上 下
386 / 952
第二十一章 ちょっと平和な日々

五百十二話 マジカルラットの子どもの貰い先

しおりを挟む
 マジカルラットの子どもはまだ巣立ちを迎えていない為、当面は大きいバスケットの中で生活しています。
 とはいっても既に魔法を使うだけの能力があるそうなので、スラちゃんとプリンがバスケットの中に入って魔法の使い方や従魔としての対応を熱心に教えていました。

「スラちゃんはリズと絡むといたずらっ子になるけど、責任感はとっても強いんですよね」
「執務官としてもスラちゃんは真面目に取り組んでいるわよ。この間も犯罪組織を一つ壊滅に追い込んだし」

 今日は休息日なので、ティナおばあさまとルーカスお兄様達が屋敷に遊びに来ています。
 ティナおばあさま曰く、スラちゃんが上げた功績は勲章をもらえる程らしいです。

「しかし、マジカルラットは私も久々に見たわ。相変わらずぽてぽてとして可愛らしいわね」
「いざという時は素早く動くらしいですけど、普段はのんびりとしていますよ」

 ティナおばあさまは、マジカルラットを愛でている一段を微笑ましく見つめていました。
 実は六匹のマジカルラットの子どもは今まで見に来た人に興味を示していて、巣立ちをした後の従魔になる人も決まりました。
 因みに、四匹のマジカルラットの親は屋敷にいる人共通の従魔扱いになります。
 これは、僕の屋敷とお隣の辺境伯様とジンさんの所を含みます。
 ゴールデンハムスターっぽいマジカルラットの子どもは、ルーカスお兄様とリズ達とメイちゃんリラちゃんコンビの所に行きます。
 キンクマハムスターっぽいマジカルラットは、ミカエルとルカちゃんエドちゃんコンビとノエルさんの所に決まりました。
 とってもマイペースなマジカルラットの子どもがいて、何故かノエルさんと意気投合していました。

「ノエル、あんたキチンとその子を飼うことができるの?」
「クラヴィーア先輩、私とこの子はベストフレンドですよ! 私とククリちゃん位の仲ですよ」
「キュー!」
「いや、そういう事じゃないんだけど……」

 ソファーに座りながら、そのマジカルラットを手のひらにのせてクラヴィーアさんに抗議をしているノエルさんの姿がありました。
 僕的には、リズとブッチー位の危険な香りがしている気がするよ。
 性格的には、ノエルさんとそのマジカルラットの子どもはベストマッチしているみたいです。

「キュキュ」
「キュー」
「シュー」

 一方で、ルーカスお兄様とルカちゃんエドちゃんコンビの所に行くマジカルラットは、先輩従魔のアマリリスとお話をしていました。
 アマリリスも身振り手振りを交えて、マジカルラットの子どもに何かを伝えているみたいです。

「アイビー様、アマリリスはマジカルラットの子どもに何を伝えていますか?」
「王妃様とアリア様とティナ様の言う事をよく聞く様にと言っていますわ」
「あれ? 陛下は入っていないんですか?」
「陛下は、程々に話を聞いていれば良いと言っていますわよ」

 一国の国王よりも、王妃様とアリア様とティナおばあさま優先ですか。
 まあ、王家の中のパワーバランスを考えたら、アマリリスの言っている通りになるよなあ。

「あと、時々王城内をパトロールするから、アマリリスについてくる様にも言っていますわよ」
「確かにマジカルラットは小さいから、色々な所に入る事ができますね」

 何だかとんでもないマジカルラット軍団が出来た気がするけど、皆との相性も良いし護衛を頑張って欲しいなあ。

「凄いねこの子、私の手の中でへそ天で寝ているよ」
「ノエル、貴方もいつもそんな格好で寝ているでしょうが」

 ノエルさんの所に行くマジカルラットは、ある意味大物になるかもしれないなあ。
しおりを挟む
感想 235

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。