転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

第二十二章 新たな魔獣

五百三十五話 辺境伯領での冒険者の動き

　夕方になったので、勉強で疲れているヘロヘロのリズ達と共に王城から屋敷に帰ります。

「あ、アレク君おかえり。リズちゃんはお疲れモードね」
「にーに、ねーね、お帰り！」

　今日の辺境伯家でのお仕事を終えたルシアさんが、ミカエル達と一緒に僕達を出迎えてくれました。
　あれ？
　ククリさんが屋敷にいないけど、何処か行ったのかな？

「ルシアさん、ククリさんは何処にいますか？」
「ジンさんの所にいるよ。今日捕縛した冒険者の件で、何だか話があるんだって」
「うーん、何だろうね？」
「ただいま戻りました」

　僕が何だろうと思っていると、丁度ククリさんが屋敷に帰ってきました。
　何があったか、食堂で飲み物を飲みながら聞いてみよう。

「辺境伯領で捕まっていない冒険者の件で、ジン様と話をしていました。もう少し手が必要だというので、私とルシちゃんも加わる事になりました」

　あと三人不審な冒険者を捕まえないといけないんだけど、人手が足りないんだ。
　今ではルシアさんとククリさんも、かなりの腕になったもんね。

「後は、薬草採取で一緒になるおばさまも加わります。アレク殿下にお世話になった三人の冒険者は、念の為にバザール子爵領に向かうそうです」

　おばちゃんが加わるならルシアさんも制御できるし、何よりもとっても強いもんね。
　バザール子爵領だけでなく、バイザー子爵領とマロード男爵領とブランダーク男爵領にも冒険者が分散して向かっているそうです。

「更には、秘密兵器も完成したそうです。各地に向かう冒険者にも持たせています」
「あっ、あれが完成したんですね。なら、他の領地には明日僕が運んで行きます」

　まだ、この秘密兵器は内緒だけど、きっとこれからの戦いで大きな戦力になってくれます。

「戦力的には辺境伯領はかなりのものがありますので、この秘密兵器さえあれば私達がいなくても大丈夫かと」
「逆に言えば、他の領地が危険だと言う事ですね」
「はい。あと、王都の襲撃予測が全く分からないので、王都は守りを固めた方が良いかと」

　王都の守りは軍がきっちりやると思うけど、万が一複数の魔獣が現れた時にどう対応するか。
　僕達はナイツ子爵領に向かうし、軍務卿にお任せするしかないですね。

「とりあえずはこんな所ですか。辺境伯様から王城に情報共有されるそうです」

　ククリさんは実務的な事もできるし、本当に助かります。
　と、ここでルシアさんが、僕とククリさんに話をしてきました。

「じゃあ、これで難しいお話は終わりだね。アレク君、ルシアちゃん、皆でお風呂に入ろうね」
「えっ！」
「そういえば、ノエルさんがアレク殿下が全部自分でやるのでお世話ができないと嘆いている理由が分かりました。今日はノエルさんは遅くなるそうなので、私がアレク殿下のお世話をしますわ」
「ええ！！」

　僕は、何故かやる気満々のククリさんに手を握られてお風呂場に向かうことになりました。
　僕は一人で体を洗えますよ！
　そう言ったって、ククリさんには無駄なんだろうなあ。