上 下
408 / 890
第二十二章 新たな魔獣

五百三十四話 僕もいっぱい動きます

しおりを挟む
 スラちゃん達がナイツ子爵領に着く間、僕達もやる事は沢山あります。
 事前に決まっている各辺境伯領への兵の移動を行ったり、各国への周知や万が一の対策も行います。

「勉強ばっかりで、つまらない!」
「「「つまらなーい!」」」
「ほらほら、文句を言わないで手を動かしなさいね」

 まあゲートが使える僕がメインで動いていて、リズ達はティナおばあさま監視の下でずっと王城で勉強なんだけどね。
 外に出られないなら勉強しかないねと、大人達の意見は一致していました。

 シュッ。

「あ、スラちゃんだ。旅は順調だって」

 ナイツ子爵領へ向かっている一行も、休憩の度にスラちゃんが王城にやってきて進捗を報告してくれています。
 旅は順調で、予定よりも早くナイツ子爵領に着くそうです。

「スラちゃんが作る食事が好評なんだって。普段は乾パンや干し肉とかだから、食堂以上の料理が出てくるんだってよ」
「まあ、スラちゃんは色々な料理を作れるからなあ。旅も快適だろうね」

 きっと軍の行軍とかでも、スラちゃんがいたら大助かりかも。
 でも、そんなの行軍じゃないと、軍務卿が怒るだろうね。

「ちょっと気になるのが、道中すれ違う人の数が少ないって」
「うーん、ナイツ子爵領から各地に向かう人がいないんだ。行商もいないのは、ちょっと気になるね」

 ナイツ子爵領からの人の動きが少ないとなると、ナイツ子爵領内の人はどうしているのかが気になるなあ。
 その辺は、調査隊が現地に着いて調べるまで分からないね。

「あっ、スラちゃんが戻るって。気をつけてね」

 スラちゃんは僕達に触手をフリフリとすると、また長距離転移で調査隊の所に戻っていきました。
 さて、僕は辺境伯領に一旦戻ります。
 防壁の門近くの守備隊の所に来て欲しいそうです。

「こんにちは」
「おう、来たな」

 守備隊の所に向かうと、ジンさんが僕の事を迎えてくれました。
 僕はそのままジンさんの案内で、守備隊の牢屋のある所に向かいます。

「アレク君、待っていたよ」
「ぐっ、ここから出しやがれ!」

 牢屋の前では騎士団長さんが腕を組みながら待っていて、牢屋には鉄格子を掴みながら大声を上げている冒険者がいました。

「この冒険者が、例の怪しい行動履歴リストに載っていた冒険者ですか?」
「おお、そうだ。捕縛の際に魔法の集中攻撃で気絶していたが、今は目が覚めて元気一杯だ」

 どうもこの冒険者は捕縛の際に暴れて、プリン達とマジカルラットの集中攻撃を受けたみたいです。
 でもこれだけ元気だと護送するにも大変なので、もう一回寝て貰いましょう。

「じゃあ、睡眠魔法を使いますね」
「おう、やってくれ」

 僕は騎士団長さんの許可を貰ったので、元気一杯の冒険者に睡眠魔法を使います。

 ぴかー。

「おい、何を……すー」
「アレク君は会った頃から比べると、本当に立派な魔法使いになったね」
「でも、この睡眠魔法は魔力抵抗力が強い人には使えないんですよね」
「それは仕方ないだろうな。よし、兵は護送の準備を始めろ」

 闇魔法の一種に睡眠魔法ってのがあったので、カミラさん達に教えて貰いました。
 闇魔法って何だか悪っぽいイメージがあったけど、有効活用できる魔法もある事がわかったんだよね。
 同じ闇魔法が使えるイヨと共に、先ずは補助魔法から勉強しています。

「団長、護送の準備ができました」
「ご苦労。じゃあ、アレク君宜しく」
「はい。僕はこのまま王城に戻りますね。ジンさん、後は宜しくお願いします」
「おう、任せろ」

 僕は王城の兵の詰め所にゲートを繋いで、王城の兵が担架に乗せられた冒険者を運んで行きました。
 ジンさんはこのままレイナさんやプリン達と合流するので、僕とはここでお別れです。
 僕は、そのままリズ達の勉強部屋に戻りました。

「「「きゅー」」」
「また頭から煙が出ているみたいだよ」
「「「問題数が多いよ!」」」

 リズ達は沢山の問題を解いたので、机に突っ伏して疲れていました。
 スラちゃんが現地に着く間は、リズ達はひたすら勉強ですね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

公爵令嬢はアホ係から卒業する

依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」  婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。  そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。   いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?  何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。  エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。  彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。    *『小説家になろう』でも公開しています。

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。