転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第二十二章 新たな魔獣

五百四十六話 ほっと一段落です

　しゅん。

「おーい。アレク、ゲートを繋いで捕まえた闇ギルドの連中を運ぶのを手伝ってくれ」
「あっ、はい直ぐに行きます」
「こっちも連行に必要な兵をだそう。アレク君、一緒に連れて行ってくれ」

　ここでスラちゃんの長距離転移で一緒に王城にやってきたジンさんから、ヘルプの声がかかりました。
　軍務卿の指示で、兵も何人かついて行く事になりました。

「アレク君、私とリズちゃんは王城の部屋に戻るわ。ミカエルの様子も見ないといけないしね」
「お兄ちゃん、頑張ってね！」

　ティナおばあさまとリズはさっきの軍務卿の話を聞いたので、ミカエルの様子を見に行くみたいです。
　僕はナイツ子爵邸にゲートを繋いで、ジンさんとスラちゃんと兵と一緒に向かいました。

「アレク君、こっちよ」

　ナイツ子爵邸に着くと、直ぐにレイナさんが僕達の事を出迎えてくれました。
　どうもナイツ子爵邸の侍従は捜査に協力的で、色々な事がどんどん進んでいるそうです。

「因みに、ナイツ子爵家に仕える兵も捜査に協力的だ。どうもここ一年で急激にナイツ子爵と嫡男の様子がおかしくなって、かなり懐疑的に見ていた様だな」
「でも、そんなナイツ子爵の指示に従わないといけない兵も可哀想ですね」
「こればっかりは、何ともいえねえな。ともかく、捜査は一気に進むと思うぞ」

　ジンさんが兵に指示をしながら次々と闇ギルドの構成員を連れていきつつ、捜査の状況を教えてくれました。
　どうもこの屋敷でおかしい行動を取っていたのは、領主に嫡男と闇ギルドの構成員だけみたいですね。
　
「そういえば、王城で何かあったのか？　ティナ様が、何か考えていた節があったぞ」

　闇ギルドの構成員を運び終えた所で、ジンさんが疑問そうに僕に話しかけてきました。
　そういえば、ジンさんは各地の状況を知らなかったんだ。
　僕はジンさんとレイナさんに、各地の状況とミカエルとブリットの事を話しました。

「うーん、ミカエルとブリットはあくまでも危ないと思ってやったんだろうな」
「でも、周りの人から見ると危険だと捉えられちゃうんだよね。中々難しいわ」

　ジンさんもレイナさんも、ミカエルとブリットとの付き合いが長いから二人が考える事が分かるんだよね。
　悪い事をして誰かを困らせた訳じゃないから、怒るのも程々にしておかないとね。
　ナイツ子爵邸には兵が残るそうなので、僕とジンさんとレイナさんとスラちゃんは王城に戻りました。

「おお、帰ったか」
「にーに、おかえりー！」
「おかえりー！」

　王城に戻ると、軍務卿と共に滅茶苦茶元気なミカエルとブリットが迎えてくれました。
　あれ？
　僕、てっきりミカエルは怒られてどよーんってしていると思っていたけどなあ。
　ジンさんとレイナさんも同じ思いだったらしく、元気なミカエルとブリットを見てきょとんとしていました。

「ミカエルとブリットが怒られて落ち込むか？　ティナ様からも良く頑張ったねって褒められて、凄いご機嫌だったぞ」

　軍務卿が苦笑しながら説明してくれたけど、確かにミカエルは怒られて落ち込むタイプじゃないもんな。
　僕もちょっと一安心です。