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第二十二章 新たな魔獣

五百五十九話 まだまだお仕事は続きます

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 僕達は応接室から移動して、隠し部屋の会った執務室に向かいます。

「まさか、こんな所に隠し部屋があるとはな」
「取り調べした結果ですと、この隠し部屋は当主と嫡男に闇ギルドの連中しか知らなかったそうです。あの侍従はナイツ子爵家に縁があるというので、たまたま知っていたみたいですな」

 内務卿と軍務卿が話をしているけど、僕だってこんな隠し部屋があるなんて気が付かなかったよ。
 因みに、あの侍従含めて三人の使用人がこの隠し部屋の存在を知っていて、全員がかなりの事を供述してくれたので捜査が進んだそうです。
 違法な状態を知っていたという罪状はあるにせよ、かなりの情状酌量がくまれるそうです。
 そして、皆で地下室に入っていきます。

「これは凄いな。地下室のある屋敷は珍しくないが、ここまで豪華な仕様にしているとは」
「表向きは普通の執務室にしておいて、裏では夜な夜な地下室で豪勢な生活をしていたみたいだな」

 農務卿も商務卿も他の閣僚や代官も驚いていたけど、地下室の豪華さはやはり凄かったです。
 明かりや換気やトイレの魔導具などを除いて、絵画なども後々外されて売却して領の運営資金に充てるそうです。

「金で闇ギルドの幹部の地位を得て、更に贅沢をしていたと。ナイツ子爵と嫡男は、さぞかし良い夢を見た事でしょうな」
「その裏で、領民が苦しんでいたのは事実だがな。はあ、なんとも情けないものだ。各地に派遣している密偵を強化して、更に情報を集めないとならないな」

 軍務卿と宰相が今後の方針について話をしていたけど、住民の噂って馬鹿にならないかもしれないね。
 地下室の確認はこのくらいにして、僕達は再び屋敷の中に戻りました。

「闇ギルドが、島などに拠点を作っている可能性もある。何とも難しい事だ。しかし、来年になれば稼働できる魔導船が増える。魔石を推進力にする船も建造しているし、一気に捜索範囲を広げる事ができる」
「後は、集めた情報の取捨選択が重要ですわね。分析官も増やさないとならないわ」

 再び戻った執務室で、軍務卿とティナおばあさまが話をしていました。
 地上と空と水上と、あらゆる所から情報を集める必要が出てくるね。
 幸いにして税収が好調で、ある程度の予算を軍に予算を回しても問題ないのが大きいです。
 各辺境伯領や直轄領を中心として、魔導船での調査を続けるそうです。
 そのまま僕達は、炊き出しと無料治療が行われている屋敷の前に向かいます。

「あっ、お父様。屋敷の中は凄かったでしょう」
「ああ、報告を聞くだけと実際に見るとでは大違いだ。闇ギルドに対する対策も、新たにしないとならないな」

 昼食前なので街の聞き込みから帰ってきたレイナさんが、父親である商務卿と話をしていました。
 王城で報告を聞くだけでは、実情が分からない事も多いもんね。

「聞き込みの方はどうだった?」
「うーん、どうも今回捕まった闇ギルドの連中は、頻繁に船で何処かに行っていたみたいだね。何処かまでは分からなかったけど」
「拠点間の移動は船を使っていた可能性を探っていたけど、それが裏付けられた形か。早急に海兵を配置しないとな」

 流石に海兵が配置となると、船が必要だもんね。
 港湾設備の整備が必要だし、今直ぐにって訳にはいかないもんなあ。
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