり間違っていたので、何かあるのかなと思っちゃいました」
「うーん、余り考えたくないが何かあるのかもしれない。何せ、後方支援部隊には少し気になる連中がいるので」
僕の疑問に、表情が険しいままのケーヒル伯爵様が答えてくれました。
気になる連中って、誰の事だろう?
「後方支援部隊には、一部前線部隊から落第した者がおります。再試験に受かれば希望の仕官先に戻れるのですが、中には敢えて試験を受けていない者がおります」
「もしかして、やる気が無くなって適当な書類を書いている可能性もあるという事ですか?」
「その可能性もあります。何よりも、この書類を見ると予算関係がとても心配ですね」
「後方支援部隊の部隊長は、元々前線部隊から落第してそのまま昇進した人物です。予算執行関連もその部隊長から上がってきます。直ぐに、後方支援部隊に探りを入れます」
ケーヒル伯爵様の言葉に、ギース様が付け加えていました。
何だか、とっても嫌な感じがするよ。
その間に宰相がタブレット型の魔導具で王都の駐屯地にいる軍務卿に連絡をしていたみたいで、軍務卿とケーヒル伯爵様とギース様で後方支援部隊を調べるそうです。
「うーん、場合によっては、僕達も後方支援部隊に行く必要が出てきますね」
「少なくとも、一回は現地に行かなければならないだろう」
ケーヒル伯爵様とギース様が執務室を出た後、僕と宰相も悩みながら話をしていました。
僕が嫌な感じがする時は、何故か当たっちゃうんだよね。
大きな問題にならなければいいなあ。
最初は何だかんだで大変だったけど、段々と仕事にも慣れてきました。
今日も、各部署から提出された書類をチェックしています。
報告関連の書類が殆どで、たまたま申請関連の書類はありませんでした。
「宰相、計算が間違っている資料があります」
「これは出し直しだな。軍に戻さないとならんのう」
些細な計算間違いが多いので殆どは直ぐに再提出されるんだけど、気のせいか軍から出される書類にミスが多い気がするよ。
殆どが備品の使用状況の報告資料なんだけど、単純な間違いが多いなあ。
「うーん、今日の出し直しの書類は、全て軍から出ていますね」
「ちょっと量が多いのう、気になるな」
僕も宰相も、腕を組んで考え込んでしまいました。
軍の中でも、後方支援部隊から出てきている書類に計算間違いがあります。
予算関係は軍の管轄なので手元にはないけど、この書類の間違いを見ちゃうとちょっと心配です。
カチャ。
「おや? 宰相にアレク君、考え込んでどうかしましたか?」
「あっ、ケーヒル伯爵様、ギース様」
ちょうど良いタイミングというか、軍の重鎮であるケーヒル伯爵様と軍務卿の弟のギース様が宰相の執務室に入ってきたよ。
別の部署に寄った帰りで、本当にたまたま宰相の執務室に寄ったそうです。
僕と宰相が事情を話すと、二人の表情が一気に険しくなっちゃった。
「本当に申し訳ない。しかもこの程度の計算を間違えるとは、とても恥ずかしい事です」
直ぐに、ギース様が宰相に謝りました。
間違った書類も、一緒に持っていってくれるそうです。
「しかし、後方支援部隊からの書類ばっかり間違っていたので、何かあるのかなと思っちゃいました」
「うーん、余り考えたくないが何かあるのかもしれない。何せ、後方支援部隊には少し気になる連中がいるので」
僕の疑問に、表情が険しいままのケーヒル伯爵様が答えてくれました。
気になる連中って、誰の事だろう?
「後方支援部隊には、一部前線部隊から落第した者がおります。再試験に受かれば希望の仕官先に戻れるのですが、中には敢えて試験を受けていない者がおります」
「もしかして、やる気が無くなって適当な書類を書いている可能性もあるという事ですか?」
「その可能性もあります。何よりも、この書類を見ると予算関係がとても心配ですね」
「後方支援部隊の部隊長は、元々前線部隊から落第してそのまま昇進した人物です。予算執行関連もその部隊長から上がってきます。直ぐに、後方支援部隊に探りを入れます」
ケーヒル伯爵様の言葉に、ギース様が付け加えていました。
何だか、とっても嫌な感じがするよ。
その間に宰相がタブレット型の魔導具で王都の駐屯地にいる軍務卿に連絡をしていたみたいで、軍務卿とケーヒル伯爵様とギース様で後方支援部隊を調べるそうです。
「うーん、場合によっては、僕達も後方支援部隊に行く必要が出てきますね」
「少なくとも、一回は現地に行かなければならないだろう」
ケーヒル伯爵様とギース様が執務室を出た後、僕と宰相も悩みながら話をしていました。
僕が嫌な感じがする時は、何故か当たっちゃうんだよね。
大きな問題にならなければいいなあ。
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